米・英・ロシア・中国メディア;オバマ氏主導の核保安サミットが閉幕(2016/04/04)
オバマ大統領が主導してワシントンで開催された核保安サミット(注後記)が、4月1日に閉幕した。同サミットでは、目標達成は道半ばとは言え、核物質がテロリストに渡らないよう国際社会が管理を強化するとした共同宣言が採択されている。
4月2日付米
『AP通信』の報道記事「オバマ氏及び世界の首脳が核保安とテロとの戦いを宣言」:
「・4月1日に閉幕した核保安サミット後に記者会見したオバマ大統領は、核テロの脅威は国際社会への最大の挑戦であり、核保安を優先課題として関係各国が一致団結して当ることが肝要と表明。
・ただ同大統領は、核兵器のない世界を作るとの自身の提唱については、未だ道半ばとコメント。
・米国は、二十年前に741トン保有していた高濃縮ウランを2013年時点で586トンまで減らしており、また、日米合意の上で、日本の原子炉の研究用施設で保管の、高濃縮ウラン数百キログラムを米国に輸送して処分したことも公表。...
全部読む
4月2日付米
『AP通信』の報道記事「オバマ氏及び世界の首脳が核保安とテロとの戦いを宣言」:
「・4月1日に閉幕した核保安サミット後に記者会見したオバマ大統領は、核テロの脅威は国際社会への最大の挑戦であり、核保安を優先課題として関係各国が一致団結して当ることが肝要と表明。
・ただ同大統領は、核兵器のない世界を作るとの自身の提唱については、未だ道半ばとコメント。
・米国は、二十年前に741トン保有していた高濃縮ウランを2013年時点で586トンまで減らしており、また、日米合意の上で、日本の原子炉の研究用施設で保管の、高濃縮ウラン数百キログラムを米国に輸送して処分したことも公表。
・ただ、核保有国の雄であるロシアが参加しない核保安サミットでの共同宣言の実効性には疑問。
・一方、オバマ氏退陣もあって、核保安サミットは今回で終了し、今後の開催については、国連などの国際機関に委ねられる。」
同日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』の報道記事「オバマ氏、核テロの脅威に警戒が必要と発言」:
「・4月2日の定例会見でオバマ大統領は、まだテロリストグループに、核兵器に転用可能な核物質などは渡っていないが、アル・カイーダは手に入れようとしており、国際社会が一丸となってこれを阻止することが肝要と発言。
・米国はこれまで、核兵器150発相当の高濃縮ウランやプルトニウムを撤去して処理。
・また、十数ヵ国が高濃縮ウランやプルトニウムを適正に処理していることも称賛。
・しかし、世界にはまだ高濃縮ウランやプルトニウムが多くの軍事・民生用施設に分散して保管されており、テロリストグループに渡らないようにするため警戒が必要。」
同日付英
『ミラー・オンライン』の報道記事「オバマ大統領、過激派組織イスラミックス
テートが核爆弾を入手すれば確実に使用すると警鐘」:
「・オバマ大統領は、過激派組織イスラミックステート(IS)が核爆弾を手に入れれば、これを確実に使用し、多くの罪のない人達が犠牲になることから、世界にとって非常な脅威と表明。
・従って、国際社会は以前にも増して、核兵器に転用可能な核物質の保管・管理を厳重にすることが必須と付言。
・また、キャメロン首相は、ベルギーのテロ攻撃をみるまでもなく、テロリストグループによる核兵器使用の恐れは確実に高まっており、これまで多くの首脳会議で遅々として進まなかった核軍縮や核不拡散等、今こそ国際社会が真剣に協議、合意をすべきときと強調。」
同日付ロシア
『イタルタス通信』の報道記事「国連事務総長、2016年核保安サミットの結
果を歓迎」:
