報道記者や活動家に対するサイバー監視、世界で拡がる
フランスを拠点とする非営利団体「フォービドゥン・ストーリーズ」と17のメディアによる調査の結果、イスラエルのスパイウェア「ペガサス」が、世界の様々な国で携帯電話の盗聴のために使用されている実態が判明した。数十カ国で使用され、5万件以上の電話番号が対象リストに載っていたことが分かった。
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『レゼコー』紙によると、非営利団体「フォービドゥン・ストーリーズ」は、17のメディアのコンソーシアムと協力して、イスラエルの「NSOグループ」社のスパイウェアプログラム「ペガサス」が、世界の様々な国家によって政治家、ジャーナリスト、弁護士に対するスパイ活動のために使用されていることを突き止めた。
このソフトウェアは、イスラエル政府の承認を得て、国家または政府機関にのみ販売されている。...
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『レゼコー』紙によると、非営利団体「フォービドゥン・ストーリーズ」は、17のメディアのコンソーシアムと協力して、イスラエルの「NSOグループ」社のスパイウェアプログラム「ペガサス」が、世界の様々な国家によって政治家、ジャーナリスト、弁護士に対するスパイ活動のために使用されていることを突き止めた。
このソフトウェアは、イスラエル政府の承認を得て、国家または政府機関にのみ販売されている。しかしフォービドゥン・ストーリーズは、NSOの数十の顧客がペガサスを使用したスパイ活動の対象としている5万件以上の電話番号のリストを入手することができた。
このリストは、2016年以降からの数年間に及ぶもので、国際メディアコンソーシアムに共有された。約80名のジャーナリストが数ヵ月かけて、これらの電話番号を分析し、約50ヵ国に及ぶ電話番号の持ち主たちを特定することに成功した。
今回の発表は、サイバー監視が世界で広く行われており、あらゆる国が関与していることを示している。
ペガサスは、単なる「電話盗聴」ツールではなく、携帯電話に入っているすべてのデータ(写真、アプリでやり取りしたメッセージ、アドレス帳など)を吸い取ることができ、非常に効果的で強力なツールだと言われている。このソフトウェアは、アップル社やグーグル社のソフトウェアのセキュリティ上の欠陥を利用して、携帯電話のユーザーに気が付かれることなく、遠隔操作でインストールすることができる。
仏『ル・モンド』紙は、今回の調査結果によって、報道機関に対するスパイ活動がアゼルバイジャンのような独裁的な国だけではなく、民主主義国家でもスパイウェアを利用して行われていることが明らかになったと報じている。
メキシコやインド、ヨーロッパでもハンガリーのように調査報道機関を監視している。モロッコのように、外国人ジャーナリストを標的にすることに躊躇しない国もある。モロッコの諜報機関は、フランスの「ル・モンド」、「メディアパート」、「フランス・テレビジョン」、「ラジオ・フランス」などの、合わせて1000人以上のジャーナリストの電話に対しスパイ活動を行っていたことが判明した。
ジャーナリストへのスパイ行為は、目新しいことではない。以前の調査では、すでに何十人ものメキシコのメディア関係者が、このペガサスのソフトウェアによってスパイ活動の対象となっていたことが明らかになっている。2020年には、カナダ・トロント大学の専門家による調査の結果、カタールのテレビ局「アルジャジーラ」の子会社のジャーナリストや幹部36名がペガサスの攻撃を受けていたことが判明した。同年、アムネスティ・インターナショナルは、モロッコ人ジャーナリストのオマール・ラディ氏の携帯電話もスパイウェアに感染していたことを明らかにした。
NSOグループは、ソフトウェアの適切な使用については基本的には各顧客が責任を負うとしながらも、ジャーナリストが不正に標的にされるのを防ぐために、自社のほうでも厳格な確認体制と監査手順を導入して対策を取ってきたと反論している。シャレブ・ヒューリオCEOは、犯罪やテロとの戦い以外の目的でペガサスを使用する顧客は、NSOから「即座に、決定的に、妥協のない処罰」を受けることになるだろう、と述べている。
しかし、フォービドゥン・ストーリーズとアムネスティ・インターナショナルなどが行った調査では、ジャーナリストに対するスパイウェアの悪用は偶然ではないことがわかる。多くの場合、反体制派や人権侵害を訴える記者や活動家が標的とされている。
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キューバ、約30年ぶりの反政府抗議デモに数年人が参加
基本的な必需品の不足が危機的な状況に達し、新型コロナウイルス感染症の感染者が急増している中、首都ハバナを含むキューバの複数の市や町で11日、数千人の人々が、数十年に及ぶ独裁体制の終結を訴え、食料やワクチン不足に対する怒りと不満の声を上げた。
カタールメディア
『アルジャジーラ』によると、コロナウイルスの流行や経済危機が続く中、市民達は、厳しい生活が強いられていることに不満を募らせているという。数千人の人々が約30年ぶりに反政府デモを行い、一部のデモ参加者は「独裁政権を打倒せよ」「我々は自由を求める」と唱えた。
ハバナの南西に位置する人口約5万人の町、サン・アントニオ・デ・ロス・バノスで行われた日曜日のデモでは、主に若者がミゲル・ディアス=カネル大統領を侮辱する言葉を叫んでいたと、ネット上の動画で紹介されている。...
