5月3日付
『AP通信』他:「5月3日に何があった?」
●1803年
・ワシントンDC(コロンビア特別区)が、1801年制定の「コロンビア特別区基本法」に則って連邦議会の排他的支配下に置かれた後、この日を以て市に昇格。
●1913年
・クロロックス(カリフォルニア州家庭消費財生産・販売企業)創業となる、5人の起業家による液体漂白剤生産工場が同州オークランドで立ち上げ。
●1916年
・復活祭蜂起(注1後記)を企てたとして逮捕された16人のアイルランド共和国主義者のうち、首謀者であったパトリック・ピアース(1879~1916年、教師・民族主義者、現在でもアイルランドの英雄)、トマス・クラーク(1858~1916年、共和制主義者)、トマス・マクドナー(1878~1916年、詩人・脚本家・政治運動家)が、英国軍によって銃殺刑。
●1937年
・小説家マーガレット・ミッチェル(1900~1949年)が「風と共に去りぬ」でピューリッツアー賞(注2後記)受賞。
●1948年
・米連邦最高裁が、黒人やその他非白人グループへの不動産販売を禁止する契約は法的強制力がないと判決。
●1978年
・マサチューセッツ州のコンピューター企業ディジタル・イクィップメント(1957年設立、現在はヒューレット・パッカード傘下)のゲリー・スァーク市場開拓責任者によって世界初のスパム電子メール(注3後記)誕生。アーパネット(インターネットの起源となる世界初のパケット通信コンピューターネットワーク)上で展開するも、個人・法人から賛否両論。
●1979年
・英国保守党のマーガレット・サッチャー党首(1925~2013年)が、同国初の女性首相に就任。
●1984年
・テキサス州立大学オースティン校の学生マイケル・デル(55歳)が、デル・コンピューター社を創業。
●1987年
・『マイアミ・ヘラルド』紙が、1988年大統領選民主党候補のゲリィ・ハート上院議員(83歳)の、女子学生ドナ・ライス(62歳、現NPO法人代表)との不倫スキャンダルを報道。これにより、同上院議員は選挙戦から撤退。
●1999年
・米中南部オクラホマ、カンザス州を襲った70もの竜巻(5月6日までの4日間)で、46人が犠牲、負傷者も数百人という災害発生。
●2006年
・2001年発生の9/11同時多発テロ事件に関わったとして逮捕された、イスラム過激派テロ組織アルカイーダ所属のフランス人ザカリアス・モーソーリ被告に対し、連邦地裁は検察側の死刑求刑を退け、仮釈放なしの終身刑とする裁定。同被告は法廷を去る際、“米国の負け”と嘲る発言。
●2007年
・英国の少女マデリン・マクカーン(3歳)が家族旅行で訪れたポルトガルで失踪。未だ行方不明。
●2009年
・メキシコのフェリペ・カルデロン大統領(57歳、2006~2012年執務の第56代大統領)が、豚インフルエンザ感染拡大防止のため全国での都市封鎖を宣言。
●2010年
・石油大手BPが、同年4月30日にメキシコ湾で発生した原油掘削リグ倒壊による大量原油流失事故に関し、“合理的かつ証明可能な”全ての損害賠償に応じると発表。
・同年5月1日にニューヨーク・マンハッタン島のタイムズスクエアで発生した自動車爆弾事件の実行犯、パキスタン系米国人のファイサル・シャーザド(40歳)が、ドバイ逃亡を図ってJ.F.ケネディ国際空港に現れたところで逮捕。後に、仮釈放なしの終身刑。
・イランのマフムード・アフマディネジャド大統領(63歳、2005~2013年執務の第6代大統領)とヒラリー・クリントン国務長官(72歳、2009~2013年執務の第67代国務長官)が国連総会で、核兵器をめぐってけんか腰の討論展開。
・2008年11月にムンバイ(インド)で4日間にわたり発生したテロ事件(合計166人犠牲)実行者の一人として逮捕された、パキスタン人モハメッド・アジマル・カサブ被告(1987~2012年)に対して、インド地裁が死刑判決。2012年に絞首刑。
●2015年
・イタリア空軍パイロットのサマンサ・クリストフォレッティ宇宙飛行士(43歳)が、国際宇宙ステーションの中で初めて、火を使うエスプレッソ・マシンを操作してエスプレッソを満喫。
●2019年
・2016年米大統領選へのロシア不当介入について捜査していたロバート・マラー特別検察官(75歳、元FBI長官)が、ウィリアム・バー司法長官(69歳)宛に捜査報告書を3月22日に提出。同長官が、“トランプ政権の共同謀議があったとは認められていない”とコメントしていたが、同報告書が明らかになって後初めて、ドナルド・トランプ大統領(73歳)とウラジーミル・プーチン大統領(67歳)がこの日に電話会談し、改めて“ロシア介入疑惑”を否定。
・ジャクソンビル(フロリダ州)でチャーター機が滑走路オーバーラン事故。荷物室の犬1匹、猫2匹が犠牲になった他は、143人の乗員・乗客に一人の重傷者も出ず。
