7月4日付
『AP通信』:「プロジェクト2025の保守系会長、新たな米国革命がおきる可能性を指摘」:
保守系シンクタンクの会長は、共和党候補が勝利した際の連邦政府大改編案を強調。左派次第で米国は無血の「第二革命」の途中にあると表明している。
ヘリテージ財団のケビン・ロバート会長は2日、スティーブ・バノン氏のポッドキャスト「ウォールーム」でコメント。共和党は「米国を取り戻すプロセスにある」とも付け加えた。...
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7月4日付
『AP通信』:「プロジェクト2025の保守系会長、新たな米国革命がおきる可能性を指摘」:
保守系シンクタンクの会長は、共和党候補が勝利した際の連邦政府大改編案を強調。左派次第で米国は無血の「第二革命」の途中にあると表明している。
ヘリテージ財団のケビン・ロバート会長は2日、スティーブ・バノン氏のポッドキャスト「ウォールーム」でコメント。共和党は「米国を取り戻すプロセスにある」とも付け加えた。民主党は「今激怒している。なぜなら、保守派が勝っているからだ」とゲスト司会者のデーブ・ブラッド前下院議員に述べた。バノン氏は4ヶ月の禁錮刑に服している。
これによりトランプ前大統領の二期目の可能性をめぐり財団の重要な影響力が注目されてることとなった。当財団は、2025プロジェクトを主導し、強硬なアジェンダを不平なく遂行するトランプ支持派を優遇する一方、連邦政府の解体や民間職員数千人を罷免する共和党政権のロードマップを展開している。
バノン氏が米NYT紙でトランプ政権の側近候補として名前を挙げたロバート氏は、「共和党は最高裁の判断でも勢いづいた。免責判断は政府計画で第二第三のプランを練る必要がないという点で重要」だとも述べている。
3日の声明では、ポッドキャストでの発言を繰り返し、「愛国者らは投票箱という平和的革命へ向かっている。残念ながら左派は暴力の長い歴史がある。平和的権力移譲を可能とするかは彼ら次第だ」としている。暴力とは、2020年の警察によるジョージ・フロイド氏殺害後のデモで、略奪や暴力に発展したケースもある。一方の民主党は、共和党の暴力について、2021年のトランプ支持者による議事堂襲撃事件を批判している。
7月3日付米『USA TODAY』:「左派次第で無血の”米国第二革命”」:
保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」のケビン・ロバーツ会長は、最高裁が大統領の免責判断を下したことを賞賛し、「プロジェクト2025」は既に米国を取り戻すプロセスを始めていると述べている。
スティーブ・バノン氏のポッドキャスト番組「ウォールーム」のインタビューで同氏は、「左派が去ることで、我々は第二の米国革命に向かっている」と述べた。また、「1日の判決は、全ての決定において2度、3度と再考する必要がなくなることで重要だ」とし、11月にトランプ氏が勝てばプロジェクト2025始動を支援すると言及した。
最高裁は1日、刑事責任に問われているトランプ前大統領に、判事の賛成6対反対3で、部分的に免責与えると判断。ソトマイヨール判事は、この判決は大統領権限を拡大し、大統領を「法の上にたつ王」とする危険なものだとしている。
「プロジェクト2025」は「2025大統領移行プロジェクト」としても知られ、900ページに及び「指導義務」の詳細が書かれており、次期保守派大統領政権発足における政府機関の見直しや政治家指名の民間市職員を含む行政機関の再編計画が提案されている。
ロバート氏が「ウォールーム」に出演したことで、民主党は警戒を強めている。バイデン陣営広報担当のジェームズ・シンガー氏は、「248年前の独立宣言で、米国は専制王からの独立を宣言したが、今トランプ氏と側近は同じことをしようとしている。米国の思想を破壊する暴力的革命を夢想している」としている。
ロバート氏は声明で、「2024年の米国人は、エリートや横暴な官僚から権限を取り戻す第二革命の実行途上にある。愛国者らは投票箱という平和的革命への使命があるのだ」と述べている。
スピリチュアルアドバイザーで政治家候補もしていたマリアンヌ・ウィリアムソン氏も「X」への投稿で、「この第二革命という考えは恐ろしいもの」と反応している。
