ロシアとウクライナの戦争にハッカーが参戦
ロシアのウクライナ侵攻が、ハッキングコミュニティを分裂させている。最も有名なハッカー集団のいくつかが、ロシア又はウクライナを支持することで対立し始めている。
米ニュースサイト
『ニュージー』によると、国際ハッカー集団「アノニマス」は、ツイートで「ロシア政府に対するサイバー戦争」を宣言し、国が支援する報道機関ロシアトゥデイや複数の政府ウェブサイトをダウンさせる攻撃を行ったと主張している。また、他のロシア国営放送のチャンネルもハッキングしたと報告している。
ロシア情報機関とつながりがある可能性を指摘されており、昨年は290以上のアメリカにある標的を攻撃したランサムウェアグループ「Conti」は、「ロシア政府を全面的に支持する」と宣言し、いかなる敵対者にも「あらゆる資源を使用して逆襲する」と述べている。...
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米ニュースサイト
『ニュージー』によると、国際ハッカー集団「アノニマス」は、ツイートで「ロシア政府に対するサイバー戦争」を宣言し、国が支援する報道機関ロシアトゥデイや複数の政府ウェブサイトをダウンさせる攻撃を行ったと主張している。また、他のロシア国営放送のチャンネルもハッキングしたと報告している。
ロシア情報機関とつながりがある可能性を指摘されており、昨年は290以上のアメリカにある標的を攻撃したランサムウェアグループ「Conti」は、「ロシア政府を全面的に支持する」と宣言し、いかなる敵対者にも「あらゆる資源を使用して逆襲する」と述べている。サイバー脅威情報会社Orpheus Cyberは、ロシアと連携している別のグループが45を超えるウクライナ政府のウェブサイトから盗まれたデータを入手し、その一部が売りに出されていると報告している。
ハッキング集団がどちらかの側につくのか、その動機は多岐にわたるという。アノニマスのメンバーは、自分たちの指針が「反抑圧」であると述べている。一方、ロシアを支持する集団は、ロシア当局が後援している可能性や、政府から圧力を受けていると感じて活動している集団がいると見られている。
コンピュータセキュリティ企業「Emsisoft」の脅威アナリストであるブレット・キャロウ氏は、「ランサムウェアグループとロシア政府との間にどのような関係があるのか、完全には明らかになっていない。」と述べており、ある程度自由な環境の中で活動している集団である可能性もあれば、ロシア政府の特定の部署のために働いている可能性も考えられると指摘している。
情報セキュリティ会社「Hold Security」の創設者アレックス・ホールデン氏は、「戦争直前のロシア政府は、主要ハッカー集団をシャットダウンしたり、逮捕したり、多くのダークウェブフォーラムやショップをシャットダウンした。これらのサイバー犯罪者は、政権を支持しなければ、次は自分たちの番だと恐れている。」と述べている。
『AP通信』は、ロシアの電撃攻撃に対抗するために結成されたウクライナ人のボランティア「ハッカー」部隊について伝えている。インターネット時代におけるヨーロッパ初の大規模戦争における準軍事的なサイバー攻撃部隊以上の存在感を見せており、情報戦とクラウドソーシングによる情報収集に欠かせない存在になっているという。
このデジタル軍隊の中心にいる37歳のIT企業経営者、ローマン・ザハロフ氏は「私たちは自主的に組織化した群れである」と述べている。世界中に散らばっているウクライナ人のIT専門家たち中心に構成されているという。
ボランティアハッカーたちの発明は、スマートフォンやコンピュータの所有者がどこにいてもロシアの公式ウェブサイトに対する分散型サービス拒否攻撃に参加できるソフトウェアツールから、偽情報をブロックし、ロシア軍の位置を報告し、火炎瓶の組み立てや基本的な応急処置を説明するメッセージングプラットフォームのボットまで、多岐にわたっている。
ただし、こうしたサイバーボランティアの活動効果を計るのは難しい。ロシア政府のウェブサイトは一時的に何度もオフラインになった。しかし、ロシア側は対抗策を講じて乗り切っている。
ウクライナのサイバーセキュリティのトップであるヴィクトール・ゾーラ氏は、4日に行われたオンライン記者会見で、自国の有志IT軍は、軍事目標とみなされるものだけを攻撃しており、その中には金融セクター、国営メディア、鉄道が含まれていると述べた。
ウクライナのデジタル変換担当大臣は、ボランティアによるサイバー軍が現在、テレグラムで29万人のフォロワーを数えることを明らかにした。ゾーラ氏は、ウクライナのボランティアの仕事の1つは、ロシアの軍事システムを攻撃するための情報収集であると述べている。
