中国国営メディア;G-7を嘲笑する”最後の晩餐”を模した風刺画を掲載【米メディア】(2021/06/17)
米国の国際社会への復帰を印象付ける主要7ヵ国首脳会議(G-7サミット)では、米国の思惑通り、対中国包囲網が構築された。この結果に不快感を表した中国は、国営メディアにG-7を揶揄する風刺画を掲載させて留飲を下げようとしている。掲載されたのは、イエス・キリストが弟子の裏切りを予言したときの情景を表した“最後の晩餐(注後記)”を“最後のG-7”として、G-7首脳らを動物に見立てて嘲笑する風刺画である。
6月17日付
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「中国共産党傘下のメディア、G-7を嘲笑する風刺画を掲載」
中国共産党傘下の国営メディア『環球時報』が6月16日、反キリスト教、反西側諸国を標榜する一環で、その代表たる米国を、“弱弱しく”かつやがて死ぬ運命にあると象徴するような風刺画を掲載した。
“最後のG-7”と題した風刺画は、イエス・キリストが処刑される前夜に十二使徒と共に摂った夕食の場面を描いた“最後の晩餐”を模したもので、G-7首脳らを動物に見立て、中国の地図があしらわれたケーキを囲んで、毒入りワイン(福島原発の処理水を意図)を楽しむ姿を描いている。...
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6月17日付
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「中国共産党傘下のメディア、G-7を嘲笑する風刺画を掲載」
中国共産党傘下の国営メディア『環球時報』が6月16日、反キリスト教、反西側諸国を標榜する一環で、その代表たる米国を、“弱弱しく”かつやがて死ぬ運命にあると象徴するような風刺画を掲載した。
“最後のG-7”と題した風刺画は、イエス・キリストが処刑される前夜に十二使徒と共に摂った夕食の場面を描いた“最後の晩餐”を模したもので、G-7首脳らを動物に見立て、中国の地図があしらわれたケーキを囲んで、毒入りワイン(福島原発の処理水を意図)を楽しむ姿を描いている。
同風刺画は、先週末に英国で開催されたG-7サミットを揶揄する目的で描かれており、中国ミニブログサイト『新浪微博(シンランウェイボー、2009年設立)』に投稿されたものだとする。
同メディアは、“G-7サミットは、中国に対抗するために米国が仕掛けた包囲網構築を象徴している”とし、“ただ、ワシとして描かれている米国は、今日の攻撃的姿勢を示そうとしているものの、実態は弱弱しく、かつ膨張する負債と人種間衝突問題に喘いでいる”と寸評している。
G-7首脳は6月13日、“中国が行っている非市場志向の政策に対抗していくため、共同のアプローチについて引き続き協議する”とし、更に、“新疆ウィグル自治区や香港での人権侵害の是正を中国側に求めていく”との共同宣言を採択している。
これに対して、中国外交部(省に相当)の趙立堅報道官(チャオ・リーチアン、48歳)は6月15日の定例記者会見で、“当該共同宣言は、明らかに国連の目指す目的や原則に違反している”とした上で、“一国や小グループが世界を牛耳る時代は終わった”と批評した。
更に同報道官は、“(G-7を主導する)米国は本当に病んでいる”とし、“G-7諸国は、病んだ米国の脈を計り、適切な処方箋を準備するよう提言する”と付言している。
なお、米空軍元准将で、現在ハドソン・インスティテュート(1961年設立の保守系シンクタンク)米中関係専門家のロバート・スポールディング上級研究員は、“中国共産党は、自国のシステムが自由主義国の民主主義より優れていると信じている”とした上で、“自由主義世界の過ちを指摘しようとしているだけでなく、人口政策に現われるように、更に自国のシステムの素晴らしさを体現させようとしている”と分析している。
(注)“最後の晩餐”:イタリアのルネサンス期を代表する芸術家のレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519年)の作品の一つで、3年の歳月をかけて1498年に完成。キリスト教の新約聖書のうちマタイによる福音書第26章やヨハネによる福音書第13章等に記されているイエス・キリストと12使徒による最後の晩餐を題材としたもので、「12使徒の中の一人が私を裏切る」とキリストが予言した時の情景が描かれている。
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武漢市で新型感染症発生を告発した医師の一周忌、中国政府は黙殺するも市民は依然称賛【米・英国メディア】(2021/02/07)
武漢市(ウーハン)で2019年末、世界を震撼させた新型コロナウィルス(COVID-19)が発生した際、当局が否定する中、勇気を持って告発した医師が自身も感染して亡くなってから1年が経つ。当局は翌月、同医師含めて医療従事者を表彰することで初期段階での隠蔽工作を糊塗しようとした。そして、同医師の一周忌を迎えるに当たって、当局は依然情報統制の姿勢を崩さず、特に海外メディアからのインタビューには口を閉ざすよう無言の圧力をかけている模様である。しかし、多くの市民は依然、同医師を称賛して止まない。
2月6日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙:「武漢でのCOVID-19発生を告発した医師の一周忌に市民は依然故人を偲んで称賛」
武漢市の市民は、2019年末にCOVID-19発生についていち早く警鐘を鳴らしたものの、自身も感染して死亡してしまった李文亮医師(リー・ウェンリアン、享年34歳)のことを決して忘れていない。
同医師は同市の眼科医だったが、未知の新型肺炎患者の急増について初めて声を上げたものの、2020年1月初めには当局から、“根拠のない噂”を流したとして罰せられてしまった。...