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6月26日付米
『ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)』紙、英国
『BBCニュース』は、昨年3月に“スパイ容疑”で逮捕された米国人ジャーナリストが密室裁判にかけられようとしていると報じた。
『WSJ』ロシア特派員のエバン・ゲルシュコビッチ記者(32歳、『ニューヨーク・タイムズ』、『モスクワ・タイムズ』、『AFP通信』を経て2022年『WSJ』入社)は昨年3月29日、取材旅行先のエカテリンブルグ(モスクワの約1,770キロメートル東方)でロシア連邦保安庁(FSB、1995年設立、旧ソ連国家保安委員会(KGB)後継組織)によって逮捕された。
FSSは、米中央情報局(CIA、1947年設立)の命を受けて、エカテリンブルグ在のロシア戦車工場にかかわる機密情報を収集した“スパイ容疑”だとし、証拠等も揃っていると発表している。
ただ、15ヵ月余りも拘束した上で、6月26日にエカテリンブルグで開廷される裁判は非公開とされている。
『WSJ』欧州・中東・アフリカ担当部門のデボラ・ボール副責任者(ロンドン駐在)は、“これはインチキで突拍子もない手続きだ”と非難した上で、“ロシアにおける無罪率は1%未満であり、彼が無罪となる可能性は全くない”と悲観している。
同記者の逮捕当時、米政府及び『WSJ』は挙ってロシア当局の不当逮捕を厳しく非難し、同告発は全く受けいれられないと強く主張していた。
なお、同記者は最長20年の懲役刑が科せられる恐れがある。
一方、今回の同記者の密室裁判含めて、ロシア当局は対米強硬措置の一環で、後述どおり多くの米国人を逮捕し、また長期の懲役刑を宣告していることから、『WSJ』は、“ロシア政府は、海外で投獄されているロシア人を解放させるべく、そのための交換要員として米国人をロシア刑務所に投獄している”と強硬に非難している。
● ポール・ウィーラン(54歳、元海兵隊員)
・2018年12月、旅行先のモスクワに滞在中、FSBによってスパイ容疑で逮捕。
・本人も米政府も不当逮捕と主張するも、2020年6月に懲役16年の有罪判決が下され服役中。
● アルス・クルマシェワ(ロシア系米国人、米議会出資の『ラジオ・フリー・ヨーロッパ』所属ジャーナリスト)
・2023年10月、ロシア在住の母親の病気見舞いでカザン(モスクワの約900キロメートル東方)を訪問中にFSBによって逮捕。
・逮捕容疑は、外国エージェント(注後記)であることの申告義務違反だが、起訴状では、ロシア軍のウクライナ軍事侵攻を非難する内容を含んだ本を発行することによって“虚偽情報”を流布したとする容疑。
・裁判はこれからだが、最悪15年の懲役刑の恐れ。
● マーク・フォーゲル(63歳、アングロ-アメリカン・モスクワ校(1949~2023年)の元教師
・2021年8月にロシア再入国時、マリワナ所持で逮捕。
・医療用マリワナであると主張するも認められなかった上、2022年6月には、麻薬密売罪で14年の懲役刑が科され服役中。
● ゴードン・ブラック(34歳、在韓米軍所属の軍曹)
・今年5月、韓国からの帰国途上で立ち寄ったロシア極東ウラジオストックで逮捕。
・容疑は、韓国滞在中に知り合ったガールフレンドの私物窃盗及び脅迫。6月に3年9ヵ月の懲役刑宣告。
なお、ロシア側がこれらの逮捕・拘留米国人と交換したいと考えている人物の一人は、目下ドイツにおいて殺人罪で服役中のロシア人工作員ワディム・クラシコフ被告(58歳、2019年にドイツ避難中の反チェチェン活動家幹部を暗殺)と考えられる。
ただ、今年2月にウラジーミル・プーチン大統領(71歳、2000年就任)は捕虜交換の対象としてクラシコフのことを仄めかしていたが、今回のゲルシュコビッチ記者の裁判に関わる質問では、何ら言及していない。
(注)外国エージェント:一般的に外交使節の一員である外交官(公務員)として働く人に提供される保護・特権の範囲外で、外国の利益を積極的に遂行する個人または機関を指す。2017年制定のロシア「外国エージェント法」に基づき、当局への申告義務が課されている。
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