米国選挙にロシアが介入?(2016/12/12)
今年、前回の米国大統領選挙へロシアの介入があったと結論付けたとする米国中央情報局(CIA)の調査結果が報道され、共和党ドナルド・トランプ氏当選にもロシアの介入があったとも囁かれ米国では物議を醸している。ロシア強硬派の民主党クリントン氏より、親ロ派のトランプ氏が勝利するよう、ロシアがサイバー攻撃を仕掛けたという。また、米国の選挙システム及びは米国政府への信頼を失墜される目的でロシアが仕組んだものだとも指摘される一方、共和党のみに加担する形で、ロシア政府とのパイプ役がクリントン氏ら複数人の膨大なメールを内部告発サイト「ウィキリークス」へ提供、この暴露メールは民主党及びクリントン氏に大打撃を与えたが共和党には無害だった。これがロシアの主な狙いだったという。
この報道に対し、トランプ氏の政権移行チームは、「大敗した民主党の言い訳に過ぎない。」としている。また、次期政権については、ロシアのプーチン大統領と個人的つながりがあるといわれる、エクソンモービルのレックス・ティラーソンCEOを次期国務長官に指名するとの憶測に議員からも反発が出ている。ロシア介入疑惑に関しては共和党からも批判が出ており、超党派議員らによる再調査を求める声明も出されており、今後も調査は続くものと見られる。
12月10日付
『ロイター通信』は「トランプ大統領選勝利にロシアが介入、CIA」との見出しで次のように報道している。
匿名の米国高官によると、CIAの調査が、今年の大統領選挙へのロシアの介入があったと結論づけ、米国の選挙システムへの信頼が揺らいでいるという。選挙期間中、ロシア政府がトランプ氏が勝利するよう支援をしていたというもの。
金曜の「ワシントンポスト」紙はCIAはロシア政府とのパイプ役で、民主党候補だったクリントン氏ら複数人のハッキングされた膨大なメールをウィキリークスへ提供した人物を特定したと報道。...
全部読む
12月10日付
『ロイター通信』は「トランプ大統領選勝利にロシアが介入、CIA」との見出しで次のように報道している。
匿名の米国高官によると、CIAの調査が、今年の大統領選挙へのロシアの介入があったと結論づけ、米国の選挙システムへの信頼が揺らいでいるという。選挙期間中、ロシア政府がトランプ氏が勝利するよう支援をしていたというもの。
金曜の「ワシントンポスト」紙はCIAはロシア政府とのパイプ役で、民主党候補だったクリントン氏ら複数人のハッキングされた膨大なメールをウィキリークスへ提供した人物を特定したと報道。今年の夏から秋にかけてロシアのハッカーはほぼ民主党だけに注目。暴露したメールは民主党及びクリントン氏に大打撃を与え、共和党には無害だった。これがロシアの主な狙いだったという。
民主党、そして共和党内にも、ロシアへの徹底調査をすべきだとの声が上がっている。
米国の選挙システムの信頼を揺るがすだけが狙いだったなら、なぜ一方の政党のみを攻撃対象としたのだろうか。ロシア政府筋は米国選挙への介入の疑いを全面的に否定している。ロシアはトランプ氏が十分勝利圏内にいると見て、同氏が経済制裁に関してはクリントン氏より親ロ派だと判断したと見られている。ロシアはドイツの次期選挙を前に、米国同様、欧州において極右政党、国家主義政党や官僚を推す動きを始めている。プーチン大統領は欧米での民主主義への信頼を失墜させる目的があるとみられる。
トランプ移行政権は声明で、「サダム・フセインが大量破壊兵器を持っていると言った人と同じ。選挙はとっくに大勝利で終わっており偉大な国造りを進行する時だ」と強調、今週の「タイム誌」のインタビューでトランプ氏は「ロシアが介入したとは信じていない。これは笑う所で議論の必要もない。私が何かするたびロシア介入と言われる。」と述べている。
12月12日付ロシア
『スプートニク』は「トランプ側、ロシアのハッキング疑惑をばかげている、正気でないとするも、議員から調査要望の声」との見出しで次のように報道している。
トランプ次期大統領と移行政権はロシアが米国選挙に介入したとするCIAの調査を11日放送の「FOXニュース」で「ばかげている」と否定した。「ワシントンポスト」紙は9日、ロシアの介入疑惑を報道、ロシアが政党の文書をハッキングしたというこの報告は匿名のCIA調査官の証言を基にしているという。
