トランプ前大統領元側近の暴露本;トランプ自身からの非難で売り上げ落ち込み【米メディア】
米社会に分断をもたらしたトランプ前大統領は、元側近の中でも各々発刊する「回想録」の中で賛否が分かれている。そしてこの程、2016年大統領選時に選挙対策本部長を務め、大統領顧問であった元側近の「回想録」が、最初のうちはそこそこ売り上げられていたものの、記載内容が気に入らないトランプからの攻撃を受けて俄かに売り上げを落としている。
6月5日付
『ザ・ラップ』オンラインニュース(2009年設立)は、「トランプ前大統領元側近のケリーアン・コンウェイ発刊の回想録、トランプから非難を浴びて売り上げ落ち込み」と題して、2016年大統領選時の選挙対策本部長を務めたコンウェイ氏が発刊した回想録「それで決まり」が、記載内容についてトランプから非難されたことから、売り上げを落としていると報じている。
ケリーアン・コンウェイ氏(55歳)は、2016年大統領選時のトランプの選挙対策本部長で、後に大統領顧問も務めた人物である。...
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6月5日付
『ザ・ラップ』オンラインニュース(2009年設立)は、「トランプ前大統領元側近のケリーアン・コンウェイ発刊の回想録、トランプから非難を浴びて売り上げ落ち込み」と題して、2016年大統領選時の選挙対策本部長を務めたコンウェイ氏が発刊した回想録「それで決まり」が、記載内容についてトランプから非難されたことから、売り上げを落としていると報じている。
ケリーアン・コンウェイ氏(55歳)は、2016年大統領選時のトランプの選挙対策本部長で、後に大統領顧問も務めた人物である。
彼女が5月24日に発刊した回想録「それで決まり」は、『ニューヨーク・タイムズ』紙が当初ベストセラー本一覧に掲載する程で、これまでに2万5千部売れている。
しかし、他のトランプ元側近等の暴露本に比べて、大した数字ではない。
『ジ・インテリジェンサー』紙(1804年創刊のペンシルベニア州地方紙)報道どおり、トランプ前大統領の姪に当たるメアリー・トランプ氏(57歳)が暴露本「過大で全く不十分(副題;世界で最も危険な男)」を2020年7月に発刊した際には、1日で95万部も売り上げた。
また、卓越したジャーナリストのボブ・ウッドワード氏(79歳、『ワシントン・ポスト』紙名誉編集委員、ウォーター事件報道でピューリッツァー賞受賞)が2020年に著した『憤怒』は、発売1週間で60万部を突破している。
しかし、コンウェイ氏の著書には、2016年大統領選時にトランプが投票数週間前に撤退を考えたとの逸話が掲載されていることから、トランプ自身から猛烈に非難された。
彼女は、発刊前の抜粋の中で、悪名高い「アクセス・ハリウッド・テープ」(注後記)報道がなされた際、選挙から撤退しようとしたトランプを説得したと言及していた。
これに対して、トランプの報道官リズ・ハリントン氏が『デイリィ・ビースト』オンラインニュース(2008年設立のリベラル系メディア)のインタビューに答えて、“コンウェイの回想録は「全くのでたらめ」”とコメントした。
また、トランプ自身も5月24日、彼が立ち上げたソーシャルメディア・プラットフォーム『トゥルース・ソーシャル』(2021年設立)に、“コンウェイは、自分が選挙に負けると思った等一切発言したことはなかった”とした上で、“もしそうだったとしたら、とっくに彼女を馘首していた”と投稿した。
更にトランプは、“彼女のクレイジーな夫と同様、ばかげている”として非難した。
コンウェイ氏の夫はジョージ・コンウェイ三世氏(58歳、弁護士・保守系政治活動家)で、トランプ再選阻止運動「リンカーン・プロジェクト」の共同創設者となっている。
なお、コンウェイ氏の回想録は、トランプの元側近クリス・クリスティ氏(59歳、元ニュージャージー州知事)の著作物(発刊1週間で3千部以下)や、メーガン・マケイン氏(37歳、作家・政治評論家、故ジョン・マケイン上院議員の長女)の著書「不快な共和党員」(発刊数日で僅か244部)より遥かに売れてはいる。
(注)アクセス・ハリウッド・テープ:米国大統領選挙の1ヵ月前の2016年10月、『ワシントン・ポスト』紙が報道した、当時の大統領候補ドナルド・トランプとテレビ司会者のビリー・ブッシュが2005年に「女性に関する非常にみだらな会話」をしたことについての証拠ビデオに関わる記事。
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アメリカの青少年:メンタルヘルス低下が社会問題に
30年前、アメリカの思春期の子どもにとって最も深刻な脅威は、大量飲酒、飲酒運転、10代の妊娠、喫煙であった。しかし現在、精神疾患の割合の高騰が新たな懸念となっている。
米紙
『ニューヨーク・タイムズ』によると、2019年には、青少年の13%がうつ状態を経験したと報告されており、2007年から60%増加している。これを反映するように、不安、気分障害、自傷行為で救急外来に連れて来られる青少年が急増しているという。米疾病対策予防センターは、10歳から24歳では、2000年から2007年にかけて安定していた自殺率が、2018年には60%近くも跳ね上がったと発表した。
10代のメンタルヘルスの低下は、コロナのパンデミックによって強まったものの、それ以前から、人種や民族、都市部と農村部、社会経済的格差にまたがって見られた共通の傾向だという。...
