インド、COP26を目前に二酸化炭素ゼロ目標を拒否
今週末に開催されるCOP26を前に、インドのR.P.グプタ環境担当秘書は27日、記者団に対し、二酸化炭素の排出量を「ネットゼロ」にするという目標にはコミットしないと述べた。
カタールのメディア
『アルジャジーラ』 によると、中国、米国に次いで世界第3位の温室効果ガス排出国であるインドは、来週グラスゴーで開催される気候会議で、今世紀半ばまでにカーボン・ニュートラルになる計画を発表するよう迫られている。しかし、環境担当秘書のグプタ氏は、27日に記者団に対し、ネットゼロを発表することが気候危機の解決策ではないと述べた。「ネットゼロに到達するまでにどれだけの炭素を大気中に放出するかの方が重要である。...
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『アルジャジーラ』 によると、中国、米国に次いで世界第3位の温室効果ガス排出国であるインドは、来週グラスゴーで開催される気候会議で、今世紀半ばまでにカーボン・ニュートラルになる計画を発表するよう迫られている。しかし、環境担当秘書のグプタ氏は、27日に記者団に対し、ネットゼロを発表することが気候危機の解決策ではないと述べた。「ネットゼロに到達するまでにどれだけの炭素を大気中に放出するかの方が重要である。」と語った。
米国、英国、欧州連合(EU)、そして日本も、2050年にネットゼロを達成することを目標としている。2050年までに、森林、作物、土壌、そしてまだ発展途上の炭素回収技術によって吸収可能な量の温室効果ガスしか排出しないことを目指すことになる。
中国とサウジアラビアは、2060年にネットゼロを達成するという目標を掲げているが、今すぐ具体的な行動を起こさなければ、ほとんど意味がないと批判されている。
現在から今世紀半ばまでの間に、米国では92ギガトン、EUでは62ギガトンの炭素が大気中に放出されるとグプタ氏はインド政府の計算を引用して述べている。また、インド政府の計算によると、中国はネットゼロの目標日までに450ギガトンという驚異的な量の炭素を放出すると予測されている。
印『タイムズ・オブ・インディア』 は、インドが2050年までのネットゼロを拒否した一方で、「2030年までに再生可能エネルギーで450GW発電するという野心的な目標を掲げており、2030年までのインド鉄道の排出量ネットゼロ、土地劣化ゼロ、森林面積を増やすための大規模なプログラムなどが、COP26でのインドの重要な推進力となるだろう。」と伝えている。
また、「モディ首相は、パリ協定の緩和・適応目標を強化するために、国際ソーラー同盟(ISA)、災害に強いインフラ連合(CDRI)、産業移行のためのリーダーシップグループ(LeadIT)という3つの重要な多国間機関、取り組みに積極的に参加するよう、より多くの国に働きかけることが期待されている。これら3つの多国間の取り組みは、インドが主導しており、ISAではフランスが、LeadITではスウェーデンが主要なパートナーとなっている。」と伝えている。
印『ヒンドゥスタン・タイムズ』 は、環境省の担当者は、「先進国はもっと早く、たとえば2030年までにネットゼロに移行し、インドのような新興国に炭素排出の余地を残すべきだ。」と述べたことを伝えている。
ニューデリーのシンクタンク、The Energy and Resources Instituteの理事長である経済学者のデサイ氏は、「インドは先進国に対し、2030年までにカーボン・マイナス、または少なくともカーボン・ニュートラルになるよう呼びかけるべきだ。摂氏1.5度という目標を達成するための、世界の排出可能量を強調する必要がある」と述べている。
研究財団「Integrated Research and Action for Development」の会長キリット・パリク氏も、インドは先進国の過去の排出量に対して炭素税を課すという概念を作ることを検討してもよいと指摘する一方で、先進国に対し、カーボン・ニュートラルになるまでの期間を短縮するよう求め、国際社会であとどの程度炭素を排出することが許されるのか、その重要性を強調すべきだという見解を示している。
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報道記者や活動家に対するサイバー監視、世界で拡がる
フランスを拠点とする非営利団体「フォービドゥン・ストーリーズ」と17のメディアによる調査の結果、イスラエルのスパイウェア「ペガサス」が、世界の様々な国で携帯電話の盗聴のために使用されている実態が判明した。数十カ国で使用され、5万件以上の電話番号が対象リストに載っていたことが分かった。
仏
『レゼコー』 紙によると、非営利団体「フォービドゥン・ストーリーズ」は、17のメディアのコンソーシアムと協力して、イスラエルの「NSOグループ」社のスパイウェアプログラム「ペガサス」が、世界の様々な国家によって政治家、ジャーナリスト、弁護士に対するスパイ活動のために使用されていることを突き止めた。
このソフトウェアは、イスラエル政府の承認を得て、国家または政府機関にのみ販売されている。...