(注1)復活祭蜂起:1916年の復活祭(イースター)週間にアイルランドで起きた武装蜂起。この蜂起は、英国の支配を終わらせ、アイルランド共和国を樹立する目的でアイルランド共和主義者たちが引き起こしたもの。
(注2)ピューリッツァー賞:米国における新聞、雑誌、オンライン上の報道、文学、作曲の功績に対して授与される賞。新聞出版業で財を成したハンガリー生まれの米国人、ジョーゼフ・ピューリツァーの遺志に基づいて1917年に創設され、現在はニューヨーク市のコロンビア大学により運営されている。
(注3)スパム電子メール:受信者の意向を無視して無差別かつ大量に一括してばらまかれる各種ネットメディアにおけるメッセージのこと。その内容が迷惑であろうが、仮に有用であろうが、内容は問われない。
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5月下旬に実施された欧州連合(EU)議会選挙では、EU懐疑派と呼ばれるフランス・イタリア・英国の極右政党が第1党となり、ドイツでも議席を伸ばしている。英国のEU離脱が迫っている上に、各国の極右政党の躍進に遭い、EU擁護派の筆頭であるメルケル首相やマクロン大統領によるEUの結束推進が危うくなる状況である。このようなEU分断の動きを最も歓迎しているのがロシアで、極右政党躍進の陰にはプーチン大統領の暗躍があると言われている。その中でも、同大統領からの支援を最も受けているのがイタリアのサルビーニ「同盟(注後記)」書記長と言われる。しかし、「同盟」とロシア与党の「統一ロシア」間の密約に基づき、「同盟」に不正資金が流れた疑いがあるとの報道がなされ、イタリア議会が同書記長に対して、証人喚問を求める動きに出ている。
7月12日付米
『AP通信』:「イタリア議会議員、ロシアとの密約疑惑につきサルビーニ氏の証人喚問要求」
イタリア野党・民主党議員団は7月12日、マッテオ・サルビーニ副首相兼内務相に対して、複数のメディアが報じた、昨年ロシア側との密約で同内務相が率いる中道右派勢力に不正資金が流れたとの嫌疑について、議会にて証言するよう求めた。
昨年3月、同内務相が率いる「同盟」が、ウラジーミル・プーチン大統領が率いる「統一ロシア」と、防衛・安全協力、不法移民の取り締まり、テロとの戦い等で協力することで合意した。
しかし、イタリアの週刊誌『エスプレッソ』が今年2月、上記協定に関し、モスクワのホテル内で密約が交わされ、中道右派勢力が、EUによる対ロシア経済制裁の解除を推し進める代わりに、数百万ユーロ(数億円)がロシア側から払われる遣り取りがあったとの報道をした。
また、米『バズフィード』オンラインニュースも7月10日、モスクワのホテル内でのイタリア、ロシア双方の関係者の会話の録音テープがあると報道した。
これに対して、サルビーニ内務相は、全く事実無根で、ロシア側からは一銭も、また、ウォッカさえも一滴も受け取っていない、と即座に否定した。
なお、民主党議員は、同内務相に加えて、疑惑報道に携わった『バズフィード』記者、在モスクワのイタリア大使、在ローマのロシア大使、更に、仲介役であった同内務相の関係者であるジャンルーカ・サボイニ氏の証人喚問も要求している。
一方、イタリアの『ANSA通信』は、ミラノ検察庁が、『エスプレッソ』誌報道を契機に、国際汚職容疑の捜査に着手したと報じている。
同日付イタリア『ANSA通信』:「サルビーニ内務相、ロシアからの不正資金疑惑に“ばかげている”と一蹴」
サルビーニ内務相は7月12日、ロシア側との密約で、与党・中道右派勢力に不正資金が流れているとの報道に関し、“根拠のないばかげた話”だとして一蹴した。
『エスプレッソ』誌及び『バズフィード』オンラインニュース報道によると、イタリア及びロシア側関係者間で昨年3月、イタリア向けロシア産原油取引に関し、リベートとして6,500万ユーロ(約79億円)がロシア側からイタリアの中道右派勢力に支払われる密約が結ばれたとする。
上記報道に基づき、ミラノ検察庁が国際汚職容疑について捜査し始めたとの続報に対して、
同内務相は、ロシア側から一銭ももらっていることなどなく、「同盟」の財務諸表をみてもらえば“透明性が担保されている”ことが一目瞭然だと主張している。
(注)同盟:1989年設立のイタリアの政党。書記長はマッテオ・サルビーニ。結党直後は工業地帯が密集し経済的に優越しているイタリア北部の自治拡大を主張する地域政党として知られていた。過激な言動や文化的保守性、反共主義、反移民運動などから極右と認識されることが多いが、政治的目標は労働者の保護と地方分権にあることから、左翼政党という見方もある。しかし、近年は地方主義からイタリア人労働者の職を奪っている外国人移民への排外主義や、欧州圏への批判(EU懐疑主義)に軸を移している。
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