金与正:軍事行動を示唆、連絡事務所の破壊も ~外務省:南朝鮮は非核化を言うな~(6月14日)
連日韓国や米国への非難を続けている北朝鮮は、13日には金与正党第一副部長が「無用な北南共同連絡事務所が跡形もなく崩れる悲惨な光景をみることになるだろう」とし、さらに次の行動としては「対敵行動の行使権を我が軍隊の総参謀部に手渡そう」として、軍事行動に出ることも示唆する談話を発表した。13日の「朝鮮中央通信」が伝えたもの。
なおこの談話のなかで「私は、委員長同士と党と国家から付与された私の権限を行使して対敵事業関連部署に次の段階の行動を決行することを指示した」とあり、金与正氏が対韓工作を行うことになったことを明かしている。...
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連日韓国や米国への非難を続けている北朝鮮は、13日には金与正党第一副部長が「無用な北南共同連絡事務所が跡形もなく崩れる悲惨な光景をみることになるだろう」とし、さらに次の行動としては「対敵行動の行使権を我が軍隊の総参謀部に手渡そう」として、軍事行動に出ることも示唆する談話を発表した。13日の「朝鮮中央通信」が伝えたもの。
なおこの談話のなかで「私は、委員長同士と党と国家から付与された私の権限を行使して対敵事業関連部署に次の段階の行動を決行することを指示した」とあり、金与正氏が対韓工作を行うことになったことを明かしている。
また北朝鮮外務省の米国担当局長は、12日に韓国の外交部当局者が、米朝対話のためと朝鮮半島の非核化のための努力を続けるべきだ、と語ったことに対し、1年前に朝米の間から抜けろと言っているのにまだ仲介者面するのかと侮り、さらに「非核化というばかげたことを言わないほうがいい」と語った。同じく13日の「朝鮮中央通信」が伝えたもの。
さらに「朝米対話が無く非核化が台無しになったのは仲裁者がいないからではない」と韓国が介入は意味がないことを言い、さらに「我々は米国が加える持続的な脅威を制圧するために我々の力を引き続き養うであろう」と米国からの圧力に対抗する抑止力の強化にも言及した。
2年前の情況とは異なっているなかで、韓国無用論を強調し、韓国への揺さぶりを強化しているようである。
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朝鮮労働党統一戦線部長:北南関係は収拾できない状況に(6月13日)
4日の金与正党第一副部長の韓国非難に始まった、脱北者のビラ散布に端を発する対韓非難が連日続いているが、12日には朝鮮労働党統一戦線部長チャン・グムチョル氏が「北南関係はすでに収拾できない域に到った」とする談話を発表した。12日の「朝鮮中央通信」が伝えたもの。
そこでは11日に「統一部の後に隠れていた」青瓦台がようやく前面に出てきて、対ビラ散布行為を現行法に抵触する行為としたと揶揄するように述べ、「今回の事態を通じて努力して寄せようとしていた(朝鮮の)南朝鮮当局に対する信頼は粉みじんになった」と、これ以上の交渉を拒むような言いぶりになっている。...
