外務省人事官と中国外相・安倍首相訪中に向け協議(8月30日)
外務省の秋葉事務次官が中国の王毅外相と北京で会談し、安倍総理大臣の年内の中国訪問に向けて協議したということで、具体的な日程や首脳会談のテーマについて調整を行ったとみられる。
日本の政府内には、日中平和友好条約が発効して40年となる、ことし10月23日にあわせて、安倍総理大臣が中国を訪問するのが望ましいという意見もある。
日本の防衛白書に反発(8月29日)
28日に日本の防衛省は「防衛白書」を発表したが、外交部報道官も、中国の正常な国防建設や軍事活動、海洋活動について、根拠のないことを書き、無責任であり、中日の相互の信頼関係を傷つけるものだと非難した。また29日の「人民日報」は、日本が中国脅威論をあおっているとする記事を掲載。一方「環球時報」は「防衛白書」が中国脅威論とともに、米中首脳会談で緊張緩和が進んでいるはずの北朝鮮の脅威もかきたてているのは、日本の軍備拡張を正当化するためではないかとして反発を強めている。...
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28日に日本の防衛省は「防衛白書」を発表したが、外交部報道官も、中国の正常な国防建設や軍事活動、海洋活動について、根拠のないことを書き、無責任であり、中日の相互の信頼関係を傷つけるものだと非難した。また29日の「人民日報」は、日本が中国脅威論をあおっているとする記事を掲載。一方「環球時報」は「防衛白書」が中国脅威論とともに、米中首脳会談で緊張緩和が進んでいるはずの北朝鮮の脅威もかきたてているのは、日本の軍備拡張を正当化するためではないかとして反発を強めている。
「環球時報」では、「防衛白書」の国別編118頁のうち、中国に35頁、北朝鮮に22頁を割いていることを紹介。中国に関しては、軍事費が増加していることや、中国の軍事活動が、政治や経済、文化とともに対外活動の一環となっているといっているとしていることにも反発。
さらに北朝鮮に関して、2017年の「防衛白書」は「新たな段階の脅威」としていたものが、2018年版では核やミサイルなど「これまでにない重大かつ差し迫った脅威」として、北朝鮮の脅威は変わらないとしているが、このように日本の「防衛白書」が危機感をあおるのは、2000億円ともされるイージスアショアを導入するためではないかとみている。
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「一帯一路」5周年と米国のインド太平洋への関与(8月28日)
習近平主席が「一帯一路」政策を提唱してから5周年となった27日、記念座談会が北京の人民大会堂で開催され、習近平主席が重要講話を行い、5年間の成果を誇った。関係諸国との貿易は5兆㌦、直接投資額は600億㌦になり、20万人の雇用を創出したというものである。保護主義に陥っている米国に対し、中国の国際貢献を高らかに誇るものであった。
ただし「一帯一路」をめぐる期待感は国際的にはやや低調になっている。...
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習近平主席が「一帯一路」政策を提唱してから5周年となった27日、記念座談会が北京の人民大会堂で開催され、習近平主席が重要講話を行い、5年間の成果を誇った。関係諸国との貿易は5兆㌦、直接投資額は600億㌦になり、20万人の雇用を創出したというものである。保護主義に陥っている米国に対し、中国の国際貢献を高らかに誇るものであった。
ただし「一帯一路」をめぐる期待感は国際的にはやや低調になっている。ひとつには当初から中国自身もこのように見られるのではないかと気にしていた「新植民地主義」に対する警戒感が強くなってきたことである。スリランカがハンバントタ港の建設のための中国からの借款を返済できなくなり、99年間中国が同港を租借することになったことから、中国の援助によるインフラ整備に対して、他の関係国も警戒するようになった。
習近平主席が「一帯一路」は軍事同盟ではなく、また「中国倶楽部」ではなく、開放されたものであるといっても、インドとパキスタンの係争地帯のカシミールにパキスタン経済回廊を建設しようとすればインドの警戒感は強まり、中央アジア諸国に中国企業が大挙して投資をしようとすれば、ロシアとの間に軋轢を起こすことになる。一帯一路の建設のためにアジアインフラ投資銀行(AIIB)が設立されたときの熱気からはEU諸国も一歩ひくようになってきた。
その間隙をぬって遅ればせながら米国がインド太平洋地域のエネルギーやインフラの建設のための投資資金として1.13憶㌦を拠出することになった。1.13億㌦は一帯一路の建設費用に比べればあまりにも少額であるが、米国はこれは頭金のようなものであると説明している。
ユーラシア大陸、アフリカ大陸で存在感を見せつけつつある中国に対し、米国は貿易戦争で中国に勝利するためにも、中国が一帯一路の関係諸国という大きな市場を得る前に搦め手が必要になったわけである。
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世界に衝撃走る・ポンペオ国務長官訪朝取りやめ(8月25日)
(世界に衝撃走る・ポンペオ国務長官訪朝取りやめ)
来週のポンペオ国務長官訪朝が取りやめとなった。これまで空席だった北朝鮮問題担当特別代表にフォード自動車の副社長・スティーブビーガン氏を任命し、北朝鮮の非核化に向けて米国が本腰を入れるようにみえた直後の出来事だっただけに関係国をはじめ、世界に衝撃が走った。トランプ大統領は自らのツイッターで、「非核化に向けた十分な進展が北朝鮮に見られないため、今回の訪朝を取りやめるようポンペオ長官に指示した」と語った。...
