トランプ氏の核発言と核安保サミット
オバマ米大統領は、ワシントンで開催されていた核安保サミット閉会の会見で、ドナルド・トランプ氏が米国は日本や韓国を防衛する役割を降り、両国は核武装を検討すべきと発言したことについて、外交や国際情勢への無理解を示すものだと批判した。トランプ氏の発言は、核拡散の防止を目指す核サミットに集まった各国首脳からも憂慮する声が上がり、オバマ大統領の面子は傷ついた。
今回の核サミットは、核拡散に向けての大きな成果はなかったが、テロリストの核入手阻止などでは各国が結束した。また、トランプ発言によって、日本が保有する核廃棄物が思わぬ形で注目を集めることになった。
4月1日付
『CBSニュース』は、オバマ大統領が核サミット閉会の会見において、トランプ氏の核兵器を巡る発言に対し「外交、核戦略、朝鮮半島情勢などを知らない者が言うことである」と述べ、厳しく批判したと伝えた。
トランプ氏は先日、日本と韓国は自ら核武装したほうが良いと述べるとともに、大統領に就任した場合、欧州で核兵器を使わないとの明言をしなかった。折しも、テロリストの核兵器入手阻止などを議題とする核サミット出席のため、50カ国以上の指導者がワシントンに集まっていた。...
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4月1日付
『CBSニュース』は、オバマ大統領が核サミット閉会の会見において、トランプ氏の核兵器を巡る発言に対し「外交、核戦略、朝鮮半島情勢などを知らない者が言うことである」と述べ、厳しく批判したと伝えた。
トランプ氏は先日、日本と韓国は自ら核武装したほうが良いと述べるとともに、大統領に就任した場合、欧州で核兵器を使わないとの明言をしなかった。折しも、テロリストの核兵器入手阻止などを議題とする核サミット出席のため、50カ国以上の指導者がワシントンに集まっていた。
オバマ大統領は、日本及び韓国との同盟はアジア・太平洋地域における米国のプレゼンスを維持する要石であり、それを台無しにすべきでないと述べた。そのうえで、この重要性が認識できない人物は大統領の資質がないと語った。
4月1日付
『ザ・ニューヨークタイムズ』紙は、オバマ大統領がドナルド氏の核発言に対し、大統領としての適性に疑問を投げかけるとともに、核拡散防止を目指す核サミットの成果を強調したと報じている。
オバマ大統領は、50ヵ国以上の核サミット出席者の間でトランプ発言に対して憂慮する声が上がったと語った。トランプ氏はニューヨークタイムズ紙との会見時に、米国はもはや日本や韓国を防衛する重責を負うべきではないと主張するなかで両国の核武装問題を持ち出し、その後も公開の場で自説を擁護した。
オバマ大統領は、イランとの核合意によってイランの核開発が相当遅れることになり、核拡散防止には大きな成果であると主張した。また、就任以来4回目でかつ最後となる核サミットの成果をまとめるに当って、自ら主唱する核の拡散防止と米軍が既に保有する核弾頭の高性能化の間に葛藤があることを認めている。米軍の核技術高度化にロシアや中国は身構え、新兵器開発の口実にしようとしている。米国と並ぶ二大核保有国であるロシアのプーチン大統領は、核サミットで野心的な核兵器制限が議論できないよう欠席した。
サミットでは、ポーランドやカザフスタンなどでの高濃度ウラン在庫の削減や日本の分離プルトニウムの廃棄が議論されたが、こうした国際会議では各国はそれぞれ自主規制など“お土産”を持参するのが慣わしである。ところが、舞台裏では日本との間で悶着があった。
モニス米エネルギー庁長官と日本の代表は、濃縮ウランおよびプルトニウム0.5トンの廃棄と米国への移送合意を自賛したが、日本が毎年8トンのプルトニウム生産能力のある新設備の計画を進めていることは問題にしなかった。日本が大量の核燃料を抱えていることについて、近隣諸国は懸念している。これに対し米エネルギー庁広報担当は、日本は重要使用済み物質を廃棄しており、今後の核燃料再処理についても再利用と廃棄をバランスさせるだろうとの見解を示した。
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パキスタンのラホールで自爆テロ、死亡者65人以上
パキスタン東部の旧都ラホールにある公園で27日、イスラム過激派による自爆テロが発生し少なくとも65人が死亡、300人余りが負傷した。現場はキリスト教の復活祭を祝う人々で賑わっており、タリバンの分派ジャマートゥル・アフラルが「キリスト教徒を狙った自爆テロ」であるとの犯行声明を出した。パキスタンではタリバンを含めイスラム武装勢力の掃討作戦が進められてきたが、残虐なテロ事件はむしろ増えており、最近は少数派のキリスト教徒など狙ったテロが頻発している。
27日付
『ザ・ニューヨークタイムズ』紙は、パキスタンのラホールで発生したタリバンによる自爆テロで少なくとも69人が死亡し300人以上が負傷したと報じた。
爆発は、キリスト教復活祭を祝う家族連れで賑わうラホール市内の公園のブランコの近くで発生した。パキスタン・タリバン運動ジャマートゥル・アフラルは、キリスト教徒を標的に攻撃したとの犯行声明を出した。
パキスタンでは今月だけでも3件の爆弾テロが起きている。...