「・核保安サミットに出席していた国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は、2016年核保安サミットの共同宣言を歓迎すると表明。
・国連としても、核兵器によるテロ攻撃には非常な脅威を感じており、2004年の国連安全保障理事会決議1540(大量破壊兵器不拡散に関する決議)の採択、2005年の核テロリズム防止条約(放射性物質等を所持・使用することを犯罪とし、それらを行った者の処罰・引渡しの協力を定める条約)の締結、また2006年の世界反テロリズム国連戦略を設定して対応。」
同日付中国
『チャイナ・ナショナル・ニュース』の報道記事「オバマ氏、核テロリズムを
深刻に懸念」:
「・オバマ大統領は、核テロリズムの脅威を深刻に訴えると同時に、大統領選共和党候補の一人であるトランプ氏が、日韓も核装備すべき等の暴言を吐いていることに対して、外交や核保安政策を全く理解していない人に大統領になる資格はないと酷評。
・しかし同大統領は同時に、今回の核保安サミットにロシアが代表を送らなかった点について、米ロ関係の改善ができなかったとして反省の弁。
・なお、同大統領は、世界各地に2千トンを超える高濃縮ウランやプルトニウムが保管されていること、そしてその一部の保安状況が良くないことから、テロリストグループが奪取に来る恐れがあると警鐘。
・一方、本サミット前に同大統領と習主席が会談し、南シナ海問題も討議され、米国側が、昨年の習氏訪米時の説明(人工島の非軍事拠点化)と異なると指摘したが、習氏は、一部を取り上げての偏った見方、批判であると反論。」
同日付中国
『シナ(新浪)英字ニュース』(
『新華社通信』記事引用)の報道記事「習主席、
世界の核保安関与強化を強調」:
「・核保安サミットに出席した習主席は、核の安全管理で、中国が政治的な関与を強化し、核テロの脅威に対して国際的な協力を積極的に推進していくと演説。
・核テロリズムの防御には一国だけで対応することは困難で、今こそ国際社会が一致団結することが肝要と強調。
・今回が核保安サミットの最終回となるが、同主席は、中国が第1回サミット以降の6年間、核保安のための対策に深く関わってきていること、また、核保安サミット後の今後の核保安対策を万全に行っていくことが重要であるとも付言。」
(注)核保安サミット:世界の各国が連携して、核兵器の製造に適する品質の核物質であるプルトニウムやウランなどが、核テロリズムに使われないように安全や保全を確保し、その維持と管理を厳格に行うことを目的とする国際会議。2009年4月、オバマ米大統領がプラハ(チェコ)において演説を行い、核テロは地球規模の安全保障に対する最も緊急かつ最大の脅威とした上で、核保安サミットを提唱したもの。第1回が2010年4月に開かれ、今回が4回目。
閉じる
米・英・ロシア・中国メディア;イラン、強硬派の反乱(ミサイル発射実験)(2016/03/09)
イランでは、先月の議会選挙で、欧米との協調路線を進める、ロウハニ政権を支持する改革・穏健派が躍進したが、これに反欧米の保守強硬派は危機感を持っている。そうした中、イラン革命防衛隊が弾道ミサイル発射実験を敢行した。これは、反欧米の革命防衛隊とつながる保守強硬派が、その存在感をアピールする狙いで行ったとみられると各国メディアが伝えている。
3月8日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』記事引用)の報道「イラン、軍事訓練の最中に弾道ミサイル発射」:
「・イランの革命防衛隊は3月8日、軍事訓練の一環で、複数の短距離・中距離弾道ミサイルを発射したと発表。
・同空軍のアリ・ハジザーデ司令官は、射程距離は300~2,000キロメーターとコメント。
・国連制裁決議では、核弾頭ミサイル開発の禁止が謳われているが、イラン側は核弾頭ミサイルではないと強調。...
