米・英・アジアメディア;北朝鮮、包囲網を敷かれて新たな抵抗?(2015/11/02)
11月1日にソウルで開かれた日中韓首脳会談で、朝鮮半島の非核化目標を堅持し、北朝鮮の核問題に関する6ヵ国協議の早期再開へ努力することで一致した。またぞろ宿敵韓国を含めた包囲網が敷かれることを嫌ってか、同首脳会談開催に合わせたかのように、北朝鮮側で核実験の準備と思しき作業が始まったと各国メディアが伝えた。
10月30日付
『ボイス・オブ・アメリカ』は、「北朝鮮、核実験場で新たなトンネル掘削」との見出しで、「韓国の聯合(ヨンハプ)ニュースは10月30日、北朝鮮が寧辺(ヨンビョン)の核実験場で新たなトンネルを掘削していることから、核実験を実施する準備を行っているのではないかと伝えた。韓国の情報機関がもたらした情報によると、同実験施設において、これまでになかった人や運搬車両の活発な動きが認められており、北朝鮮が4度目の核実験に踏み切るのではないかという。...
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10月30日付
『ボイス・オブ・アメリカ』は、「北朝鮮、核実験場で新たなトンネル掘削」との見出しで、「韓国の聯合(ヨンハプ)ニュースは10月30日、北朝鮮が寧辺(ヨンビョン)の核実験場で新たなトンネルを掘削していることから、核実験を実施する準備を行っているのではないかと伝えた。韓国の情報機関がもたらした情報によると、同実験施設において、これまでになかった人や運搬車両の活発な動きが認められており、北朝鮮が4度目の核実験に踏み切るのではないかという。北朝鮮研究専門家は、11月1日に開催される日中韓首脳会談に先駆けて、国際社会の関心を北朝鮮に向けさせるためではないかとみる。」と報じた。
同日付
『ニューヨーク・タイムズ』紙は、「北朝鮮、朝鮮労働党の党大会を開催」との見出しで、「北朝鮮の国営朝鮮中央通信によると、朝鮮労働党政治局は、金正恩(キム・ジョンウン)第一書記の下での体制固めのため、来年5月に第7回朝鮮労働党大会を開催することを決めたという。前回は1980年の開催で、過去6回の党大会は、社会主義路線の重要な節目ごとに開かれていた。なお、韓国統一部(省に相当)のチョン報道官は、北朝鮮の動向を注意深くみていると語った。ただ同氏は、北朝鮮が核実験場で新たなトンネルを掘り、核実験の準備をしているおそれがあるとの韓国メディア報道について、その事実は確認していないとした。」と伝えた。
また、同日付
『ザ・テレグラフ』紙(英国、
『ロイター通信』記事引用)は、「北朝鮮が新たな核実験準備と報道」との見出しで、「北朝鮮の核実験再開準備の動きは、日中韓首脳会談2日前に報道されたが、時を同じくして、米国防総省のカーター長官も11月1日、北朝鮮のミサイルや核兵器の脅威への対抗策について韓国の国防部高官と協議するため、訪韓する予定である。なお、寧辺核実験場は北朝鮮の東海岸にあり、そこで過去3度核実験を実施している。3度目の実験は2013年に行われ、同盟関係にある中国からも強い非難が出され、更に、国連から制裁(武器等の輸出入禁止措置)を受けている。」と報じた。
一方、同日付
『アジア・タイムズ』紙(香港・タイ)は、「北朝鮮、新たなトンネルを掘って、核実験準備か」との見出しで、「北朝鮮研究専門家は、金第一書記は、36年振りに朝鮮労働党大会を開いて、自身の統率力を誇示し、今後の方針(編注;核開発と経済改革を同時に進める“並進路線”)を発表するものとみられると述べた。なお、北朝鮮は、党大会前に長距離弾道ミサイル発射や核実験を行い、米韓などとの交渉を有利に運ぼうとしているのではないかという。」と伝えた。
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中国メディア;米国、ついに南シナ海で有言実行の監視航行(2)(2015/10/27)
先に報じたとおり、米政府はついに、米海軍駆逐艦を南シナ海に派遣し、中国が一方的に埋め立てて築いた人工島の12海里(約21キロメーター)以内を監視航行させた。そして、この事態に対して中国メディアも一斉に非難報道を流した。
10月27日付
『新華社通信』は、「中国、米国の南シナ海での行動を非難」との見出しで、「中国の王毅(ワン・イー)外交部長は10月27日、米艦船が中国主権内の南沙諸島の12海里内を航行したことについて、軽率な行動は慎むよう強く求めた。」と報じた。
同日付
『中国国際ラジオ』オンラインニュースは、「中国外交部長、米国の南シナ海での行動に厳しい注文」との見出しで、王外交部長の発言を伝えたことに加えて、在米中国大使館の朱海権(チュー・ハイクァン)報道官の声明を引用して、「いかなる国も航行の自由を理由にして、他国の主権を脅かすような行動は慎むべきである。...
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10月27日付
『新華社通信』は、「中国、米国の南シナ海での行動を非難」との見出しで、「中国の王毅(ワン・イー)外交部長は10月27日、米艦船が中国主権内の南沙諸島の12海里内を航行したことについて、軽率な行動は慎むよう強く求めた。」と報じた。
同日付
『中国国際ラジオ』オンラインニュースは、「中国外交部長、米国の南シナ海での行動に厳しい注文」との見出しで、王外交部長の発言を伝えたことに加えて、在米中国大使館の朱海権(チュー・ハイクァン)報道官の声明を引用して、「いかなる国も航行の自由を理由にして、他国の主権を脅かすような行動は慎むべきである。」と伝えた。
また、10月26日付
『アジア・タイムズ』(香港、
『ロイター通信』記事引用)は、「米海軍駆逐艦、中国が領有権主張の諸島近海を監視航行」との見出しで、「米国はかつて、中国が主権の範囲と主張する南沙(スプラトリー)諸島の12海里内を2012年に監視航行したことがあったが、今回の監視航行は、中国が2013年末から急ピッチで岩礁を埋め立て、人工島建設に取り掛かって以降は初めての行動である。なお、国連海洋法条約(注後記)では、岩礁の上に築かれた人工島には12海里の航行制限は適用されない、としている。」とし、「今回の監視航行は、オバマ大統領と習主席が参加する、11月中旬にマニラ(フィリピン)で開催される“アジア太平洋経済協力(APEC)”直前に実施された。なお、オバマ大統領は2013年、中国が一方的に東シナ海で“防空識別圏”を設定した際にも、B-52爆撃機2機を飛行させている。」と報じた。
なお、中国外交部は王部長のコメント発表後、中国の関係部門が法に基づき、米艦を監視し、追尾し、警告したと、対抗措置を取ったことを明らかにした。更に、米艦の行動は中国の主権、安全への脅威であり、地域の平和と安定を損なうと改めて批判し、強烈な不満と断固たる反対を訴えた。
(注)国連海洋法条約:海洋法に関する包括的、一般的な秩序の確立を目指して、1982年4月の第3次国連海洋法会議にて採択され、1994年11月に発効した条約。165の国・地域と欧州連合が批准している。本条約では、自国の内水に対して、国家は領土と同程度に排他的な権利を行使することができ、内水の外縁となる領海基線から外側に12海里までの水域を沿岸国は領海として設定できるとした。しかし、人工島は島としての地位を有さないとし、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩」に対しては、「岩」独自の排他的経済水域や大陸棚を認めないとした。
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