イスラム過激派の青年に殺害された教師の国葬で、フランスのマクロン大統領が弔辞の中で、「われわれは風刺画をやめない」と宣言した。この発言に対し、中東を中心としたイスラム教の国々ではフランスに対するデモやボイコットの呼びかけが広がっている。
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『アルジャジーラ』によると、マクロン大統領のイスラム教に関する最近の発言に抗議するため、いくつかのアラブの貿易団体がフランス製品のボイコットを発表した。
今月初め、マクロン大統領は、一部のイスラム教徒コミュニティで支配権を握ろうとしている「イスラム主義的分離主義」と戦うことを約束し、さらにはイスラム教を世界的に「危機に瀕している」宗教と表現した。そして政府が、教会と国を正式に分離した1905年の法律を強化する法案を12月に提出することを発表した。...
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『アルジャジーラ』によると、マクロン大統領のイスラム教に関する最近の発言に抗議するため、いくつかのアラブの貿易団体がフランス製品のボイコットを発表した。
今月初め、マクロン大統領は、一部のイスラム教徒コミュニティで支配権を握ろうとしている「イスラム主義的分離主義」と戦うことを約束し、さらにはイスラム教を世界的に「危機に瀕している」宗教と表現した。そして政府が、教会と国を正式に分離した1905年の法律を強化する法案を12月に提出することを発表した。こうした発言に加え、先日、風刺画をやめないと弔辞で発言したことが、アラブ諸国やトルコで反発を招き、スーパーマーケットでの、フランス製品のボイコット運動が繰り広げられるようになった。
クウェートでは、アル・ナエーム協同組合の会長と理事会メンバーが、フランス製品をすべてボイコットし、スーパーマーケットの棚から撤去することを決定した。カタールでもいくつかの企業がフランス製品のボイコットすることを発表した。カタール大学もボイコット運動に参加を表明し、「イスラム教とそのシンボルを意図的に乱用している」として、フランス文化週間のイベントを無期限に延期した。
『ロシアトゥデイ』によると、9月以降のフランスとトルコの外交緊張を背景に、トルコのエルドアン大統領がこの抗議運動を主導してきたと報じている。エルドアン大統領は24日も、マクロン大統領のイスラム教に対する政策を非難し、マクロン大統領は精神科で心理テストを受ける必要があると批判した。
エルドアン大統領が発信してきた抗議運動は中東に広がりを見せ、24日にはイスラエルとパレスチナでも抗議デモが行われた。夕方、駐イスラエルフランス大使公邸前に約200人が集まった。ガザ地区ではデモ隊がフランス大統領の写真を燃やした。しかし、チュニジアのネットユーザーなど一部の人々は、預言者ムハンマドを擁護するためのボイコットなどの手段を批判し、表現の自由を訴えているという。
仏『レゼコー』によると、フランス外務省は、「中東のいくつかの国では最近、フランス製品、特に食品をボイコットする呼びかけが行われているほか、時には憎しみに満ちた言葉でフランスに反対するようネット上で呼びかけが行われている」と遺憾の意を表した。そして、こうした呼びかけは、「良心の自由、表現の自由、宗教の自由、憎しみの呼びかけの拒否」を支持する、フランスが擁護してきた立場を歪めていると訴えている。
同省は、12月に提出される法案と大統領の発言は「フランスの社会、歴史、共和国の一部であるフランスのイスラム教徒と共に、過激なイスラム主義と戦っていく」ことのみを目的としていると強調した。政府は、フランス外交網を動員し、国々に「基本的自由と憎悪の拒否に関するフランスの立場を想起し、説明する」としている。
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米ホワイトハウスは23日、イスラエルとアフリカのスーダンが国交を正常化することで合意したと発表した。スーダンは、米国が仲介するイスラエルとアラブ諸国の関係改善において、イスラエルと国交正常化で合意した3カ国目となった。中近東メディアでは賛否両論の声が上がっており、UAEやバーレーンとの国交正常化の時よりも慎重論が目立つ。
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『アルジャジーラ』は、スーダンの各政党が、イスラエルとの関係を正常化するという暫定政府の決定を拒否し、合意に反対していくと述べたと報じている。
イスラエルとスーダンの国交正常化が発表された23日、首都ハルツームで数十人が、「平和も交渉もイスラエルとの和解もない」、「私たちは降伏しない、私たちは常にパレスチナと共に立つ」と叫んで、デモ行進を行ったという。
人民会議党(Popular Congress Party)のリーダーの1人であるカマル・オマル氏は声明で、スーダンの暫定政府は選挙で選ばれたものではないため、イスラエルとの関係を正常化する権限はないと述べた。...