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4日の金与正党第一副部長の韓国非難に始まった、脱北者のビラ散布に端を発する対韓非難が連日続いているが、12日には朝鮮労働党統一戦線部長チャン・グムチョル氏が「北南関係はすでに収拾できない域に到った」とする談話を発表した。12日の「朝鮮中央通信」が伝えたもの。
そこでは11日に「統一部の後に隠れていた」青瓦台がようやく前面に出てきて、対ビラ散布行為を現行法に抵触する行為としたと揶揄するように述べ、「今回の事態を通じて努力して寄せようとしていた(朝鮮の)南朝鮮当局に対する信頼は粉みじんになった」と、これ以上の交渉を拒むような言いぶりになっている。
韓国内でも、ビラ散布を行った脱北者団体を告発し、ビラ散布を禁止する法律を制定しようとしている政権に対する非難の声があがっている。窮地にたつ文在寅政権に対し強い揺さぶりをかけることによって経済協力を引き出そうとしているのかもしれないが、現在の国際情勢のなかで、韓国が単独で行える経済協力には限りがある。
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米朝首脳会談2周年に北朝鮮外相が談話 ~抑止力としての核戦力を発展させる~(6月12日)
6月12日は、2018年に史上初となる米朝首脳会談が行われた日から2周年にあたる。それにあわせて北朝鮮の李善権外相が談話を発表した。そのなかで北朝鮮は核施設の廃棄を行うなど会談の合意に適った行動をとったにも関わらず、米国は依然として北朝鮮に軍事的脅威を与えているとして、北朝鮮も確実な力を培う、として抑止力としての核を発展させていくという決意を表明した。
談話のなかで李善権外相は、北朝鮮が「北部実験場の完全廃棄、数十体の米軍遺骨送還、抑留されていた米国籍の重罪人に対する特赦を実施」し、さらに「核実験と大陸間弾道ロケット試射中止の措置を先制的に」とったとし、それらをホワイトハウスの主人は自慢げに事あるごとに言いふらしているとした。...
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6月12日は、2018年に史上初となる米朝首脳会談が行われた日から2周年にあたる。それにあわせて北朝鮮の李善権外相が談話を発表した。そのなかで北朝鮮は核施設の廃棄を行うなど会談の合意に適った行動をとったにも関わらず、米国は依然として北朝鮮に軍事的脅威を与えているとして、北朝鮮も確実な力を培う、として抑止力としての核を発展させていくという決意を表明した。
談話のなかで李善権外相は、北朝鮮が「北部実験場の完全廃棄、数十体の米軍遺骨送還、抑留されていた米国籍の重罪人に対する特赦を実施」し、さらに「核実験と大陸間弾道ロケット試射中止の措置を先制的に」とったとし、それらをホワイトハウスの主人は自慢げに事あるごとに言いふらしているとした。にもかかわらず「過去も、現在も米国の核先制攻撃リストに朝鮮がのせられており、米国が保有している各種の核打撃手段が我々を直接狙っている」とし、朝鮮敵視政策を続けていると米国を非難。
朝米首脳同士の親交は維持されているのに、朝米関係は改善されておらず、「実践のない約束より偽善的なものはない」とし、さらに米国の目標が朝鮮半島の非核化だと言い続けるのならば、「わが朝鮮の変わらない戦略的目標は、米国の長期的な軍事的脅威を管理するためのより確実な力を培うことである」とし「これが6.12二周年を迎えて、我々が米国に送る返書である」と結んでいる。
北朝鮮は今年5月24日に開催された第7期中央軍事委員会第4回拡大会議でも、当面の内外情勢を鑑みての核発展戦略を打ち出していたが、改めて核戦争の抑止力および長期的な米国の核戦争の脅威に備えるために、核戦力を発展させていくことを表明したことになる。
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北朝鮮の通信遮断に対する米韓の反応(6月11日)
9日正午をもって、北朝鮮が労働党本部と青瓦台のホットラインも含め、総ての通信を遮断したことに対し、米韓内で、北朝鮮の真意をさぐる動きや反応がでている。
韓国の統一部は、ビラを散布した「自由北韓運動」など脱北者からなる二つの団体を告発すると共に、両団体の法人としての設立許可を取り消すとした。一方で統一部の匿名を条件としたある官員は南北間の協議を維持していくつもりだと述べていた。
韓国の国家戦略研究院の申范哲氏は、北朝鮮は韓国政府が2018年の首脳会談の宣言や協議を実行していないことに不満を持っており、通信線の遮断は韓国に圧力をかけ、韓国側に協議の履行を迫るものではないかと見ている。...