トランプ氏はこの調査は民主党が大敗した別の言い訳(一つには投票数では数万票上回る)だと述べている。同氏は、CIAの調査では、選挙に影響を与えた可能性は示されていないと主張。オバマ大統領はハッキングの選挙への影響を調査するよう求めたが、トランプ氏は民主党からこの報告が上がった事に注目、選挙に大敗したからこれを理由にしようとしているとした。
大統領選挙中の7月、トランプ氏は「ロシア、これを聞いていたらクリントンが国務省へ送った、消えた3万通のメールを見つけ出してくれ」と発言し騒ぎを起こした。
次期政権首席補佐官ラインス・プリーバス氏も今週の「ABC放送」で「正気とは思えない調査」だと述べている。一方、共和党元大統領候補のジョン・マケイン上院議員は、ロシアが選挙を操作し介入したと発言、「候補を操作するほどの影響を考慮したかは不明だが、調査は必要だ。」と述べており、11日付けの声明で、マケイン氏、共和党リンジー・グラハム上院議員、次期上院民主党リーダーのチャックシューマー、民主党ジャックリード上院議員らが、民主共和両党に「サイバー攻撃問題解決」を求め、更なる調査を迫ったという。機密情報、そして自由な社会を守るため、国民にサイバー攻撃のついて説明し今後の防止策のため立ち上がらねばならないとしている。
12月11日付英国
『ガーディアン』は「ロシアが米国選挙に介入、CIA調査はばかげている、とドナルド・トランプ」との見出しで次のように報道している。
CIAの調査では、ロシアが選挙への信頼を損なわせる目的でやったとされるが、トランプ氏に有利となるよう操作したものだとは断言できないと結論付けている。
今週オバマ大統領は2008年と2012年の選挙期間中の中国人ハッカーによるハッキング事件のロシアの関与への調査を指示した。
トランプ氏はCIAの調査を「誰も分からない、ハッキングとは興味深い。現行犯でなければ逮捕できない。ロシア人、中国人、または別の誰かか。」と日曜のTVでコメント。
超党派議員らは、声明で、これは党の問題に留まらないとし再調査を求めており、そのうちのマケイン氏は「候補に加担したかは別としてロシアが介入したのは明白だ。選挙をハッキングした事実は重い」と述べている。
同氏は選挙介入調査委員会設立を要望しており、また、次期政権国務長官候補にプーチン大統領と個人的に親しいというモービルCEOを指名するとの報道には、親ロ派の当人同士で契約が交わされているのではと、疑問を抱いているという。この噂は共和党内でも批判に上がっており、マルコルビオ上院議員は「ウラジミールの友人」であることは国務長官の資質に必要ない、とツイート。
一方、次期政権首席補佐官ラインス・プリーバス氏は、「このニュースに皆が食ってかかるとは驚きだ。指名は決定しておらず時期尚早だ。世界にビジネスネットワークがある人物が候補」としている。またプリーバス氏は、「トランプ氏は米国の諜報機関を信頼していないという訳ではない、匿名の情報による報道を否定しているのだ」とする。
民主党アダム・シッフ下院諜報委員 は「これはまさにロシアが求めることで、米政府に不和を生じさせ、ロシア強硬派のクリントン氏の逆である、親ロでNATOを軽視し、ロシアの制裁を解除する可能性のある人物を支援すること」だとする。
閉じる
中国、米国メディア;比ドゥテルテ大統領訪日(2016/10/27)
訪日中のフィリピン大統領は首脳会談で日本からの軍事、経済支援を締結。南シナ海問題では「その時が来れば日本側につく」と述べ日本との連携を示した。中国メディアは、訪日中のフィリピンヤサイ外相が、米比の合同軍事演習は中国との関係促進にマイナスとなるものだと述べたことに注目、米国メディアは、軍事同盟を解消する可能性を示唆しまたもや厳しい言葉を繰り返すドゥテルテ大統領に注目、フィリピン高官の発言から、経済においても、米国よりアジア重視で中国と日本との結びつきが増すだろうと報道されている。
10月27日付中国
『新浪(シナ)』は「日比、軍事、経済保障調印」との見出しで次のように報道している。
水曜、日比は米国との同盟重視と平和的解決で一致するも、共同声明では、日本からフィリピンへの軍事貢献とプロジェクトへの210億円規模の協力に重点が置かれた。安倍首相との会談後の記者会見でドゥテルテ大統領は、米国との同盟には言及しなかったが、南シナ海での日本の軍事協力への期待を述べ、その後声明で日比を重点とする同盟関係重視を確認。...
