フィリピン“中国海警局の船が妨害”(10月7日)
フィリピンの沿岸警備隊は、中国と領有権を争う南シナ海で自国の巡視船の進路の正面を中国海警局の船が横切って僅か1メートルの距離まで接近して航行を妨害したと発表。
沿岸警備隊の広報官は、現場の海域はフィリピンの排他的経済水域だと主張したうえで、海警局の船の接近については国際法、特に衝突防止規則に違反していると訴え、危険な行為だとして中国側を非難した。
中国から距離置くイタリア、接近するフランス(10月2日)
9月9日、イタリア・メローニ首相は一帯一路離脱の方針を中国・李強首相に伝達した。この直後の9月10日、会見でメローニ首相は「欧州の中には一帯一路に加わっていなくても我々よりも利益のある関係を中国と築いている国がある」と意味深長な発言を行った。
これまでイタリアは中国の一帯一路計画に唯一加わっている国として欧州における裏切り者的な扱いを受けてきたが、メローニ首相は中国ともっと親しい欧州の国は他にあるのであって、イタリアではなくその国に注視すべきだと暗に示した格好である。...
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9月9日、イタリア・メローニ首相は一帯一路離脱の方針を中国・李強首相に伝達した。この直後の9月10日、会見でメローニ首相は「欧州の中には一帯一路に加わっていなくても我々よりも利益のある関係を中国と築いている国がある」と意味深長な発言を行った。
これまでイタリアは中国の一帯一路計画に唯一加わっている国として欧州における裏切り者的な扱いを受けてきたが、メローニ首相は中国ともっと親しい欧州の国は他にあるのであって、イタリアではなくその国に注視すべきだと暗に示した格好である。
メローニ首相が指し示した国とは具体的に言えばフランスのことである。フランスと中国の関係は歴史的に深く、もともと核を持っていなかった毛沢東に「もし原子爆弾に反対するのなら、自分の原子爆弾を持ちなさい」などと、核を持つよう勧めたのはフランスである。
中国の核開発を推し進めた担当者もフランスの研究所(キュリー研究所)で教育を受けた人物である。原子爆弾に関する発言が当時、米国からの核攻撃の威嚇を受けていた毛沢東に核開発の決意を固めさせ、1964年10月16日、中国は初の核実験を成功させた。現在の国連のP5の中にフランスと中国が仲良く並んでいるのはフランスの功績が大きい。
こうした経緯を踏まえた上でフランス・マクロン大統領の動きを見ていくととてもわかりやすい。ウクライナ戦争でロシアに対し西側陣営が結束を固める中、ロシア寄りの姿勢を鮮明にする中国に対しマクロン大統領は接近した。4月には北京に国賓として招かれ習近平国家主席から盛大な歓迎を受け、中国が提示した和平案に唯一西側の国として賛同してみせただけでなく、中仏軍事協力まで含めた共同声明まで出した。
その後もマクロン大統領は東京にNATOの事務所を設置することに反対の意を唱え、「台湾問題で欧州は自主独立路線を貫くべきだ」などと中国寄りの姿勢を示している。
不動産バブル崩壊、経済的弱体化が囁かれる中国だが一方で世界多極化、人類運命共同体を打ち出す中国を支持する国も以前より増えている。
10月に北京で行われる一帯一路のフォーラムにはロシア・プーチン大統領が参加することが決まっている。その一方で、11月のAPECで米国・バイデン大統領と習近平国家主席による米中首脳会談が行われるのかどうかにも注目が集っており、この2つの会議がどうなるか、さらにこの2つの会議の結果を受けてフランスがどう動くのかが今後の世界の行方を占う重要な鍵となるかもしれない。
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習近平国家主席・市場開放続ける姿勢アピール(9月28日)
中国の習近平国家主席は共産党指導部の会合で「多国間の協力を推し進め外資を引き付ける力を強めていく」と強調し、市場開放を続ける姿勢をアピールした。
フィリピン・中国を非難“障害物の撤去を” (9月25日)
フィリピン政府は「中国海警局が中国とフィリピンの間で領有権が争われている南シナ海の岩礁の周辺に浮き球を連ねたおよそ300メートルの障害物を設置して漁船の航行を妨害した」として中国政府を非難するとともに障害物の撤去を求める声明を発表した。障害物があるのはルソン島から西に200キロ余り離れた南シナ海にあるスカボロー礁と呼ばれる岩礁の周辺で、フィリピンの沿岸警備隊によると長さおよそ300メートルで漁を行うために岩礁の周辺に集まっていた50隻余りのフィリピン漁船の航行を妨害したという。...
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フィリピン政府は「中国海警局が中国とフィリピンの間で領有権が争われている南シナ海の岩礁の周辺に浮き球を連ねたおよそ300メートルの障害物を設置して漁船の航行を妨害した」として中国政府を非難するとともに障害物の撤去を求める声明を発表した。障害物があるのはルソン島から西に200キロ余り離れた南シナ海にあるスカボロー礁と呼ばれる岩礁の周辺で、フィリピンの沿岸警備隊によると長さおよそ300メートルで漁を行うために岩礁の周辺に集まっていた50隻余りのフィリピン漁船の航行を妨害したという。
フィリピン国家安全保障会議はきょう中国政府を非難するとともに障害物を撤去させ、この海域で漁民の権利を守るためにあらゆる適切な行動を取ると障害物の撤去を求める声明を発表した。
スカボロー礁は中国が2012年から実効支配を続けていて2016年の国際的な仲裁裁判の判断でも中国がフィリピン人の伝統的な漁業権を侵害していると認定されている。フィリピン政府の声明について中国外務省の汪文斌報道官は記者会見でスカボロー礁の中国名、黄岩島という呼び方を使ってフィリピン側の非難はあたらないと主張した。
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中国・発表を撤回“入力ミス”(9月21日)
外務省によると中国はきのう「沖縄・尖閣諸島周辺の東シナ海に天然ガスなどを採掘するための船を航行させる」と発表したということだが、きょう午後になって「発表は入力ミスによるもので、そうした事実はない」と発表自体を撤回したことを伝えてきたという。
外務省は「引き続き動向を注視するとともに、きぜんかつ冷静に対処していく」としている。
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