ロシア反体制派ロックバンド、”ノー・ナチス・イン・ウクライナ”と訴える新曲を発表【ロシア・英国メディア】
ロシアの反体制派ロックバンドがこの程、“ナチス政権打倒”と根拠のない理由で一方的なウクライナ軍事侵攻を続けるウラジーミル・プーチン大統領(70歳、2000年就任)を徹底的に糾弾する目的で、“ノー・ナチス(注1後記)・イン・ウクライナ”という新曲を発表している。
12月24日付ロシア
『ザ・モスクワ・タイムズ(MT)』オンラインニュース(1992年設立の独立系メディア)は、「プッシー・ライオット、ウクライナに“ナチスはいない”と歌う新曲を発表」と題して、ロシア反体制派ロックバンドが、ウクライナ軍事侵攻10ヵ月目を契機に、ウラジーミル・プーチン大統領の根拠のない侵攻を糾弾する新曲を披露したと報じている。
反体制派フェミニスト活動家グループのプッシー・ライオット(PR、注2後記)は12月24日、ロシアによるウクライナ軍事侵攻から10ヵ月が経過した日に、この行為を猛批判するミュージック・ビデオを公開した。...
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12月24日付ロシア
『ザ・モスクワ・タイムズ(MT)』オンラインニュース(1992年設立の独立系メディア)は、「プッシー・ライオット、ウクライナに“ナチスはいない”と歌う新曲を発表」と題して、ロシア反体制派ロックバンドが、ウクライナ軍事侵攻10ヵ月目を契機に、ウラジーミル・プーチン大統領の根拠のない侵攻を糾弾する新曲を披露したと報じている。
反体制派フェミニスト活動家グループのプッシー・ライオット(PR、注2後記)は12月24日、ロシアによるウクライナ軍事侵攻から10ヵ月が経過した日に、この行為を猛批判するミュージック・ビデオを公開した。
PRメンバーのオルガ・ボリソワ氏は12月21日、『MT』のインタビューに答えて、“我々はこの戦争について大声を張り上げる”とし、“皆、戦争に背を向けるのではなく、戦争を止めさせなければならない”と訴えた。
今回公開されたビデオは、“ママ、ロシアのTVを見てはだめだ”という題名の新曲で、ロシアにおける軍事的検閲や弾圧に反対するとともに、ウラジーミル・プーチン大統領及び軍高官等をウクライナ人大量殺戮の罪で国際刑事組織に訴えろ、と歌っている。
PRは、同大統領が“特別軍事作戦”と勝手に呼んでウクライナに軍事侵攻し始めた2月24日以降、これを非難するコンサートを欧州各地で開催してきている。
同グループはコンサートを通じて、ウクライナ最大のオフマディト小児科病院(首都キーフ在)含めウクライナの人々の支援のための寄金を呼びかけている。
過日カタールで開催されたサッカーワールドカップの競技場でも、PRメンバーがピッチに乱入して戦争反対等を訴えようとしたが、直前に警察隊に阻止され逮捕されている。
なお、ウクライナ戦争後複数のPRメンバーがロシアを脱出していて、マリア・アリョーヒナ氏(34歳)、ルーシー・シュタイン氏はロシア当局から指名手配されている。
同日付英国『ザ・ガーディアン』(1821年設立)紙は、「PRの新曲、ウクライナ戦争反対及びプーチン告訴をアピール」と詳報している。
PRは新曲の中で、ウクライナ戦争やロシアの検閲に反対するとともに、西側諸国が依然ロシアから原油や天然ガスを購入することでこれを“支援している”と非難している。
声明の中で彼らは、プーチン政権は“テロリスト集団”だとし、プーチン政権、及びその側近や軍高官らを“戦争犯罪人”だと糾弾している。
今回の新曲は「ママ、ロシアのTVを見てはだめだ」という題名で、“我々の音楽は、恐ろしい戦争で犠牲になったウクライナ人の骨を燃やして喜ぶような、地獄にどっぷり浸かった真の人食い人種と呼ぶべきモンスターのプーチンに率いられた政権に対する怒り、憤慨、不和、そして恨めしくかつ必死の嘆きを表している”という。
PRの主要メンバーであるマリア・アリョーヒナ氏、オルガ・ボリソワ氏、ダイアナ・ブルコット氏(37歳)及びタソ・プレトナー氏は、捕縛されたロシア人徴集兵が、“ママ、ウクライナにはナチスなんていないよ、だから、(嘘をまき散らすロシアの)TVを見てはだめだ”と実母に訴えたことを基にして作詞された歌だと説明している。