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仏
『レゼコー』 紙によると、非営利団体「フォービドゥン・ストーリーズ」は、17のメディアのコンソーシアムと協力して、イスラエルの「NSOグループ」社のスパイウェアプログラム「ペガサス」が、世界の様々な国家によって政治家、ジャーナリスト、弁護士に対するスパイ活動のために使用されていることを突き止めた。
このソフトウェアは、イスラエル政府の承認を得て、国家または政府機関にのみ販売されている。しかしフォービドゥン・ストーリーズは、NSOの数十の顧客がペガサスを使用したスパイ活動の対象としている5万件以上の電話番号のリストを入手することができた。
このリストは、2016年以降からの数年間に及ぶもので、国際メディアコンソーシアムに共有された。約80名のジャーナリストが数ヵ月かけて、これらの電話番号を分析し、約50ヵ国に及ぶ電話番号の持ち主たちを特定することに成功した。
今回の発表は、サイバー監視が世界で広く行われており、あらゆる国が関与していることを示している。
ペガサスは、単なる「電話盗聴」ツールではなく、携帯電話に入っているすべてのデータ(写真、アプリでやり取りしたメッセージ、アドレス帳など)を吸い取ることができ、非常に効果的で強力なツールだと言われている。このソフトウェアは、アップル社やグーグル社のソフトウェアのセキュリティ上の欠陥を利用して、携帯電話のユーザーに気が付かれることなく、遠隔操作でインストールすることができる。
仏『ル・モンド』 紙は、今回の調査結果によって、報道機関に対するスパイ活動がアゼルバイジャンのような独裁的な国だけではなく、民主主義国家でもスパイウェアを利用して行われていることが明らかになったと報じている。
メキシコやインド、ヨーロッパでもハンガリーのように調査報道機関を監視している。モロッコのように、外国人ジャーナリストを標的にすることに躊躇しない国もある。モロッコの諜報機関は、フランスの「ル・モンド」、「メディアパート」、「フランス・テレビジョン」、「ラジオ・フランス」などの、合わせて1000人以上のジャーナリストの電話に対しスパイ活動を行っていたことが判明した。
ジャーナリストへのスパイ行為は、目新しいことではない。以前の調査では、すでに何十人ものメキシコのメディア関係者が、このペガサスのソフトウェアによってスパイ活動の対象となっていたことが明らかになっている。2020年には、カナダ・トロント大学の専門家による調査の結果、カタールのテレビ局「アルジャジーラ」の子会社のジャーナリストや幹部36名がペガサスの攻撃を受けていたことが判明した。同年、アムネスティ・インターナショナルは、モロッコ人ジャーナリストのオマール・ラディ氏の携帯電話もスパイウェアに感染していたことを明らかにした。
NSOグループは、ソフトウェアの適切な使用については基本的には各顧客が責任を負うとしながらも、ジャーナリストが不正に標的にされるのを防ぐために、自社のほうでも厳格な確認体制と監査手順を導入して対策を取ってきたと反論している。シャレブ・ヒューリオCEOは、犯罪やテロとの戦い以外の目的でペガサスを使用する顧客は、NSOから「即座に、決定的に、妥協のない処罰」を受けることになるだろう、と述べている。
しかし、フォービドゥン・ストーリーズとアムネスティ・インターナショナルなどが行った調査では、ジャーナリストに対するスパイウェアの悪用は偶然ではないことがわかる。多くの場合、反体制派や人権侵害を訴える記者や活動家が標的とされている。
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