アカデミー賞授賞式で平手打ち:黒人女性問題
第94回アカデミー賞授賞式で、俳優ジョン・スミスが、司会者でコメディアンの男性(クリス・ロック)が妻(ジェイダ・ピンケット・スミス)の短髪にジョークを飛ばしたことに腹を立て、平手打ちを食らわせた。スミス氏は既に公式に謝罪しているが、アカデミーは正式な調査を開始するとしている。同氏の行動に、欧米では各界から賛否の声が上がっているという。
3月29日付英
『ガーディアン』:「ウィル・スミスの平手への反発心は(白人による)黒人暴力嫌悪、不平等が根底に」:
暴力は決して許されないし、暴力により問題は解決されないというのは定説だ。ウィル・スミスが妻ジェイダ・ピンケット・スミスの刈上げ頭を詰まらぬジョークにしたクリス・ロックを平手打ちした一件について、そのような声がネット上でも大半を占めるのだが、これは免疫疾患による脱毛症を患ってのことで、妻想いまたは、差別だとする見方もある。...
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3月29日付英
『ガーディアン』:「ウィル・スミスの平手への反発心は(白人による)黒人暴力嫌悪、不平等が根底に」:
暴力は決して許されないし、暴力により問題は解決されないというのは定説だ。ウィル・スミスが妻ジェイダ・ピンケット・スミスの刈上げ頭を詰まらぬジョークにしたクリス・ロックを平手打ちした一件について、そのような声がネット上でも大半を占めるのだが、これは免疫疾患による脱毛症を患ってのことで、妻想いまたは、差別だとする見方もある。
動機により正当化される一方、反黒人主義にも発端がある。アカデミー賞の場である点にも注目すべきで、この授賞式では、黒人ということにより注意が向けられるべきだ。脱毛症は障害であり、黒人女性の発症率がより高いという。黒人女性の髪の問題は歴史的にみてトラウマの話題なのである。
このような黒人女性へのバッシングは、黒人女性の苦労や経験が分かっていない人がやることで、黒人女性への配慮の欠如が原因の一部にある。黒人女性は、守る必要のない存在で、そのために戦う必要性もないという光景を見るのに人々は慣れ切っているのだ。
この問題はすぐに、ポップカルチャーの荒っぽい話として、別の側面から語られるであろうが、この機に、黒人への価値観、障害への見方、我々は誰を守るべきかついて考察するのも良い。
同日付米『NPRニュース』:「オスカーで黒人女性の髪にまつわる長い歴史に注目」:
暴力は大きな批判を受けたが、それ以上に黒人問題の側面もある。
このアカデミー賞というステージでは、黒人は歴史的に軽視されてきた。2人の男性の間の暴力を非難する声もネット上であったが、一方で、ピンケット・スミスは脱毛症を告白しており、スミスが司会者のジョークにすぐに不快感を示していた「黒人の妻」、そして「黒髪」を擁護したことも称賛されている。
「黒人女性の髪をからかってはいけない。特に脱毛症は。」と専門家は言う。昨年やっと、米陸軍の規律で、黒人に人気のヘアスタイルに至るまで許容され始めた。また、今月、議会下院では、職場、政府プロジェクト、公共宿泊施設等で人種によるヘアに関する差別を禁ずる「クラウン法」の決議が行われた。
SNSでは、クリス・ロックが、黒人女性の髪との関係や、現代的なヘアスタイルへの歴史的変遷を扱う「グッドヘア」というドキュメンタリー番組に長年携わってきたことにも話題が及んでいる。番組でロックは、脱毛症ゆえにスキンヘッドをトレードマークとするセレブインテリアコーディネーターとタックを組んで出演しており、この問題にもっと理解があっても良いはずだ。
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エジプト:小麦価格上昇でパン価格固定
ロシアのウクライナ侵攻による小麦価格の高騰で、世界最大の小麦輸入国であるエジプトでは、政府の補助金を受けていないパンの小売価格を3か月固定する。
3月21日付イスラエル
『i24ニュース』(ロイター通信):「エジプトが補助金対象外のパン価格固定」:
エジプトは世界最大の小麦輸入国の一つで、主な取引先はロシアやウクライナとなっている。そのエジプトで今月21日、ロシアによるウクライナ侵攻の影響による安価な黒海地域の小麦供給不足への対策として、補助金対象外のパンの価格を固定することが発表された。
モスタファ・マドゥーリー首相は、小売りパンの価格を1ポンド(約453g)あたり約0.8ドルと定めるとした。...
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3月21日付イスラエル
『i24ニュース』(ロイター通信):「エジプトが補助金対象外のパン価格固定」:
エジプトは世界最大の小麦輸入国の一つで、主な取引先はロシアやウクライナとなっている。そのエジプトで今月21日、ロシアによるウクライナ侵攻の影響による安価な黒海地域の小麦供給不足への対策として、補助金対象外のパンの価格を固定することが発表された。
モスタファ・マドゥーリー首相は、小売りパンの価格を1ポンド(約453g)あたり約0.8ドルと定めるとした。パンの価格が固定されるのは3か月で、違反者には5400ドル~27.5万ドルの罰金が科せられる。
エジプト国内の食料価格はウクライナ侵攻以前から上昇していたが、主力となる黒海地域の小麦輸入が絶たれ、さらに高騰している。侵攻以降の3週間で、補助金対象外のパンの価格は、約25%上昇、カイロ商工会議所のハマド・アティアによると、小麦価格も15%上昇したという。
エジプトの人口の30%以上は民間セクターのパンを求めており、その他は、補助金対象パンを1斤あたり0.01ドル未満で購入している。エジプトは、ロシアやウクライナからの最大の小麦輸入国で、2021年の小麦粉輸入の約80%をこの地域が占めている。国際食糧政策研究所によると、輸入小麦価格の上昇は、通常の2倍となるとみられている。
同日付英国『ガーディアン』:「ウクライナ侵攻による小麦供給減で、エジプトがパン価格固定」:
エジプトは、ロシアによるウクライナ侵攻以来、小麦価格が急騰しており、補助金対象外のパンの価格を固定する。戦争により、黒海地域の安価な小麦供給ができなくなったことで主に影響を受けているのは、中東や北アフリカ地域となっている。
エジプトが最大の輸入国で、穀物の60%を海外からの輸入に頼っており、昨年はロシアとウクライナからの輸入が8割を占めている。小麦供給への懸念から価格は既に上昇しており、ベーカリーによっては、25%増のところもある。
エジプト、バングラデシュ、インドネシア等の国では、かつて、食糧価格急騰により政治不安に陥るケースがみられ、2007~2008年には、干ばつやエネルギー価格高騰により、世界40カ国以上で暴動が起きている。先週、国連食糧農業機関は、ウクライナ危機による主要穀物の供給が途絶えることで、極度の飢えの危険があると警告している。
ウクライナだけで、世界の小麦の12%を賄っており、また、ひまわり油の最大生産国である。戦闘が長引けば、農家が春の植え付けと夏の刈り取りが出来なくなると懸念されている。
小麦への懸念に加え、ひまわり油などの主な食糧の価格上昇への懸念も広がっている。窒素肥料に使われる尿素は、主成分となるエネルギー価格高騰で、昨年3倍以上に急騰した。
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