彼らは声明の中で、“ロシアのプロパガンダ放送は人々の心を蝕んでいる”とした上で、“彼らが制定した外国エージェントを取り締まる法律を駆使して、反体制活動家やジャーナリストの口を塞ぎ、最後に残っていた独立系の人権擁護団体の活動まで停止させている”と訴えた。
更に彼らは、ソ連時代にラボXという毒薬研究所があり、反政府活動家らを黙らせて来ていたが、現在でも似たような場所が存在し、“プーチンに逆らう者は皆投獄されたり、軍事転用の毒を盛られたりして殺されている”と言及した。
“プーチンやロシア連邦保安庁(FSB、1995年設立の旧ソ連国家保安委員会・KGBの後身組織)の連中は、この「伝統的な」研究所を重宝していて、反政府運動の代表的人物に対して次々に危害を加えていった”とした。
その上で、“アレクサンドル・リトビネンコ(1962~2006年、元FSB職員)、セルゲイ・スクリパリ(71歳、元ロシア及び英国の二重スパイ、2018年毒殺未遂被害、現在英国に亡命中)、ウラジーミル・カラ=ムルザ(41歳、政治ジャーナリスト、2015・2017年に毒殺未遂被害、現在軍事関連”虚偽情報流布“等の容疑で裁判中)、ピョートル・ベルジロフ(35歳、PRメンバーで2018年ワールドカップロシア大会の競技場に乱入して逮捕、同年毒殺未遂被害)、アレクセイ・ナワルニー(46歳、野党勢力代表、2020年毒殺未遂被害、現在投獄中)は明らかに当局の犠牲者だ”と付言した。
(注1)ナチス:ドイツの政党、国家社会主義ドイツ労働者党の略称、また、その党員。1920年ドイツ労働者党を改称して成立。翌年以降ヒトラーを党首とし、1933年に政権を掌握。反民主・反共産・反ユダヤ主義を標榜して、全体主義的独裁政治を推進。また、ベルサイユ体制(対ドイツ制裁等を含む第一次大戦後の国際秩序)の打破をめざして再軍備を強行、第二次大戦を引き起こし、1945年に敗戦とともに崩壊。
(注2)PR:2011年活動開始のロシアのフェミニスト・パンク・ロック集団、抗議活動家グループ。ロシアにおける政治的抑圧や性差別・LGBTQ弾圧・家父長制・受刑者への人権侵害に対し、無許可でのパフォーマンスや音楽活動などを通じて抗議を続けている。メンバーは、寒さの厳しい天候のときも、演奏中も、またインタビューに応じるときも鮮やかな色のドレスとタイツの衣装に目出し帽で顔を隠しており、インタビューには常に偽名で応じている。この集団は10人ほどで演奏を行なうが、これとは別に15人ほどが技術面の裏方や、インターネットに投稿されるビデオの撮影・編集などを行なっている。
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したたかなベトナム;米武器メーカーと折衝の背景は南シナ海領有権問題で対峙する中国への挑戦【欧米メディア】
12月15日付GLOBALi
「ベトナム;脱ロシア製武器依存を図り米武器メーカーと折衝」で触れたとおり、長い間ロシアからの武器調達に頼ってきたベトナムが、ヘリコプターや無人攻撃機等手当てのために米武器メーカーと折衝を重ねている。ただ、その背景は、ウクライナ戦争を契機に欧米諸国による対ロシア制裁強化に伴うロシア製武器調達への悪影響のみならず、長い間対立してきた南シナ海における領有権問題でいよいよ中国との武力衝突も備えてのこともあると考えられる。
12月15日付米
『Foxニュース』は、「ベトナム、米武器メーカーと折衝の背景に南シナ海で領有権を争う諸島の前哨基地拡充」と題して、長い間南シナ海の領有権問題で対立しているベトナムが、実効支配を強化すべく、南沙諸島(スプラトリー諸島)の複数の環礁を埋め立てて前哨基地を設営しており、これが俄かに米武器メーカーと折衝を進める背景とみられると報じている。
香港メディア『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙は12月15日、防衛・国家安全保障問題研究のシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS、1962年設立、本部ワシントンDC)が取り組んでいる「アジア海洋透明性イニシアティブ(AMTI、注後記)」プロジェクトが調査した報告を掲載した。...