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『アルジャジーラ』は、スーダンの各政党が、イスラエルとの関係を正常化するという暫定政府の決定を拒否し、合意に反対していくと述べたと報じている。
イスラエルとスーダンの国交正常化が発表された23日、首都ハルツームで数十人が、「平和も交渉もイスラエルとの和解もない」、「私たちは降伏しない、私たちは常にパレスチナと共に立つ」と叫んで、デモ行進を行ったという。
人民会議党(Popular Congress Party)のリーダーの1人であるカマル・オマル氏は声明で、スーダンの暫定政府は選挙で選ばれたものではないため、イスラエルとの関係を正常化する権限はないと述べた。
スーダンは、国内通貨のスーダン・ポンドの急激な下落や消費者物価の高騰など、深刻な経済的苦境に陥り、2019年4月には政府に対する大々的なデモ運動の結果、独裁的なバシール政権が崩壊した。現在は軍民共同の新暫定政府が統治しているが、経済的に厳しい状況が続いている。
バアス党のリーダー、ムハンマド・ワダア氏は、イスラエルとの正常化が合意された場合、暫定政府に対する支援を撤回すると警告する政党がいくつもあると述べている。そして、「政府は大きな間違いを犯した。これは経済的豊かさに導くものではない」と批判した。
一方で、サウジアラビアの『アラブニュース』は、イスラエルのネタニヤフ首相が、両国が関係を正常化することで合意したと発表したわずか2日後の25日に、イスラエルがスーダンに500万ドル相当の小麦を送ると発表したことを報じている。
イスラエル政府は、「我々は暖かい平和を楽しみにしており、新しい友人スーダンにすぐに小麦500万ドル相当を送る」というコメントをツイッター上で発信したという。
スーダンは公式の統計によると年間200万トンの小麦を消費しており、輸入に大きく依存している。ネタニヤフ首相は、「イスラエルはスーダンの民政移管を支援するために、米国と緊密に協力していく」と語り、「まもなくイスラエルの代表団が、多くの分野での協力を議論するために、スーダンで話し合いをすすめることになる」と述べた。
しかし、『アラブニュース』は、関係を正常化する今回の動きは、それを裏切りと呼ぶ人もいれば、沈没する経済を救う方法と見なす人もいるなど、スーダンの深い社会的分裂を表面化させたと指摘している。
なお『エルサレムポスト』は、今回の国交正常化で最もダメージを受けるのはイランだと報じている。イデオロギー的またロジスティックスの両面で打撃を受けるという。
まず、1989年に、30年もの間不動の指導者であったバシール政権が倒され、イスラエルとの正常化が今後実現するのであれば、イランの最高指導者ハーメネイーにも同じことが起こりうることが考えられる。
また、1967年にアラブ連盟が「イスラエルとの和平も、イスラエルの承認も、イスラエルとの交渉もしない 」と宣言し、イスラエルとの国交正常化への反対を宣言した場所だったスーダンの首都ハルツームが、今回この宣言から撤退したことになる。
さらに今回、イスラエルとの国交正常化が、サウジアラビアの影響下にある小さな国を超え始め、拡大しつつあることを象徴した動きだとも推測できる。
国交正常化は、ロジスティックス面でもイランにとっては痛手となる。長年に渡りスーダンは、アルカイダ、イラン、ハマス、その他のテログループにとって西側の監視から姿を消すことができる地域の一つだった。また、ハマスやその他イランの代理組織にイスラエルに対して使用する武器の絶好の密輸ルートとして使われていた。
しかしスーダンとイスラエルとの国交正常化は、イランがこの地域を掌握できなくなる傾向を強めることになる。
トランプ大統領は23日、少なくとも他に5カ国がイスラエルとの国交正常化を希望していると述べている。
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