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9日正午をもって、北朝鮮が労働党本部と青瓦台のホットラインも含め、総ての通信を遮断したことに対し、米韓内で、北朝鮮の真意をさぐる動きや反応がでている。
韓国の統一部は、ビラを散布した「自由北韓運動」など脱北者からなる二つの団体を告発すると共に、両団体の法人としての設立許可を取り消すとした。一方で統一部の匿名を条件としたある官員は南北間の協議を維持していくつもりだと述べていた。
韓国の国家戦略研究院の申范哲氏は、北朝鮮は韓国政府が2018年の首脳会談の宣言や協議を実行していないことに不満を持っており、通信線の遮断は韓国に圧力をかけ、韓国側に協議の履行を迫るものではないかと見ている。
またビラ散布に対する韓国非難について北朝鮮内で、海外向けのメディアだけでなく、「労働新聞」などの国内向けのメディアでも報道されていることから、韓国のなかでは、北朝鮮が国内の不満を抑え、引き締めを図るために利用しているのではないかとの見方もでている。
一方米国の国務省は、米国は北朝鮮が南北間の通信を遮断したことに失望しており、北朝鮮が外交と協力の道に戻るよう望むとの見解を発表した。この発言に対し、北朝鮮の外務省は11日に「北南関係は民族内部の問題で、誰も口出しする権利はない」とし、さらに「ひどい目にあいたくなければ口を閉じ、自分の家の整頓からしたほうが良い」と警告を発している。
一方米国の国務省の元官員で、北朝鮮問題の専門家のジャクソン氏は、北朝鮮は、韓国と対等の立場ではないとし、北朝鮮の不満は米国に集中しており、本質的には南北間の協力は米朝関係を動かすためのものである、との見解を示した。また長期にわたって国際的な経済制裁を受けている北朝鮮にとって、南北の経済協力がなされたならば、経済的な困難を緩和できるのに、米国が南北の経済協力に干渉しているために協力ができないと思っており、それに対する不満が募っているのだろうともみなしている。
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北朝鮮:南北間の通信を総て遮断(6月9日)
6月9日の『朝鮮中央通信』は、北朝鮮で8日に対韓国の事業部署の活動総括会議が開催され、9日12時から南北通信連絡線を完全に遮断することを決定したと報じた。
8日の総括会議では、労働党中央委員会の金英哲副委員長と金与正第一副部長が、対南事業を徹底的に対敵活動に転換すべきであると強調し、まず北南間の総ての通信連絡線を完全に遮断することを指示した。
これにより北朝鮮は、9日12時から共同連絡事務所を通じて維持してきた通信連絡線、北南軍部間の東・西海通信連絡線、北南通信試験連絡線、労働党中央委員会本部庁舎と青瓦台間の直通通信連絡線を完全に遮断、廃棄する、としている。...
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6月9日の『朝鮮中央通信』は、北朝鮮で8日に対韓国の事業部署の活動総括会議が開催され、9日12時から南北通信連絡線を完全に遮断することを決定したと報じた。
8日の総括会議では、労働党中央委員会の金英哲副委員長と金与正第一副部長が、対南事業を徹底的に対敵活動に転換すべきであると強調し、まず北南間の総ての通信連絡線を完全に遮断することを指示した。
これにより北朝鮮は、9日12時から共同連絡事務所を通じて維持してきた通信連絡線、北南軍部間の東・西海通信連絡線、北南通信試験連絡線、労働党中央委員会本部庁舎と青瓦台間の直通通信連絡線を完全に遮断、廃棄する、としている。
4日に金与正党第一副部長の韓国非難声明が出されてから、韓国の反応を伺うこともなく、実際の行動に出るという速い展開となっている。通信線を遮断するだけでなく、廃棄までわざわざ指示しているところをみると、北南関係が改善されても、すぐに通信を回復させることはできないことになる。散布されたビラに金正恩委員長を侮辱する言葉があったことを許さないという姿勢のアピールであろうか。
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