1期目で移民政策を推し進めたトランプ前大統領は、移民の一部が「米国の血を汚している」と過激な発言しており、移民政策の規制強化を公約しながら、共和党の最有力候補としてキャンペーンを続けている。
12月17日付
『ロイター通信』:「”血を汚している”と移民批判を繰り返すトランプ氏」
大統領選で共和党の最有力候補であるドナルド・トランプ氏は16日、正規ルートでない移民は「米国の血を汚している」と、以前ナチス同様の差別発言だと批判されたことのある発言を繰り返した。
ニューハンプシャー州ダーラムで行われた集会演説で、参加した数千人の支持者を前に、不法移民が記録的多数になっていることを批判し、「彼らは米国の血を汚している。...
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12月17日付
『ロイター通信』:「”血を汚している”と移民批判を繰り返すトランプ氏」
大統領選で共和党の最有力候補であるドナルド・トランプ氏は16日、正規ルートでない移民は「米国の血を汚している」と、以前ナチス同様の差別発言だと批判されたことのある発言を繰り返した。
ニューハンプシャー州ダーラムで行われた集会演説で、参加した数千人の支持者を前に、不法移民が記録的多数になっていることを批判し、「彼らは米国の血を汚している。移民は南米に加えて、アジアやアフリカからも米国に来ている。世界中から米国に溢れている」と述べた。同氏は大統領に当選したら、不法移民の取り締まりと移民制限を行うと公約している。
トランプ氏は、今年9月の右翼ウェブサイト「ナショナル・パルス」とのインタビューでも同じ表現を使っており、名誉毀損防止連盟のジョナサン・グリーンブラットCEOから、「差別主義、外国人嫌悪、卑劣だ」と批判されていた。
ファシズムが専門のイェール大学ジェイソン・スタンレー教授は、ナチス党首アドルフ・ヒットラーが政治著書「マイン・カンプ (わが闘争)」で「ドイツ人の血がユダヤ人により汚されると警告したのと同じで、「同氏は今、集会でこの言葉を繰り返している。危険な演説を繰り返すことで、それが一般化し、実行されるようになる。これは米国移民にとり非常に懸念すべきことだ」とする。
一方、民主党の候補と推定されるジョー・バイデン大統領は、人的配慮と規律を重視した移民政策を掲げるが、記録的な不法移民問題を前に、再選キャンペーンではマイナスとみられている。
12月16日付米『CNN』:「トランプ氏がニューハンプシャー州での演説で、プーチン氏を引用、反移民レトリックを繰り返す」:
トランプ前大統領は16日ニューハンプシャー州ダーラムでのキャンペーン集会で、バイデン氏は「民主主義への脅威だ」と批判したロシアのプーチン大統領の発言の引用だとして、「米国の政治制度の腐敗を知らしめるためにも、ロシアが政治的理由でライバルを迫害することは良いことだ」等と述べた。
演説でトランプ氏はまた、ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相を「非常に尊敬している」、北朝鮮の金正恩氏も「素晴らしい」と述べ、反民主主義を掲げることで権力を維持する他国の首脳を称賛した。
移民については、「世界中から移民が米国にやってくる。彼らは米国の血を汚している。そういうことをしているのだ」等と批判。キャンペーンメッセージとしてこのような横暴なレトリックを使うことは度々見られる。
これに対し、バイデン政権の広報担当者アマル・ムーサ氏は16日の声明で、トランプ氏は「ヒットラーを真似た」発言をしたと批判。
共和党のトランプ氏のライバル候補であるフロリダ州ロン・デサンティス知事は16日、この発言は聞いていないが、不法に国境を超える移民、特に「従軍年齢に達している男性」が米国にもたらす「大きなリスク」に触れた。トランプ氏のニューハンプシャー州訪問は、ライバル候補デサンティス知事が、同州を訪問した次の日だった。
一方で、ニッキ・ヘイリー前サウスカロライナ州知事が、同州で人気のクリス・スヌヌ知事から承認を受け勢いを増している。スヌヌ知事はトランプとの対立関係を表明してきた。スヌヌ知事の承認の影響は不明だが、最新のアイオワ州の世論調査では、知事の承認後、デサンティス氏への支持はわずかに増えるに留まっているという。
先月発表されたニューハンプシャー州の共和党予備選挙予想調査によると、トランプ氏が42%を獲得。次候補は20%となった。
