バイデン大統領の国連演説に対する厳しい評価
バイデン米大統領は21日、初の国連総会一般討論演説に臨み、中国との競争が激化する中、新たな冷戦を伴わない活発な競争の新時代を描き、同盟国との協調を重視するとともに、新型コロナウイルスや気候変動などの問題に取り組む必要性を訴えた。しかし、この演説に対して厳しい評価が下されている。
シンガポールの
『ストレーツタイムズ』紙は、バイデン大統領は演説で、政治家としての必要条件をすべて満たし、国際社会が共通で直面している課題に対して一致団結することを呼びかけたと報じている。しかし、国連で政治家らしい発言をするのは簡単なことだと指摘している。同紙は次のように伝えている。「現実世界では、米国のリーダーシップとパートナーシップの約束は、国内外の一連の緊張と危機によってかげりを見せている。米国内では、デルタ株による感染が急増しており、ワクチンへの躊躇や懐疑的な見方から未だに感染が拡大しており、その抑制に苦慮している。...
全部読む
シンガポールの
『ストレーツタイムズ』紙は、バイデン大統領は演説で、政治家としての必要条件をすべて満たし、国際社会が共通で直面している課題に対して一致団結することを呼びかけたと報じている。しかし、国連で政治家らしい発言をするのは簡単なことだと指摘している。同紙は次のように伝えている。「現実世界では、米国のリーダーシップとパートナーシップの約束は、国内外の一連の緊張と危機によってかげりを見せている。米国内では、デルタ株による感染が急増しており、ワクチンへの躊躇や懐疑的な見方から未だに感染が拡大しており、その抑制に苦慮している。アメリカ南部の国境には、絶望したハイチからの移民があふれている。民主党内の進歩的な人たちの落胆をよそに、バイデン政権は彼らを強制送還することにした。最近のポリティコ/モーニング・コンサル社の世論調査によると、有権者は移民問題への対応について、40%対45%と、民主党よりも共和党議員を信頼している。また、ロイター/イプソス社の最新の世論調査によると、バイデン大統領の移民問題への対応を評価している米国の成人はわずか38%に過ぎない。」
さらに、「民主党が分裂し、共和党が譲らないため、大統領が変革の遺産と称しているインフラや社会支出に関する法案が成立する見込みはますます低くなっている。海外では、アフガニスタンからの撤退、タリバン政権の政権復活、そして子供を含む罪のない民間人を誤って殺害した無人機攻撃は、アメリカの信頼性を高めてはいない。同盟国そしてパートナーという言葉を頻繁に使っているが、オーストラリアとイギリスとの安全保障条約であるAukusが、同盟国であるフランスを憤慨させている。」と現実との矛盾を指摘している。
米『ナショナルレビュー』によると、ニッキー・ヘイリー元米国連大使はフォックス・ニュースの番組で、「バイデン大統領のスピーチは、アメリカへの脅威と敵に関する現実と深刻さを無視していた。中国、ロシア、イラン、北朝鮮、ベネズエラ、アフガニスタン、そしてテロなどについてだ」と語った。そして「敵に対するバイデンの生ぬるい態度のために、同盟国は、前政権では明確に保証されていた支援を、もはや我々に信頼して求めることができなくなっている。バイデンが居眠りしているので、同盟国は我々を信用せず、敵は喜んでいる」と述べた。
『ニューヨークポスト』によると、トム・コットン上院議員は、バイデンの演説はアメリカの国際的な地位を傷つけるものであり、屈辱的な弱さを示すものだったと非難した。「大統領は、新たな冷戦を求めないと言った。しかし中国は何十年もの間、アメリカやアメリカの労働者、軍隊に対して冷戦を仕掛けてきた。だから、問題は冷戦を求めるかどうかではなく、それに反撃するかどうかなのだ。」と付け加えた。また、「バイデンは中国という言葉を口にしようとしない。世界の指導者たちに向けた演説で中国の名前を出すことを恐れているようだ。それは中国にどのようなメッセージを送っていることになるのか。今、中国の指導者達はバイデンを笑っている」と批判している。
コットン氏はまた、アフガニスタンの協力者たちは、米軍の撤退と国外退避が失敗に終わり、何百人もの人々が置き去りにされたことで、大統領の「裏切り」を忘れていないと述べた。
閉じる
世界が見る香港議会の次期香港行政長官選挙制度改革案否決
2017年の次期香港行政長官選挙制度の改革案が、香港の議会である立法会で民主派の反対によって否決(反対28、賛成8)された。民主派議員は新たな選挙制度改革を求めていく方針だが、面子を失う格好となった中国側は譲歩の姿勢を見せておらず、今後の見通しは不透明だ。香港行政長官選挙制度の改革案をめぐっては昨年、民主派や学生が道路を占拠するなど大規模な抗議活動が起きていたが、香港が経済を中国本土に依存している事情もあり、運動は下火になっているとみられていた。各国は、香港議会の次期香港行政長官選挙制度改革案否決について、以下のように報じた。
6月19日付
『CNN』(米国)は、「中国政府が主導する、次期香港行政長官選挙制度の改革案が香港議会によって否決された」と報じ、「今回の結果は、1997年に英国から香港の主権を取り返そうとしている中国政府への非難と見られている」と伝えた。また「香港には偽の民主主義体制は必要ない。我々は本物の民主主義を実現するためにこれからも戦いを続けていく」との法案に、反対票を投じた民主議員アルバートチャンのコメントを紹介した。...
全部読む
6月19日付
『CNN』(米国)は、「中国政府が主導する、次期香港行政長官選挙制度の改革案が香港議会によって否決された」と報じ、「今回の結果は、1997年に英国から香港の主権を取り返そうとしている中国政府への非難と見られている」と伝えた。また「香港には偽の民主主義体制は必要ない。我々は本物の民主主義を実現するためにこれからも戦いを続けていく」との法案に、反対票を投じた民主議員アルバートチャンのコメントを紹介した。
6月19日付
『AP通信』(米国)は、「中国外務省の陸慷報道官が“今回の結果は我々が目にしたくない結果になった。香港は中国の一部であり、改革は国内問題である。他国が介入することは許されるべきではない”として遺憾の意を表明した」と報じた。
6月19日付
『ワシントンポスト』(米国)は、「香港の議員が中国提案の次期香港行政長官選挙制度改革案を否決し、民主化デモ隊のシンボリックな勝利を象徴的に演出した」と報じた。
6月19日付
『NBCニュース』(米国)は、「今日は民主化運動の終結点ではない。それどころか、民主的な動きの新たな波を起こすための出発点として我々はとらえている」との民主派議員のアランリョンのコメントを紹介した。
6月19日付
『ストレーツタイムズ』(シンガポール)は、「2017年の次期香港行政長官選挙制度の改革案は、あらかじめ民主派議員によって否決されるものとみられていた。彼らは中国主導による選挙の進め方を、“偽の民主主義のモデル”と呼んで忌み嫌い、拒否権の発動を要求していた経緯があり、今回の結果は彼らをなだめる結果となった」と報じた。
閉じる
その他の最新記事