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12月15日付米
『Foxニュース』は、「ベトナム、米武器メーカーと折衝の背景に南シナ海で領有権を争う諸島の前哨基地拡充」と題して、長い間南シナ海の領有権問題で対立しているベトナムが、実効支配を強化すべく、南沙諸島(スプラトリー諸島)の複数の環礁を埋め立てて前哨基地を設営しており、これが俄かに米武器メーカーと折衝を進める背景とみられると報じている。
香港メディア『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙は12月15日、防衛・国家安全保障問題研究のシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS、1962年設立、本部ワシントンDC)が取り組んでいる「アジア海洋透明性イニシアティブ(AMTI、注後記)」プロジェクトが調査した報告を掲載した。
それによると、ベトナムが2022年後半、領有権問題となっている南シナ海の南沙諸島の複数の環礁を埋め立てて、計170ヘクタール(1,700平方キロメートル)の人工島を建設したという。
埋め立て工事を済ませたのは4つの小島・環礁で、ベトナムが実効支配しているナムイエット島・ピアソン礁・サンド礁・テネント礁である。
特に、最初の2つに造られた人工島は、39ヘクタール(390平方キロメートル)にも広げられていて、大型船が停泊できる港湾設備の建設が可能となっている。
また、ベトナムはその他5つの環礁の埋め立て工事にも着手しているとする。
そのうち、バーク・カナダ礁は既に23ヘクタール(230平方キロメートル)も広げられており、まもなく大掛かりな工事が始められるようになっているという。
かかる建設工事は、ベトナムによる南シナ海領有権問題に関わる大胆な活動と言えるが、中国が2013から2016年の間に実施した、のべ1,295ヘクタール(1万2,950平方キロメートル)に及ぶ人工島建設と比べると見劣りがする。
中国は更に、これら人工島を軍事拠点化して、既に対地・対空ミサイル、電子妨害装置のみならず、軍用機離発着が可能な滑走路まで設営している。
中国はこれらを用いて、米国等が実施している“航行の自由作戦”への強烈な対抗措置を講じたりして、同海域ほとんど全てにおける領有権主張を強靭なものにしつつある。
英国メディア『ザ・ガーディアン』紙は、ベトナムが使用しているのはグラブ型浚渫機であり、“環礁を浅く掘って埋め立てを行っていることから、中国が行った浚渫・埋め立て工事より環礁の破壊度合は少ない”と報じている。
以上より、CSISのAMTI調査報告では、“ベトナムが2022年に実施した小島・環礁埋め立て工事は、南シナ海における領有権主張をより鮮明に表す意図がある”と結論付けられているが、“(この活動に対して)中国や他の領有権主張国がどういう対応を見せるのか、注目していく必要がある”としている。
なお、同海域で他に領有権を主張しているのは、台湾・フィリピン・ブルネイ・マレーシアで、ベトナムと同様中国の一方的な領有権主張に懸念を示しているが、ベトナムが主張するような、どの小島・環礁がどの国に帰属しているかとの見解には賛同していない。
一方、『ロイター通信』は12月15日、米武器メーカーのロッキードマーティン・ボーイング・レイセオン・テクストロン等がベトナム政府と折衝していて、ヘリコプターや無人攻撃機の供給について協議していると報じた。
同報道によると、これらのメーカー代表が、ベトナムが初めて開催した兵器・装備品国際展示会への参加を契機にベトナムを訪問して、軍事装備品提供の交渉を行ったという。
なお、対象品目の無人攻撃機については、今回ベトナムが南沙諸島内に築いた小規模の人工島において、周辺哨戒や対艦攻撃を想定した場合、有力な武器となるとみられる。
同日付欧米『ロイター通信』は、「米シンクタンク、ベトナムが南シナ海領有権主張で実力行使との調査報告」として詳報している。
CSIS調査報告によると、ベトナムが2022年に南沙諸島内に計420エーカー(170ヘクタール)の埋め立て工事を行った結果、同国が直近10年で実施してきた工事と併せて、のべ540エーカー(220ヘクタール、2,200平方キロメートル)にも達したという。
この結果、同国は4つの人工島を建設した上、更に他にも5つの小島・環礁で浚渫工事を展開しているとする。
ただ、“中国が、2013から2016年にかけて実施した広大な埋め立て工事面積の3,200エーカー(1,300ヘクタール、1万3千平方キロメートル)より遥かに狭い”としている。
しかし、“これまで中国が一方的に領有権を主張し、実力行動に出てきていたことに対して、今回のベトナムによる実力行使は、同海域における領有権問題で同国の主張をより強く示すことになる”とし、“今後の中国や他の領有権主張国の行動が注目される”と結んでいる。
(注)AMTI:南シナ海を航行する船舶の船籍を特定したり、中国が進める人工島の建設の様子を追ったりして、分析をウェブサイトで公開する調査プロジェクト。
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