NASA、1年にわたるハワイでの火星滞在訓練を終える(2016/08/29)
NASA(アメリカ航空宇宙局)は近年、火星に人類を長期間にわたって送る計画を進めている。今年はNASAが火星表面の映像を公開したり、火星探査メンバーの人員募集を行うなど、火星がにわかに注目を集めている。2030年代に人類の長期派遣を実現することが目標として掲げられている。そんな中、ハワイで1年におよぶ火星滞在訓練を行っていたプロジェクトが終了した。今後は実際に火星に行くための人選段階に入っていくという。各メディアは次のように報じている。
8月28日付
『BBC』(米)は昨年8月29日にスタートしたハワイでのプロジェクト(ハワイ宇宙探査アナログ&シミュレーション、略してHI-SEAS)が終了したと報じている。昨年ロシアも同様の実験をモスクワで行っており、その実験は今回の1年よりも長く、520日間続いている。
今回のプロジェクトにはフランス人1人(宇宙生物学者)、ドイツ人1人(物理学者)、アメリカ人4人(パイロット、建築士、ジャーナリスト、土壌科学者)の計6人が参加している。...
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8月28日付
『BBC』(米)は昨年8月29日にスタートしたハワイでのプロジェクト(ハワイ宇宙探査アナログ&シミュレーション、略してHI-SEAS)が終了したと報じている。昨年ロシアも同様の実験をモスクワで行っており、その実験は今回の1年よりも長く、520日間続いている。
今回のプロジェクトにはフランス人1人(宇宙生物学者)、ドイツ人1人(物理学者)、アメリカ人4人(パイロット、建築士、ジャーナリスト、土壌科学者)の計6人が参加している。
プロジェクトの期間中、メンバーらは基地の外に出るときは宇宙服を着用し、限られた物資で活動を行ったという。室内でも個室が与えられるものの、簡易ベッドと机が置いてあるだけ、食料も缶詰など味気ないものだった。実験では主に長期滞在が人間に及ぼす影響について観測が行われた。
同日付
『クォーツ』(米)は、「火星はあなたが考えているよりも近い」と記事を始めている。実験が行われたのはハワイのマウナロア火山付近(海抜2400メートル)の岩場で、地球上で火星に似ていると言われている場所である。先述した通りメンバーは限られた物資で生活したわけだが、食料は4か月に一度、水は2か月に一度配送されるのみである。基地はモンゴルの遊牧民族が住む、テント型の「パオ」に似た形状で、連絡手段はEメールのみ、しかも火星から発したメッセージが地球経由で火星に届くことを想定して1つの送信に20分かかる仕組みになっている。中の様子は、映画などでよく見られるカメラによる大規模な監視などは行われず、キッチンでのミーティング風景が記録されるのみだった。ただ、備え付けの機器によりメンバーの人体活動レベルが計測されたり、ノイズを計測する機器を身につけたりしていたという。このような状況下で、メンバーは日々の調査をこなしたり、テレビゲームをして孤独を紛らわせていた。また、太陽の異常により放射線が直撃する状況や、突発的停電、機器の故障など非常事態を想定した訓練も行われた。
前述の通り今回のプロジェクトは長期滞在が人間に及ぼす影響についてのデータ収集が主な目的だったが、プロジェクト主任のビンステッド氏は「メンバーは大変真面目で愚痴をこぼすことなく、たいへん前向きだった」と語っている。とはいっても、狭いスペースで、悪条件の中の共同生活の中ではいわゆる大学の寮生活で起こるような「口喧嘩」は頻繁に起こっていたという。原因は「誰がチョコレートの最後のひとかけらを食べたか」とか、「食べる音がうるさい」、「やるべき仕事をやらない」など、ちょっとしたことだ。
この後、集められたデータを解析して、孤独が人体に及ぼす影響や、狭い空間でメンバー同士の諍いがひどくなる原因を探っていくという。
次の段階では火星に実際に行くことを前提としたメンバーの選定が行われ、2つのチームが実験に参加することになっており、来年1月にはスタートする。今後は火星でインフルエンザにかかったり、骨折した場合の治療の実践なども行われるという。
ただ、今後実際に火星に行くにあたって、あとどのくらいの訓練が必要かという点については研究者の間でも明確な結論が出ていない。また、火星に行く前に月での訓練も行うべきとの意見もあり、今後の展開は不確定要素が多い。