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米紙
『ニューヨーク・タイムズ』によると、2019年には、青少年の13%がうつ状態を経験したと報告されており、2007年から60%増加している。これを反映するように、不安、気分障害、自傷行為で救急外来に連れて来られる青少年が急増しているという。米疾病対策予防センターは、10歳から24歳では、2000年から2007年にかけて安定していた自殺率が、2018年には60%近くも跳ね上がったと発表した。
10代のメンタルヘルスの低下は、コロナのパンデミックによって強まったものの、それ以前から、人種や民族、都市部と農村部、社会経済的格差にまたがって見られた共通の傾向だという。昨年12月には、米医務総監が珍しく公開の勧告を行い、青少年の間で「壊滅的な」精神衛生上の危機が発生していると警告した。また、多くの病院や医師団体も、精神疾患の増加、専門家や治療の選択肢の不足、こうした傾向に関する研究が進んでいないなどの理由で、子どもたちのメンタルヘルス問題は国家的緊急事態であると声を上げている。
カリフォルニア大学アーバイン校の心理学者キャンディス・オジャーズ氏は、「若者は教育水準が高く、10代での妊娠や薬物使用も少なく、事故や怪我で死亡することも少ない。多くの指標から見て、子供たちは素晴らしい成績を収め、成長している。しかし、不安、うつ、自殺といった非常に懸念すべき傾向が見られる。子ども達にとっては生きるか死ぬかの問題であり、我々はそれを解明する必要がある。」と語っている。
こうした危機は、しばしばソーシャルメディアの台頭に起因するとされているものの、この問題に関する研究はまだ限られている。連邦政府の調査によると、現代の青少年は睡眠及び運動不足の傾向があり、友人と直接会って過ごす時間も昔に比べて減っている。その結果、不安、うつ、強迫行為、自傷行為、さらには自殺などが増えていると推測されている。
米イリノイ州紙『シカゴ・サンタイムズ』によると、処方薬、市販薬、違法薬物を問わず、薬物を摂取して中毒になった6歳から18歳の子どもたちに関する、全米中毒データシステムの過去20年間のデータを分析した結果、2000年から2020年にかけて、特に10代前の子どもたちの間で、自殺につながる薬物摂取が急激に増加したことが判明した。思春期の子どもでは2.4倍、10歳から12歳の子どもでは4.5倍の増加率だった。
専門家たちは、いじめやその他の否定的な行動あるいは投稿が普通に閲覧できてしまうソーシャルメディアの普及を問題視している。一方で、若者は教室や運動場で成功しなければならないという強いプレッシャーにさらされていることも指摘されている。
なお、米テキサス州公共ラジオ局『KUT』によると、米国疾病対策予防センターの思春期・学校保健部門が4月、2021年1月から6月にかけて、全米の公立・私立の高校生7705人を対象に調査したところ、10代のほぼ半数が、調査を受ける前の12カ月の間に、ほとんど毎日、あるいは2週間以上続けて、一貫して悲しい気持ちや絶望的な気持ちになり、これまで行っていた活動をやめてしまったと回答した。この調査を担当したキャスリーン・イーシアー氏は、パンデミックが10代のメンタルヘルスの低下を後押ししたとコメントしている。
一方で、調査によると、学校内で他の人とつながっている、あるいは学校には自分を気にかけてくれる人、自分の幸せに関心を持ってくれる人、自分の成功に興味を持ってくれる人がいると感じている若者は、20年後に精神的な健康状態、薬物使用、暴力の経験、性的な健康面でより良い結果をもたらしていることが判明したという。
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