トランプ氏は全米の世論調査でもリードしている。14日に発表されたピュー・リサーチ・センターの調査によると、予備投票の候補者として、共和党員の52%が前大統領を支持、次の候補としてはデサンティス氏が14%となった。
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米
『デイリー・コーラー』によると、ロイド・オースティン国防長官は、19日の記者会見で、アフガニスタンでは米軍は「外に出ていって多数の人々を集める能力はない」と述べた。そして、現在の避難活動は米国が望んでいた状況にはほど遠いと述べた。「我々はこれらの活動を促進するために、より多くの軍事的支援を導入するつもりだ。できるだけ多くの人々を避難させるために、本当に懸命に取り組んでいる」、しかし、「率直に言って、避難させる人数という点では、我々が望んでいるところに近づいていないのは明らかだ」と述べた。国防長官は、24時間体制で「可能な限り全員を避難させる」ことを約束した。
アフガニスタンには1万人から1万5千人のアメリカ人がいると言われている。米『ナショナルレビュー』は、1979年のイランの人質事件や、その後すぐに起こったレバノンの人質事件の時と同様に、タリバンは、アメリカ人を人質にすることで得られる影響力を十分に認識していることは間違いないと報じている。したがって、避難は単なる緊急の人道的問題だけではなく、タリバンが米国人を人質にとることを防ぐために不可欠であると伝えている。
しかし『ナショナルレビュー』は、バイデン政権がこの脅威に直面して自信を失っていると指摘している。
17日、国務省はアフガニスタン国内にいるアメリカ人に電報を送り、カブールの空港に向かうようにと伝えたが、「この旅をするにあたって、米国はあなたの安全を保証できないことをご承知ください」と警告した。19日の記者会見では、国防総省のジョン・カービー報道官は、何人がアフガニスタンから脱出できたのか、何人がまだ取り残されているのかを把握していないことを認めた。
さらに同日、ロイド・オースティン国防長官は、アフガニスタンから国民を脱出させるための米軍の能力について質問されたとき、「我々には、外に出て多数の人々を集める能力はない」と答えた。そして、「可能な限り全員を避難させる。時間がなくなるか、能力が尽きるまで。現在、カブールまで作戦を拡大する能力はない」と付け加えた。
『ナショナルレビュー』は、この記者会見での国防長官の回答を非難している。アフガニスタンは20年間にわたって米軍が平然と活動してきた場所であるだけでなく、「このような姿勢は到底受け入れらない。アメリカ的ではない。これは我が軍の本質ではない。アイゼンハワーやダグラス・マッカーサーは言うまでになく、ノーマン・シュワルツコフがこのような答え方をするだろうか」と指摘している。そして、「軍人たちたちはどうしてしまったのだろうか。私たちが国防に費やしている7千億ドル(約77兆円)をどう使っているのか。国内外、民間人、軍人を問わず、危険にさらされているアメリカ人を守るためでなければ、彼らはそのお金が何のためにあると考えているのだろうか。」と批判している。
米『ナショナル・パルス』は、国務省がカブール陥落のわずか数ヶ月前に、アメリカ人を危険地域から迅速かつ安全に避難させることを目的とした国務省の「有事・危機対応局」を閉鎖していたことが取材で明らかになったと伝えている。
海外のアメリカ人に対する医療・外交・物流支援を目的とした「有事・危機対応局」は、今年の初めにアントニー・ブリンケン国務省によって一時活動中止とされ、タリバンがアフガニスタンを占領する数ヶ月前の6月に正式に閉鎖された。
ブリンケン国務長官は、通常表舞台には出てこないこの組織に関して「世界中でアメリカ人の命を救うためのプラットフォームと人材を提供しており、特に危機的な状況下では重要な役割を果たしている。コロナウイルスのパンデミックの初期段階では、各国が国境を封鎖し始めた中、10 万人のアメリカ人をアメリカに避難させ、送還するために不可欠な存在だった。」と説明していた。
しかし、『ナショナル・パルス』が取材したところ、将来、海外のアメリカ人がベンガジのような状況に陥るのを回避するという明確な目的で、有事・危機対応局を創設するというトランプ政権の狙いに、国務省内部のキャリア官僚が反対していたことが分かった。そして、アフガニスタン撤退が迫る中でも、資金提供と活動が取り消されたという。
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