全部読む
3月8日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』記事引用)の報道「イラン、軍事訓練の最中に弾道ミサイル発射」:
「・イランの革命防衛隊は3月8日、軍事訓練の一環で、複数の短距離・中距離弾道ミサイルを発射したと発表。
・同空軍のアリ・ハジザーデ司令官は、射程距離は300~2,000キロメーターとコメント。
・国連制裁決議では、核弾頭ミサイル開発の禁止が謳われているが、イラン側は核弾頭ミサイルではないと強調。
・イスラエル等からの脅威に備えるため、ミサイル含めた軍事力増強は必要とも主張。」
同日付同ニュースの報道「イラン、ミサイル発射実験後、核合意を破棄するとの脅し」:
「・イランは3月8日、国連決議に違反してミサイル発射実験を実施。
・これは、国連の核査察組織(国際原子力機関(IAEA))がイラン核合意条項に反して、イランの違反可能性について公けにしたことに反発したもの。
・イランのアッバス・アラクチ外務副大臣は、もし米国やその他の国がイランの国益を損なうような行動を取るならば、先のイラン核合意を破棄せざるを得ないと表明。」
同日付米
『ロイター通信米国版』の報道記事「ホワイトハウス、イランのミサイル発射実
験は核合意違反ではないと言明」:
「・ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官は3月8日、イランの弾道ミサイルの発射実験は、核合意に違反するものではないとコメント。
・ただ、国連安全保障理事会に議題として上げるべきか、念の為内容を分析中とも追加。」
同日付英
『ザ・ガーディアン』誌(
『ロイター通信』記事引用)の報道記事「イラン、米国
の警告前に弾道ミサイル発射実験」:
「・イランが昨年10月、中距離弾道ミサイルを発射実験したことに伴い、米国は今年初め、イランのミサイル開発に関わる個人、企業のビジネス取引を禁止する措置を決定。
・今回のミサイル発射実験について、米国務省のマーク・トナー報道官は、事態を精査中で、もし違反行為があると認められた場合、国連安保理に議題提起するとコメント。
・米国とフランスの高官は、国連安保理決議第2231号(昨年7月採択)によって、イランは、核兵器開発に結び付くような、いかなる弾道ミサイル開発も禁止されていると表明。
・ただ、オバマ政権は、(核開発に結び付かない)新型ミサイルの発射実験そのものは核合意違反とはならないとコメント。
・なお、同決議採択の際、ロシアと中国は安保理において、イランにミサイル開発や武器取引の禁止を今後も継続することには同意しないと発言。」
3月9日付中国
『シナ(新浪)英字ニュース』の報道記事「イラン、米国の制裁を無視して
ミサイル発射実験」:
「・イランが発射した複数の弾道ミサイルは、それぞれ300、500、800、2,000キロメーターの射程距離。
・米国は1月初め、国連が対イラン経済制裁を解除した翌日、新たにミサイル開発に関わる制裁を決定。
・イランのミサイル発射実験は、ハッサン・ロウハニ大統領を支持する改革・穏健派が議会選挙で勝利を収めて2週間も経たないうちに実施。
・ミサイル発射実験を実行した革命防衛隊が指示を仰ぐのは、ロウハニ大統領ではなく、イラン最高指導者のアリ・ホメイニ師(保守派の元大統領)。」
一方、同日付ロシア国営
『イタルタス通信』の報道記事「イラン准将、ロシアからの武器
購入は核開発とは無関係と言明」
「・イランの革命防衛隊のマソウド・ジャザエリ准将は3月8日、ロシアから武器を購入することは、昨年7月成立の核合意に一切違反しないと言明。
・今年2月、米国務省のトナー報道官は、ロシアがイラン向けにSu-30SM(スホイ30)ジェット戦闘機を販売することを決めたことは、国連決議第2231号(イラン向け武器販売の際の事前承認取得)に違反するとコメント。
・ロシア外務省のマリア・ザハロバ報道官は、同決議は2020年までの期間有効であるが、それ以降の武器輸出につき今から協議してはならないとする制限はないと主張。」
閉じる
その他の最新記事