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2月6日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙:「武漢でのCOVID-19発生を告発した医師の一周忌に市民は依然故人を偲んで称賛」
武漢市の市民は、2019年末にCOVID-19発生についていち早く警鐘を鳴らしたものの、自身も感染して死亡してしまった李文亮医師(リー・ウェンリアン、享年34歳)のことを決して忘れていない。
同医師は同市の眼科医だったが、未知の新型肺炎患者の急増について初めて声を上げたものの、2020年1月初めには当局から、“根拠のない噂”を流したとして罰せられてしまった。
その後、同医師は懸命に患者治療に当たったものの、自身も感染してしまい、2020年2月7日に逝去した。
そして、インターネットを通じて、最初に告発した医師が当局から罰せられただけでなく、自身もCOVID-19の犠牲者となったとのニュースが拡散され、当局に対する非難の声が一斉に上がった。
そこで、当局としても沈静化を図る一環で、同医師含めた医療従事者を“中国の英雄”と呼んで表彰することとした。
ただ、習近平国家主席(シー・チンピン、67歳)が昨年9月に、医療従事者をCOVID-19との戦争に対処した“英雄”として讃えた際、同医師のことには一切触れなかった。
しかし、同医師の一周忌を迎え、地元市民の中には、同医師の警鐘のお陰で早めに対応できたという人たちも多くいて、同医師への賞賛は止まない。
同日付英国『BBCニュース』:「故李文亮氏:“武漢の告発者”として1年経っても忘れられず」
故李文亮医師は、COVID-19発生を最初に告発した一人であったが、自身もその犠牲となり、昨年の2月7日に逝去した。
故人の一周忌を前にして、市民の間では称賛の声が再び高まっている。
同医師は、かつて中国で猛威を振るった重症急性呼吸器症候群(SARS、2002~2003年)で同僚医師らが犠牲になったことから、2019年末、未知の肺炎が流行し始めていることをいち早く告発したが、2020年初めには当局から“噂を広めた”として罰せられてしまった。
しかし、同医師もCOVID-19に感染して2月7日に逝去したことから、当局の初期対応を問題視する声がSNSを通じて拡散した。
そこで、当局としても、非難の声を沈静化させるため、同医師含めた医療従事者を表彰することとした。
ただ、当局としては、依然一般市民の間で情報が拡散しないよう取り締まりを強化している。
同医師の一周忌を迎えても、この対応は続いていて、むしろ締め付けが厳しくなっている。
しかし、唯一、同医師の微博(ウェイボー、中国版ミニブログサイト)上の個人アカウントでは、ユーザーがCOVID-19についてつぶやく数億ものメッセージが残されていて、同医師の一周忌を迎えて、“最初の内部告発を感謝している”とか、“決してその勇気を忘れない”等のメッセージが再び増えている。
(注)李文亮:中国の眼科医。COVID-19による肺炎の流行の時、医療関係者として内部告発した最初の数人のうちの1人であり、この肺炎の犠牲者の1人でもある。2020年3月5日、新型肺炎の抑制に模範的な役割を果たしたとして中国政府に表彰された。
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