世界中で猛威を振るう新型コロナウィルス(COVID-19)感染症については、ワクチン開発に注目が集まっている。しかし、防疫も重要ながら、焦眉の急は有効なCOVID-19治療薬の発見であろう。そうした中、英国政府がこの程、中外製薬(1943年設立)が開発した関節リウマチ用の医薬品がCOVID-19重症患者の治療に効果がみられたと公表した。それを受けて、同社の株価は急上昇している。
1月12日付米
『CNBCニュース』:「中外製薬株価、英国政府による同社製医薬品がCOVID-19治療に有効との発表を受けて急上昇」
中外製薬の1月12日株価が、取引途上で+16.26%も急上昇し、終値でも前日比+5.91%の値を付けた。
これは、英国政府が、同社の関節リウマチ用医薬品トシリズマブによってCOVID-19重症患者の治療に大きな効果が得られたとの発表を受けた結果である。...
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1月12日付米
『CNBCニュース』:「中外製薬株価、英国政府による同社製医薬品がCOVID-19治療に有効との発表を受けて急上昇」
中外製薬の1月12日株価が、取引途上で+16.26%も急上昇し、終値でも前日比+5.91%の値を付けた。
これは、英国政府が、同社の関節リウマチ用医薬品トシリズマブによってCOVID-19重症患者の治療に大きな効果が得られたとの発表を受けた結果である。
英国保健省(NHS)は1月7日、同社医薬品を“集中治療が必要となった重症患者に対して24時間以内にトシリズマブを投与したところ、死亡率が24%も改善する効果が得られた”との結果を公表した。
更に、“集中治療が必要となる期間も、平均7~10日も早められた”とも言及した。
(編注;英国との時差のため、1月8日株価には反映せず、翌営業日の1月12日となったものとみられる)
NHSのマット・ハンコック大臣(42歳)は、“(ワクチン開発に続いて)COVID-19感染流行問題から脱却する上でまたひとつの大きな成果が得られた”と強調している。
同政府は、この結果を踏まえて、トシリズマブを全国の集中治療室で使用するよう指導していくとする。
更に、同医薬品を中外製薬と共同開発したスイス製薬会社ロシュ(1896年設立)に対して、英国向けの供給を増やすようはたらきかけるという。
なお、ロシュは中外製薬の大株主(61.62%保有)でもある。
一方、ボリス・ジョンソン首相(56歳)は先週、感染力の高いCOVID-19変異種が蔓延し始めたとして、イングランド・カントリー全土に都市封鎖措置を講じている。
1月7日付『英国政府プレスリリース』:「NHS、COVID-19重症患者の集中治療期間を10日間も短縮可能な治療薬を提供許可」
NHSは1月7日、関節リウマチ用医薬品トシリズマブ及びサリルマブ(注1後記)によって、COVID-19重症患者の死亡率が24%も下がり、また、集中治療室での治療期間も最大10日間短縮できたことが分かったと発表した。
英国政府も資金援助している世界的医療機関共同組織REMAP-CAP(注2後記)英国拠点において、COVID-19重症患者に上記2種類の医薬品を投与した結果、上記のような目覚ましい成果を得られたことが確認されている。
従って、NHSは、英国全土のCOVID-19重症患者の集中治療に当たって、これら医薬品の使用を勧めることとする。
(注1)サリルマブ:商品名ケブザラ。米ニューヨーク州のリジェネロン薬品(1988年設立)及びパリ本社のサノフィ(1973年設立)が共同開発した関節リウマチ用医薬品。
(注2)REMAP-CAP:2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)や2012年の中東呼吸器症候群(MERS)の感染流行問題を契機に、世界中の医療機関が協力し、重症市中肺炎の最適な治療法を、早期に見出すことを目的とした大規模国際プラットフォーム。世界の主要な救命救急医療に携わる医療者、感染症の集団発生に対応できる医療者、その他にもウイルス、免疫の研究者や、統計学者などの多彩な専門家によって主導。日本を含めて、すでに北米、欧州、オセアニアなどの218拠点で、1100人以上の患者が登録。
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