ロシアは、7月にウクライナとの穀物輸出合意から一方的に離脱している。この合意は世界への食糧供給のために重要な意味を持っているにもかかわらず、ロシア側としてはロシア産の穀物や肥料の輸出が、欧米による経済制裁により阻害されていることを理由に挙げて離脱した。
フィダン外務大臣は、ラブロフ外務大臣との共同記者会見で、「穀物輸出合意の再開で地域の安定性の回復を達成できると確信している。」と述べた。...
全部読む
ロシアは、7月にウクライナとの穀物輸出合意から一方的に離脱している。この合意は世界への食糧供給のために重要な意味を持っているにもかかわらず、ロシア側としてはロシア産の穀物や肥料の輸出が、欧米による経済制裁により阻害されていることを理由に挙げて離脱した。
フィダン外務大臣は、ラブロフ外務大臣との共同記者会見で、「穀物輸出合意の再開で地域の安定性の回復を達成できると確信している。」と述べた。
これに対して、ロシアのラブロフ外務大臣は、「ロシアとしては、ウクライナの穀物輸出に関する’約束‘のみで満足しておらず、具体的な結果が伴った保証を要求したい。」とロシア側の立場を説明した。さらに、「約束が実行されたという具体的な結果が得られれば、明日からでも、穀物輸出合意は再開される。」と答えた。
ラブロフ外務大臣は、常々、欧米諸国がロシア産の農作物や肥料の輸出を妨害していると非難している。なお、トルコのフィダン外務大臣との会談で、トルコに破格の値段でロシア産穀物を供給する可能性についても討論したと語った。これらのロシア産穀物はトルコから即座に、世界中で穀物を最も必要とする国々に再輸送するものと想定している。
フィダン外務大臣は今回のモスクワ訪問で、同時にトルコのエルドアン大統領のロシア訪問の準備も行っている。トルコのメディアによると、エルドアン大統領は9月4日にロシア黒海沿岸のソチを訪問し、プーチン大統領と穀物輸出合意の再開に関して話し合うことが計画されている。
一方、国連のグテーレス事務総長はラブロフ外務大臣に8月31日、穀物輸出合意の再開のための提案書を含む書簡を送っており、この件は極めて重要性だと判断している。
閉じる
バイデン大統領は、日韓の関係修復を弾みとし、保養地キャンプ・デービッドで三カ国の首脳会談に臨む。三カ国のパートナーシップ強化は、北朝鮮の核の脅威や中国の台頭に脅威となるとみられる。
8月18日付
『ロイター通信』:「キャンプ・デービッドで日米韓関係強化へ」:
韓国は今週、日本からの独立記念日を迎えたが、ユン・ソンニョル大統領が1945年まで35年の植民地支配に触れることはなかった。日本の支配の記憶はない若干62歳の大統領は、日本を同じ価値観や関心を共有する「パートナー」と賞賛した。日韓は常に北朝鮮からの核の脅威に晒されており、ユン氏は、「共産主義の侵攻」と批判するに留めている。
米バイデン政権は、東アジアでの日韓関係の変化に期待し、当地域での中国の支配拡大への対抗姿勢と台湾支援を加速させるだろう。
バイデン大統領は18日、メリーランド州カトクティン山の大統領保養地キャンプ・デービッドでの首脳会談で、日韓との関係強化を固めたい意向である。
首脳会談では、相互防衛安全保障協定は結ばれないが、地域内の相互協力への合意が行われる予定。ユン氏の日韓対立緩和への熱意が関係強化への弾みとなり、三カ国の首脳はキャンプ・デービッドで「最も長い時間をともに過ごす」首脳らになるとみられる。
これまで日韓関係の強化は失敗に終わってきた。2019年には徴用工問題で関係が悪化し、軍事情報共有協定は破棄され、日本は韓国の半導体産業へ打撃となる韓国向け半導体などの輸出制限を設けた。
今回、三カ国の関係強化に頼るのはリスクが高い。ユン氏、岸田氏、バイデン氏は自国で約4割の支持率で、バイデン氏は日韓との関係強化が最優先事項かとの疑問をもつ米国民との間で板挟みとなる可能性がある。2024年の大統領選挙でバイデン氏は、民主党候補として既存の軍事、経済同盟が米国の利益となるか疑問を呈する共和党のドナルド・トランプ前大統領と対峙する可能性もある。
北朝鮮は「アジア版NATOの創設」への伏線だとして三カ国の軍事関係強化を批判している。
8月17日付米『CNNニュース』:「キャンプ・デービッドで初となる日米韓三カ国外交に臨むバイデン氏」
いる。
バイデン大統領は、保養地キャンプ・デービッドで日韓との首脳会談に臨む。そしてこの首脳会談は、北朝鮮からの挑発行為へ威嚇行動を示すことになる。また、インド太平洋地域での中国台頭が懸念させる中での会談となる。
三国間の関係進展は一筋縄ではいかなかった。日韓関係は、徴用工問題を含めて、緊張関係と不信感の数十年間を辿った。しかし、北朝鮮のミサイルによる脅威が続き、中国の軍事台頭の脅威の中、岸田氏とユン氏は3月の広島サミット等を経て、これまでの相違を乗り越えるに至った。
ラーム・エマニュエル駐日米国大使は17日、米ブルッキングス研究所で、「中国の戦略は、米国の第一、第二同盟国の関係強化を前提としたものではない。三カ国のパートナーシップは全ての計算を塗り替える基本要素となる」と述べている。
韓国は、首脳会談や来週の米韓軍事演習前後、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)等の挑発行為を行うと予測。米国は、首脳会談前後で、北朝鮮や中国からの批判や反応を予測しているが、「三カ国のパートナーシップは新たなレベルで基本的な力となる」としている。
閉じる