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(世界に衝撃走る・ポンペオ国務長官訪朝取りやめ)
来週のポンペオ国務長官訪朝が取りやめとなった。これまで空席だった北朝鮮問題担当特別代表にフォード自動車の副社長・スティーブビーガン氏を任命し、北朝鮮の非核化に向けて米国が本腰を入れるようにみえた直後の出来事だっただけに関係国をはじめ、世界に衝撃が走った。トランプ大統領は自らのツイッターで、「非核化に向けた十分な進展が北朝鮮に見られないため、今回の訪朝を取りやめるようポンペオ長官に指示した」と語った。おそらくはIAEAや38ノースの報告書を念頭に入れた発言とみられる。今回の訪朝中止はただの中止判断ではなく、トランプ大統領にとってはこれまで米朝首脳会談で醸成してきた融和ムードをぶちこわしかねない重い決断といえる。
(背景に中国との貿易摩擦)
トランプ大統領は今回のツイートで、中国が以前より非核化に協力的ではなくなっていることについて中国を批判し、「訪朝は中国との貿易問題が解決した後になるだろう」とツイートした。トランプ大統領が米中貿易摩擦を北朝鮮問題より優先させる意思表示とも受け取れるが、米中貿易摩擦は、単なる貿易問題ではなく、先端技術をめぐる米中の構造的な覇権国争いという側面も持っているため、その解決は容易ではないと言われている。トランプ大統領は「ポンペオ長官が近い将来の訪朝を楽しみにしている」と最後に付け加えたものの、この問題が短期間で決着するはずもなく、ポンペオ長官の訪朝の近日中の実現は困難になったといえる。その場合米朝関係のみならず、米中関係も好転する可能性が薄れる。
(9月9日の北朝鮮軍事パレードに注目)
それどころか、9月9日の北朝鮮建国70周年に行われる軍事パレードがこれまで以上に大規模なものになり、大陸間ICBMも登場するのではないかとの説が一部で出てきている。もしそうなった場合には、6月12日から続いてきた米朝融和路線の崩壊は決定的なものとなるだろうし、トランプ大統領は中間選挙を前にして顔に泥を塗られる形になるため、これまで以上に強硬な軍事圧力モードにシフトする可能性もある。不穏なのは北朝鮮の軍事パレードのすぐ後に東シベリアでロシアが主催する「ボストーク軍事演習2018」に中国軍も参加する可能性もある。ポンペオ国務長官訪朝中止をきっかけにして日米VS中国、北朝鮮、ロシアという構図が鮮明になってくるのかもしれない。
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トランプ政権・中国製品に高関税・第2弾の制裁措置発動(8月23日)
米国のトランプ政権は中国が米国企業の技術などを不当に手に入れて知的財産権を侵害しているとして日本時間の午後1時過ぎ、通商法301条に基づいて中国からの160億ドルの輸入品に25%の関税を上乗せする措置を発動した。
対象はプラスチック製品、半導体、光ファイバーなど279品目で、先月すでに発動した制裁と合わせると規模は500億ドル、日本円でおよそ5兆5000億円に引き上げられた。
これに対して中国も米国からの航空燃料やディーゼル車、医療用機器など333品目に同じ規模で報復の関税をかけて対抗した。...
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米国のトランプ政権は中国が米国企業の技術などを不当に手に入れて知的財産権を侵害しているとして日本時間の午後1時過ぎ、通商法301条に基づいて中国からの160億ドルの輸入品に25%の関税を上乗せする措置を発動した。
対象はプラスチック製品、半導体、光ファイバーなど279品目で、先月すでに発動した制裁と合わせると規模は500億ドル、日本円でおよそ5兆5000億円に引き上げられた。
これに対して中国も米国からの航空燃料やディーゼル車、医療用機器など333品目に同じ規模で報復の関税をかけて対抗した。
米中両国は6月以降途絶えていた貿易問題を巡る協議を22日からワシントンで再開したが、激しくなる一方の摩擦を解消する糸口を見いだせるかは不透明である。
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