全部読む
10月27日付中国
『新浪(シナ)』は「日比、軍事、経済保障調印」との見出しで次のように報道している。
水曜、日比は米国との同盟重視と平和的解決で一致するも、共同声明では、日本からフィリピンへの軍事貢献とプロジェクトへの210億円規模の協力に重点が置かれた。安倍首相との会談後の記者会見でドゥテルテ大統領は、米国との同盟には言及しなかったが、南シナ海での日本の軍事協力への期待を述べ、その後声明で日比を重点とする同盟関係重視を確認。
就任以来米国との関係は緊張しているが米国の同盟国日本は中国との関係強化に努めるフィリピンを歓迎、安倍首相は、「南シナ海問題は地域の平和に重要で、ドゥテルテ氏の中国訪問による比日関係強化の努力を歓迎する」とした。
同じく日本訪問中の比ヤサイ外相は、米国との軍事同盟も重視しており、同盟破棄の意向はないとしたが、合同軍事演習は中国との関係促進にマイナスとなるものだと述べた。また、「今政権中に演習を行わないのは、中国との対立を平和的に解決に導く努力をするためだ」と述べた。
日比は、海上自衛隊の大型巡視船2隻を含む海洋安全保障に署名。比のインフラや農業分野でも協力する。ドゥテルテ大統領は、「海洋安全におけるフィリピンの近代化に日本の貢献は引き続き重要。日本と協力していく。」と述べた。
同日付中国
『新華社ネット』(新華社通信)は「比ドゥテルテ氏、日本首相と会談」との見出しで以下のように報道している。
訪日中の比大統領は、安倍首相と首相官邸で会談、安倍首相は記者会見で、フィリピンとの一層の協力体制を述べた。フィリピンの都市部と郊外のインフラ整備を支援。来年ASEAN会議主催国となるフィリピンを日本は全面で支援するとした。ドゥテルテ大統領は、日本はASEANの重要なパートナーで共通の課題に協力して臨むとした。
10月26日付米国
『ハフィンポスト』は「訪日中の比ドゥテルテが米国非難」との見出しで以下のように報道している。
米国との軍事同盟を解消する可能性を示唆し厳しい言葉を繰り返していた比ドゥテルテ大統領は、先週の中国訪問での注目発言は経済に関してであり、軍事に関してではないと日本説得に努め、「その時がきたら、南シナ海対立では、日本の側につく」と発言。
米国との「決別」を中国で宣言し、その後独立外交求めるもので同盟は断絶しないと主張していた同大統領の米比の緊張が高まる中の日本訪問となる。二転三転する発言は、米国と強力な同盟関係にあり中国の海洋進出に対抗するためフィリピンを含む東南アジア諸国との関係強化を探る、安倍首相の頭痛の種となる。
ドゥテルテ大統領は、日本を「兄弟より近しい親友」と表現し、共通の問題で日本と協力し、民主主義の原則で、法的、平和的解決を順守するとした。
10月27日付米国
『CNBC』は「ドゥテルテ訪日:日中はミンダナオの数兆ドル産業に注目」との見出しで以下のように報道している。
比カルロス・ドミンゲス財務長官によると、中国と日本はフィリピンへの鉱石資源への1兆ドル投資で競合。中国より60年の協力関係にある日本が優位だという。ウィキリークス公表の2011年米駐比大使の情報によると、フィリピン第二の島ミンダナオ島は銅、金、鉄、アルミニウムなどの鉱物や天然ガスや油田等の資源の宝庫でその価値は1兆ドル。多種の生物・植物で有名、バナナ、パパイヤ、マンゴーの主産地、「フィリピンのフルーツバスケット」と称される。
ドゥテルテ大統領の中国に続く訪日で、フィリピン外交は大きく転換、米国と距離を置き、北アジア、東南アジアに近づいている。「カルロス・ドミンゲス財務長官は、アジア重視政策を欧州連合(EU)やNAFTA(北大西洋条約機構)メルコスール(南米の共同市場)に例える。政治的意図もあるが、一層結びつきを強めるだろうという。2年以内に米軍撤退を宣言するなど暴言外交の行方に関しては、米比防衛協力協定(EDCA)を解消する可能性は高いが、契約は継続され合意は保たれるだろうとする。
閉じる
その他の最新記事