インドの裁判所、家にトイレを作らない夫との離婚請求を認める(2017/08/21)
インド北西部のラジャスタン州の裁判所は18日、家にトイレを作らない夫に対する20代の妻の離婚請求を認める判決を出した。インドの法律では、家庭内暴力あるいは残酷性が認められる場合、不当な金銭の要求があった場合等の限定された状況でしか離婚は認められないが、屋外で用を足すことを強いられる状況は、拷問の一形態であると裁判所は判断した。地元メディアの他、AFP通信、BBC通信等が報じている。
この女性は5年間の結婚生活は残酷で耐えがたいものであったとして、2015年に離婚訴訟を提起した。本訴訟を担当したラジェンドラ・クマール・シャルマ判事は、屋外で用を足すために暗くなるまで待っている女性たちは、身体的苦痛に耐えているという判断を示した。女性の弁護士がAFP通信に対し語ったところによると、裁判官は野外での排泄行為は恥ずかしい行為であるばかりでなく、安全な環境を認めない拷問の一形態であると判示し、離婚の請求を認めたという。...
全部読む
この女性は5年間の結婚生活は残酷で耐えがたいものであったとして、2015年に離婚訴訟を提起した。本訴訟を担当したラジェンドラ・クマール・シャルマ判事は、屋外で用を足すために暗くなるまで待っている女性たちは、身体的苦痛に耐えているという判断を示した。女性の弁護士がAFP通信に対し語ったところによると、裁判官は野外での排泄行為は恥ずかしい行為であるばかりでなく、安全な環境を認めない拷問の一形態であると判示し、離婚の請求を認めたという。
タイムズ・オブ・インディアは、「人々はタバコ、酒、携帯電話に金を使うが、家族の尊厳を守るためにトイレを作る気は余りない。村では女性は用を足すために日の入りまで待たなければならない。これは肉体的な残酷行為であるだけでなく、女性の節度への暴行である。」と裁判所の判決を引用し、報じた。
インドでは、トイレを家に作らないという理由で婚約を破棄したり、結婚生活が崩壊したりする例がときどきあるという。ナレンドラ・モディ首相は、2019年までに全世帯にトイレを完備するという公約を掲げており、政府は2014年以来、2,000万基のトイレを作ったとしているが、進捗状況は必ずしも捗々しいとは言えない。インドでは、携帯電話の普及率が90%に達しているのに対し、トイレの普及率は全世帯の約70%に止まっている。
屋外で用を足すことは、特に田園地域ではよく見られるが、多くの人が暗い夜間に野外に出かけなければならないので、人々の安全を守り、苦痛を防止するために、トイレの設置が推進されている。しかしトイレが備え付けられたところでも、衛生状態が悪いため、病気を恐れて、決して多くの人が使っているわけではない。昨年ユニセフ(国連児童基金)が見積もったところでは、インドの人口の約半数にあたる6億人がトイレを使用していないということだ。
閉じる
広がる中国の鉄道網がチベット、台湾へ(2016/03/07)
中国が第13次5か年計画を発表し、その中で中国は今後も成長を続ける旨宣言している。その一環として四川省成都とチベット自治区の首府ラサ市をつなぐ鉄道を建設予定であることが発表された。さらに中国は台湾の都市、台北と福建省福州を結ぶ鉄道も計画中であるという。各メディアは以下のように報じている。
3月4日付
『ロイター通信』(米)は中国が先に発表した5か年計画の中で、チベットのラサ市と四川省成都を結ぶ鉄道の建設を計画中であると伝えている。チベットは、中国からの独立運動がある点のみならず、ネパールやミャンマーと国境を接しているため、この地域での鉄道の開通は外交的にも非常にデリケートな問題をはらんでいるとされる。
この鉄道はラサと成都を現在は2日以上かかるところを15時間で結ぶものであり、物流の面では便利になる点も指摘されている。...
全部読む
3月4日付
『ロイター通信』(米)は中国が先に発表した5か年計画の中で、チベットのラサ市と四川省成都を結ぶ鉄道の建設を計画中であると伝えている。チベットは、中国からの独立運動がある点のみならず、ネパールやミャンマーと国境を接しているため、この地域での鉄道の開通は外交的にも非常にデリケートな問題をはらんでいるとされる。
この鉄道はラサと成都を現在は2日以上かかるところを15時間で結ぶものであり、物流の面では便利になる点も指摘されている。鉄道ルートに位置するチベット自治区内ニンティ市の市長は「鉄道は経済発展、とりわけ観光業に貢献するものであり、早期完成を望む」とコメントしている。
中国は2006年にもラサ市と中国青海省西寧を結ぶ鉄道(青蔵鉄道)を、建設費4500億円を投じて開通させている。
今回の中国政府の発表について、チベットを国外追放された運動家や人権団体のメンバーらは、鉄道の開設により中国の文化が流入し、チベットの民族的独立性が脅かされると批判している。
3月5日付
『タイムズ・オブ・インディア』(インド)は今回発表された計画を「インドへの脅威」と捉えている。というのもインドはネパールと国境を接しており、鉄道の開通により成都からラサ市への武器の輸送がしやすくなると考えられるためである。
同記事は2006年に開通した青蔵鉄道についても言及している。この鉄道は世界一高い標高に設置され、ヒマラヤの遠隔地と中国を結ぶもので、全長1956キロに及ぶものであるが、建設の目的は中国の同地域への支配を誇示するためともいわれている。中国のヒマラヤ地域への進出はこれだけにはとどまらない。ここ数年でヒマラヤ地域だけで5つの新空港が建設され、多くの道路も作られている。これらのインフラ整備は、特にインド最東部の地方であるアルナチャル・パラディシュにとって、脅威であるとされる。アルナチャル・パラディシュは北に中国と国境を接しており、中国はこの地域をチベットの一部だと主張しているためである。
計画の詳細は明らかにされていないものの、ラサ市と四川省間の鉄道は1629キロで、今年にも着工予定だという。
3月6日付
『ブルームバーグ・ビジネス』(米)は5か年計画の中で中国が台湾の都市台北と福建省福州を結ぶ180キロの鉄道建設も計画中であると報じている。
ただ、これに関しては技術的には可能だが、政治的には難しいとの見方が大半である。台湾行政大陸委員会は「このような鉄道の建設は国の安全保障にかかわる問題であり、中国が一方的に決められるものではない」とのコメントを発表している。台湾では比較的中国寄りだった中国国民党が政権を失い、民主進歩党の蔡英文氏が今年1月総統に当選している。ただ、蔡氏の任期は今年5月からであり、蔡氏のこの問題に対する立場は明らかにされていない。
閉じる
その他の最新記事