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カタールメディア
『アルジャジーラ』によると、コロナウイルスの流行や経済危機が続く中、市民達は、厳しい生活が強いられていることに不満を募らせているという。数千人の人々が約30年ぶりに反政府デモを行い、一部のデモ参加者は「独裁政権を打倒せよ」「我々は自由を求める」と唱えた。
ハバナの南西に位置する人口約5万人の町、サン・アントニオ・デ・ロス・バノスで行われた日曜日のデモでは、主に若者がミゲル・ディアス=カネル大統領を侮辱する言葉を叫んでいたと、ネット上の動画で紹介されている。
また、数千人の人々がハバナのダウンタウンや海辺のドライブコースの一部に集まり、警察が厳しく監視する中、抗議活動を行った。
米『マイアミ・ヘラルド』紙によると、フェイスブックでライブストリーミングされた動画では、何千人もの人々が「自由を!」「共産主義を倒せ!」と唱えながら歩いたり、自転車やバイクに乗っていたりする姿が映し出された。大都市だけでなく、小さな町など、様々な場所で抗議活動が行われた。
怒った群衆がパトカーを倒している動画もソーシャルメディア上で流れた。共産主義政府が60年以上にわたって国民を厳しく支配してきたこの国では、これまでに見たことのない驚きの風景だという。キューバ人が共産党政権に抗議するために街頭に出たのは1994年にさかのぼらなければならない。フィデル・カストロがまだ存命していた時期で、当時抗議活動は首都ハバナで行われただけで、長くは続かなかった。カストロがキューバの海上国境を開放したため、共産党体制に不満を持つ何千人ものキューバ人が、その場しのぎのボートやイカダで島を離れ、抗議活動は収まった。
現在、過去30年で最悪の経済危機に直面しているキューバでは、共産主義政権に対する抗議行動が再び行われた。
大統領は、11日午後にテレビで即興の演説を行い、抗議行動の原因は米国の禁輸政策の強化であり、軍事介入を正当化するために「社会的反乱を引き起こす」ことを意図しているものだと主張した。キューバの指導者は、目に見えて動揺しており、声を荒げて、抗議者は強力な取り締まりに直面するだろうと警告した。
『マイアミ・ヘラルド』紙は、キューバは、慢性的な非効率性と極度の官僚主義により、必要不可欠な食料・農業分野を含む国内の生産能力が徐々に損なわれ、過去30年以上で最悪の経済収縮に陥っていると伝えている。トランプ政権時代の制裁により、送金などの重要な経済的ライフラインへのアクセスが低下し、海外からの投資も激減している。また、今年行われた通貨改革により、インフレ率が急上昇し、食料品を求める長蛇の列が再び当たり前になった。
現在、キューバはコロナウイルスの感染を抑制するために奮闘しており、ここ数週間はほぼ毎日、新規感染者数の最高記録を更新している。キューバは、ワクチンを独自に作ることを決め、他国からのワクチンを購入しなかった。しかし、国産のワクチンで国民を予防接種する計画は、大々的に遅れており、医療崩壊が起き始めているという。
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