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米・英国メディア;2020東京オリンピックに明るい話題?(2016/05/24)
5月16日付
GlobaliコラムNo.40「ケチ続きの東京オリンピック」で触れたとおり、新国立競技場建設計画白紙撤回に始まって、大会エンブレムの遣り直し、聖火台設置計画の脱漏と続き、ついには、東京オリンピック招致活動に関わる裏金疑惑がいよいよのっぴきならないことになっている。特に最後の点は、クリーンさを求める欧米諸国はもとより、事あらば足を引っ張ろうとしている中国・韓国などのメディアから、格好の攻撃材料となっている。そうした中、先月公募の中から選出・決定され、著作権問題もなく好評となっている市松模様の新エンブレムに加えて、東京オリンピックで試みられることが期待されている最先端技術について、好意的に報道されている。
5月22日付米
『クォーツ』オンラインニュースの報道記事「2020年東京オリンピックで、人工衛星から照射される人工の流れ星披露」:
「・日本の宇宙ベンチャー企業のALE社が、2020年の東京オリンピックの開会式に、花火に代わる“人工流れ星”を披露すべく東京オリンピック運営委員会に提案中。
・“スカイキャンバス”と命名されたプロジェクトは、小型の人工衛星から粒子を放出して“人工流れ星”を大空に映し出そうとするもので、2017年後半には当該衛星を打ち上げる計画。...
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5月22日付米
『クォーツ』オンラインニュースの報道記事「2020年東京オリンピックで、人工衛星から照射される人工の流れ星披露」:
「・日本の宇宙ベンチャー企業のALE社が、2020年の東京オリンピックの開会式に、花火に代わる“人工流れ星”を披露すべく東京オリンピック運営委員会に提案中。
・“スカイキャンバス”と命名されたプロジェクトは、小型の人工衛星から粒子を放出して“人工流れ星”を大空に映し出そうとするもので、2017年後半には当該衛星を打ち上げる計画。
・このプロジェクトが成功すれば、“人工流れ星”は半径62マイル(約100キロメーター)にわたって可視化できるため、東京都近郊の3千万人が一度に視認可能。」
5月23日付米
『ジ・エポック・タイムズ』オンラインニュースの報道記事「2020年東京オ
リンピックは“人工流れ星”が目玉」:
「・ALE社代表取締役の岡島礼奈博士が開発したもので、科学誌“アクタ・アストロノーチカ(注1後記)”2016年春号に発表。
・人工衛星から放出された数百の粒子が大気圏に突入する際に燃焼して光を発するもので、天然の流れ星と同じ原理だが、速度は遅くまた長い距離を移動することになるので、長い間“天体ショー”の演出が可能。
・但し、ひとつの粒子に8千ドル(約88万円)、合計で800万ドル(約8億8千万円)かかり、更にこれに人工衛星打ち上げ費用が上乗せ。」
5月19日付英
『メール・オンライン(デイリィ・メール電子版)』の報道記事「もう花火は
古い。2020年オリンピックでは“人工流れ星”が主役」:
「・人工衛星から放出される1,000~5,000の粒子は、多くの金属や素材からできているため、大気圏突入の際、様々な色を発光しながら燃焼し、“人工流れ星”を形成。
・例えば、カリウムは燃焼時に紫色 を発光、セシウムは青色、そして銅は緑色となり、地上から35~50マイル(約56~80キロメーター)上空を飛翔。
・高度500メーターの花火に比し、400倍も広い範囲で視認可能。
・更に、研究室の実験では見かけの実視等級(注2後記)-1.0を達成しており、夜空で確認できるシリウス(太陽の次に明るい恒星)の-1.5に続く明るさ。
・ALE社は、2017年に人工衛星を打ち上げ、2018年には実用化を目指し、2020年に間に合わせる意向。」
(注1)アクタ・アストロノーチカ:1955年創刊の査読性科学誌。物理、新技術、自然科
学から天文学まで他分野にわたる。ストックホルム(スウェーデン)在の国際宇宙アカデ
ミーが毎月発行。
(注2)見かけの実視等級:天文学などで使われる絶対等級ではなく、観測されたままの
明るさを表す等級。太陽が-26.7で最も明るく、次いで月の-12.7、国際宇宙ステーショ
ンは-4.7。なお、北極星は+2.0で結構暗い。
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