サイバーセキュリティの専門家の中には、サイバー規範に違反するフリーランサーに助けを求めることは、危険なエスカレートをもたらす可能性があると懸念を示す者もいる。あるハッカーグループは、ロシアの衛星をハッキングしたと主張した。ロシアの宇宙機関ロスコスモスのドミトリー・ロゴージン長官は、この主張を虚偽だとしたが、インタファクス通信の引用で、このようなサイバー攻撃は戦争行為とみなされるとも述べている。
ゾーラ氏によると、ロシアのハッカー集団も、ウクライナ政府関係者への標的型メール攻撃や、個々の市民のデバイスを感染させる破壊的なマルウェアを広めようとしているという。
ウクライナ軍は、侵攻のかなり前から米国サイバー軍の支援を受けており、ロシアが攻撃してきたとき、ちょうどサイバー部隊を立ち上げてようとしていたところであったという。
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ロシアで営業を続ける企業への圧力
ウクライナ侵攻により、欧米の飲食業界大手に対するロシア撤退への圧力が高まっているという。
3月7日付英
『BBC』:「ロシアを巡りマクドナルドやコカ・コーラのボイコットを求める声」:
ウクライナ侵攻により、欧米の飲食業界大手に対するロシア撤退への圧力が高まっている。
SNS上では、マクドナルドやコカ・コーラが侵攻への言及をせずに、ロシアで営業を継続していることへ批判が向けられている。ネットフリックスやリーバイス等の有力企業は既に販売やサービス停止を決めている。今月7日には、「#マクドナルドボイコット」がツイッターでトレンド入りした。...
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3月7日付英
『BBC』:「ロシアを巡りマクドナルドやコカ・コーラのボイコットを求める声」:
ウクライナ侵攻により、欧米の飲食業界大手に対するロシア撤退への圧力が高まっている。
SNS上では、マクドナルドやコカ・コーラが侵攻への言及をせずに、ロシアで営業を継続していることへ批判が向けられている。ネットフリックスやリーバイス等の有力企業は既に販売やサービス停止を決めている。今月7日には、「#マクドナルドボイコット」がツイッターでトレンド入りした。
その外にも、KFCやペプシコーラ、スターバックス、バーガーキングへもロシアでの営業停止を求める声があったが、これらの企業も沈黙を続けている。KFCは昨年、ロシア国内店舗数が千店舗に達し、昨年には年間100店舗出店目標を掲げていた。
マクドナルドはロシア国内に947店舗展開するが、多くはフランチャイズ店で、契約条件によりフランチャイズ店に営業停止決定ができる場合も多い。スターバックスのケビン・ジョンソンCEOは、ウクライナ侵攻は 「理不尽で正当性のない」ものとコメントしたが営業は継続。多くの店舗はクウェートのアルシャヤグループが経営している。
英国のビジネス倫理研究所(IBE)のピーターズ所長は、「このような事態にどう動くかで企業が判断される時代だ。倫理的決断は、政府当局の規制や制裁措置を順守するのと同様に重要で、多くの企業は重大な決定を左右する「倫理的指針」を持つ。このような事態で企業が常に俯瞰的視野に立ち、短期的利益に優先して、正確な判断をするよう努めることが重要」だとしている。
同氏は、ロシアでの営業停止を検討する上での重要な倫理ジレンマとして、「現地の従業員へのケアはどこまで負うのか?」や「ロシア市民の主要な食を奪うのはフェアなのか?」を挙げている。
ヘンリービジネススクール・ビジネス倫理学のAkrivou教授は、コンサルティング会社などと比べ、飲食業界における決断は難しく、「ロシア国民の食や尊厳を奪う制裁となると、実情をアピールし企業はより慎重になるべき。ファストフード大手は評価的リスクと同時に、人々への影響をバランスよく考慮することが重要」だとしている。
同日付米『CBSニュース』:「マクドナルドとペプシコがまだロシアで営業中」:
ロシアのウクライナ侵攻があっても、世界最大手ファストフードのマクドナルドがロシアでの販売を停止していないことで批判が高まっているという。
これまで、米国その他の200社以上がロシアでの営業を停止している一方、主にマクドナルドやペプシコなど32の企業がロシアでの営業を継続中。これら企業の対応に、SNS上では当社製品のボイコットを求める声が高まっている。
マクドナルドはロシア国内に845店舗を持ち、その収益は全体の9%。ロシアでの営業開始はベルリンの壁崩壊の3か月後の1990年1月。
ニューヨーク州の財務監督官は、非常に不安定な情勢下で、ロシアでの営業を継続することはリスクがあると指摘。リスクを分析し、企業と株主利益にとり最善の決定をするよう求めている。
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