ジョー・バイデン大統領(79歳)は7月中旬、就任後初の中東訪問をした。民主党左派・共和党・人権団体等から批判はあったものの、サウジアラビア訪問では、両国間の安全保障及び経済協力の絆を再確認しただけでなく、同国及びアラブ首長国連邦(UAE)から原油増産政策での賛同を得られた。その成果をアピールする一環からか、この程バイデン政権がその両国向けの大型武器輸出契約を承認した。
8月2日付米
『AP通信』は、「米政府、イラン対抗の一環でサウジアラビア・UAE向けに大型武器輸出契約を承認」と題して、中東で反米政策を強めるイランに対抗していく一環で、バイデン政権がこの程、サウジアラビア・UAE向けに合計50億ドル(約6,650億円)余りの大型武器輸出契約を承認したと報じている。
バイデン政権は8月2日、イランに対抗していく一環で、サウジアラビア及びUAE向けの大型武器輸出契約を承認した。...
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8月2日付米
『AP通信』は、「米政府、イラン対抗の一環でサウジアラビア・UAE向けに大型武器輸出契約を承認」と題して、中東で反米政策を強めるイランに対抗していく一環で、バイデン政権がこの程、サウジアラビア・UAE向けに合計50億ドル(約6,650億円)余りの大型武器輸出契約を承認したと報じている。
バイデン政権は8月2日、イランに対抗していく一環で、サウジアラビア及びUAE向けの大型武器輸出契約を承認した。
これは、ジョー・バイデン大統領の先月半ばの初中東訪問に基づく成果の一環で、両国向けに50億ドル超となるミサイル防衛システムや関連武器の輸出成約となる。
両国は直近数ヵ月間、イランの支援を受けているイエメン反政府武装勢力フーシ(1994年活動開始)からしばしばロケット弾攻撃を受けており、バイデン大統領への協力要請をしたとみられる。
サウジアラビア向けはフーシのロケット弾防衛に資するパトリオットミサイル(米レイセオン社製地対空防衛ミサイル、30億ドル相当)で、UAE向けは終末高高度防衛ミサイル(THAAD、米ロッキー・マーチン社製弾道弾迎撃ミサイル・システム、22億ドル相当)である。
国務省は議会向け通知文書の中で、“サウジアラビア所有のパトリオットミサイル在庫が減少する中、現在及び将来の防衛強化の一環での同ミサイル提供である”とし、“特にフーシがサウジアラビア・イエメン国境を越えて、盛んに無人攻撃機で市民やインフラ施設を攻撃してきており、それに十分対抗できるものだ”と言及している。
また同省はUAE向けについては、“UAEは中東の安全保障を強化する上で、米国にとって重要なパートナーであることから、同国を支援することで結果的に米国の安全保障が達成されることになる”としている。
ただ、バイデン政権は今回の武器輸出はあくまで防衛力強化の一環だとしているが、同政権は昨年、両国がイエメン内戦に深く関わっていることを理由として、両国向けの攻撃用武器輸出を削減すると表明していたことから、米議会から異議が出てくる恐れがある。
8月3日付イラン『メーア・ニュース・エージェンシー』(2003年設立のイラン通信社)は、「米政府、サウジアラビア・UAE向け大規模武器輸出契約承認」と短く報じている。
米国務省は8月2日、サウジアラビア向けにパトリオットミサイル300基、補助機器及び技術支援付帯の武器を提供する契約を承認した。
米国防総省によると、製造及び技術提供するのは米レイセオン社(1922年設立の、防衛・航空宇宙事業を展開する多国籍企業)で、総額30億5千万ドル(約4,060億円)に上るという。
同省はまた、UAE向けにTHAADミサイル防衛システム96基及び補助機器等を提供する契約も承認している。
同ミサイル防衛システムの製造・技術提供するのは米ロッキード・マーチン社(1995年ロッキード及びマーチン・マリエッタが合併して誕生した、航空機・宇宙船の開発製造会社)で、22億5千万ドル(約2,990億円)相当であるという。
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