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27日付
『ザ・ニューヨークタイムズ』紙は、パキスタンのラホールで発生したタリバンによる自爆テロで少なくとも69人が死亡し300人以上が負傷したと報じた。
爆発は、キリスト教復活祭を祝う家族連れで賑わうラホール市内の公園のブランコの近くで発生した。パキスタン・タリバン運動ジャマートゥル・アフラルは、キリスト教徒を標的に攻撃したとの犯行声明を出した。
パキスタンでは今月だけでも3件の爆弾テロが起きている。過去2年間にわたり軍隊がイスラム過激派の掃討作戦をおこなってきたが、未だにその脅威は除かれていない。自爆テロは、5年前に政治家のサルマン・タシール氏を殺害した犯人のマリク・カドリが2月に処刑され、これに抗議する大規模なデモが国内で行われているときに発生した。国民はジハードによる一般市民への度重なる攻撃を深刻に受け止めているが、その一方、テロリスト処刑への抗議行動をおこなうなどイスラム過激派への支持も根強く残っている。
殺害されたタシール氏は、同国のイスラム教冒涜禁止法が宗教的少数派の迫害に利用されているとして、同法の廃止を訴えていた。しかし、大多数のパキスタン人にとって同法を改定すること自体が犯罪的行為であり、テロ犯は逆に正当化される。これまでにも、テロ犯カドリの処刑への報復として、自爆テロが裁判所内で起き16人が死亡、政府職員を乗せたバスが爆破され14人が死亡するなどの事件が起きている。
28日の
『BBCニュース』は、ラホールで発生した自爆テロについて、タリバンの分派ジャマートゥル・アフラルによるキリスト教徒を狙った犯行であると報じている。
同グループは、最近市民を狙ったテロ事件を引き起こしている。犯行声明では、シャリフ首相に対して彼らがラホールに侵入しているというメッセージを伝えたかったとして、更に攻撃をおこなうと予告している。
当時公園は、キリスト教徒が遊園地で復活祭を祝うなど人出が多かった。自爆したテロ犯は一人で、ラホールの公園の子供の遊び場に近い正面入り口付近で爆発が起きた。爆弾は威力を増すためボールベアリングが詰められおり、多くの子供が犠牲となった。
27日の
『CBSニュース』は、パキスタンのタリバンから分裂したグループによるラホールでの自爆テロで、多くの子供を含む65人が死亡し、300人以上が負傷したと伝えている。シャリフ・パンジャブ州知事は3日間を服喪のための休日とすると宣言した。
昨年、ラホールで日曜礼拝帰りのキリスト教徒を狙った2件の爆発テロが起き、十数名が死亡した。警察の話では、その後、タリバンへの密告者と疑われた男2人が怒ったキリスト教徒らによって、リンチを受け1人が殺害された。また、若い暴徒が店やバスを襲おうとした。パキスタンでは、同国が米国のイスラム過激派掃討に参加して以来、イスラム武装勢力によるキリスト教徒などの非イスラム教徒に対する襲撃事件が頻発している。
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