米国・中国・ハイテク争いの切り札?中国版ナスダック(10月10日)
ことし6月、上海で行われた金融フォーラムで新たな証券市場・科創板の設立が宣言された。
中国・劉鶴副首相は「“科創板”を通じてより多くのイノベーション型企業を育て経済のレベルアップにつなげなければならない」と述べた。
「科創板」の狙いは、民間資金をハイテクベンチャー育成に振り向けることである。
7月の取り引き初日には25社が上場、全銘柄で値上がりする順調な滑り出しとなった。科創板が意識したのは米国のナスダック。...
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ことし6月、上海で行われた金融フォーラムで新たな証券市場・科創板の設立が宣言された。
中国・劉鶴副首相は「“科創板”を通じてより多くのイノベーション型企業を育て経済のレベルアップにつなげなければならない」と述べた。
「科創板」の狙いは、民間資金をハイテクベンチャー育成に振り向けることである。
7月の取り引き初日には25社が上場、全銘柄で値上がりする順調な滑り出しとなった。科創板が意識したのは米国のナスダック。科創板は習近平主席の肝いりで設立された。自前でハイテク産業を育成する切り札としている。
習近平国家主席は「上海を金融とイノベーションの中心とする。イノベーションがあって初めて世界の経済発展のボトルネックを突破できる」と述べた。
現在では約30のハイテクベンチャー企業が上場しており、半導体の設計会社・瀾起テクノロジーは大型サーバーに用いる半導体の設計に特化している。
製品によっては50%近い世界シェアを占める。
瀾起テクノロジー・梁副社長は「科創板はハイテク企業の利益に非常にマッチした市場」と述べた。
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トランプ大統領「中国はバイデンの捜査を」(10月4日)
トランプ大統領は野党民主党のバイデン前副大統領に不利な情報を得ようとウクライナ大統領に対しバイデン前副大統領の息子が役員の企業の汚職事件をめぐる調査に協力するよう圧力をかけた疑惑をもたれており、民主党は議会で弾劾に向けた調査を進めている。
トランプ大統領はワシントンで「バイデン前副大統領と息子が中国でも不当な利益を得ていた」と主張し中国に捜査を呼びかけ「中国はバイデン一家の捜査を始めるべきだ。...
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トランプ大統領は野党民主党のバイデン前副大統領に不利な情報を得ようとウクライナ大統領に対しバイデン前副大統領の息子が役員の企業の汚職事件をめぐる調査に協力するよう圧力をかけた疑惑をもたれており、民主党は議会で弾劾に向けた調査を進めている。
トランプ大統領はワシントンで「バイデン前副大統領と息子が中国でも不当な利益を得ていた」と主張し中国に捜査を呼びかけ「中国はバイデン一家の捜査を始めるべきだ。中国で起きたことはウクライナと同じくらい悪い。」と述べた。
中国・習近平国家主席に直接捜査を要請することについても検討する可能性を示した。
これに対し弾劾に向けた調査を進めている民主党主導の下院の3つの委員会は声明を発表し「トランプ大統領は中国にまで公然とみずからの政治的目的のために何の根拠もない捜査を始めるよう求めている。」と強く非難しており、大統領と民主党との対立はさらに激しさを増している。
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貿易・米中次官級協議・隔たり埋められるか(9月20日)
米国と中国の貿易問題をめぐる次官級の協議がワシントンで始まった。隔たりをどこまで埋めることができるのか注目される。
中国財政省・廖岷次官と米国通商代表部・ゲリッシュ次席代表が協議に参加した。
米国と中国は来月初めに閣僚級の交渉を行う。米国・トランプ大統領は中国による米国産農産品輸入拡大などを優先した暫定合意の検討の可能性を示唆した。
これに対し中国も米国から輸入する一定量の農産品の関税上乗せ対象から外す方針を示すなど譲歩の姿勢を示している。...
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米国と中国の貿易問題をめぐる次官級の協議がワシントンで始まった。隔たりをどこまで埋めることができるのか注目される。
中国財政省・廖岷次官と米国通商代表部・ゲリッシュ次席代表が協議に参加した。
米国と中国は来月初めに閣僚級の交渉を行う。米国・トランプ大統領は中国による米国産農産品輸入拡大などを優先した暫定合意の検討の可能性を示唆した。
これに対し中国も米国から輸入する一定量の農産品の関税上乗せ対象から外す方針を示すなど譲歩の姿勢を示している。
米国議会と経済界は中国による知的財産権侵害などをめぐる包括的合意が望ましいとの声が根強く、交渉を通じて両国の隔たりをどこまで埋められるかが焦点である。
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他国の干渉を執拗に嫌う中国・米英に助けを求める香港市民(9月14日)
(香港デモ・他国の干渉を執拗に嫌う中国)
10月1日中国が建国70周年の国慶節を迎える。トランプ大統領はツイッターで「中国が10月1日に建国70周年を祝うことを踏まえ、友好のしるしとして、輸入品2500億ドル分の関税引き上げを10月1日から15日に遅らせることにした」と投稿した。一方、米議会では超党派の議員が6月に提出したもので香港に約束された「高度な自治」を毎年検証する様に米政府に義務付ける法案が議論されており、その「香港人権・民主主義法案」を早期に実現させるような動きがある。...
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(香港デモ・他国の干渉を執拗に嫌う中国)
10月1日中国が建国70周年の国慶節を迎える。トランプ大統領はツイッターで「中国が10月1日に建国70周年を祝うことを踏まえ、友好のしるしとして、輸入品2500億ドル分の関税引き上げを10月1日から15日に遅らせることにした」と投稿した。一方、米議会では超党派の議員が6月に提出したもので香港に約束された「高度な自治」を毎年検証する様に米政府に義務付ける法案が議論されており、その「香港人権・民主主義法案」を早期に実現させるような動きがある。また香港では「逃亡犯条例を全面撤回すること」、「平和的に行われたデモを暴動と定義しないこと」、「逮捕されたデモ隊の罪を撤回すること」、「職権を乱用した警察の暴行を追及すること」、「林鄭月娥行政長官は辞任し、民主的な選挙を実施すること」という5つの要求を掲げつつ、10月1日にも香港市民が大規模デモ行進を行う予定である。自由主義・民主主義のために立ち上がった香港のデモに呼応する形で9月29日には台湾で1万人規模のデモが、日本でも9月16日に「香港の自由を求める」という名目のデモが行われる。一方の中国(香港)当局は武装警察を投入するなどし「第二の天安門」と言われる武力鎮圧の可能性や、これを機に一気に一国一制度にもっていく可能性が指摘されている。
(一国二制度を反故にしようとしている中国)
香港は1941年から45年までの日本統治下を除き1842年から英国の植民地となっていた。1997年に英国から返還され、その際に50年間は「一国二制度」を守るという約束(中英共同宣言)があったが、その約束も今、反故にされようとしている。習近平国家主席は一国二制度の一国を強調する動きを強めており、「一国は根であり、根が深ければこそ葉は茂る」と香港返還20周年の演説(2017)で述べたことは記憶に新しい。2014年には駐英中国大使館が「中英共同宣言は返還時に失効した」との見解を表明し、「英国は香港に対し何も言う権限はない」と英国に対する非難の度合いを強めている。英国の干渉を執拗に嫌う中国の心の奥底を辿ってみると英国との間で1840年から2年間にわたって行われたアヘン戦争にたどり着く。
(アヘン戦争で香港を手に入れた英国)
中国がまだ清という豊かな国だった時代、英国はインドで製造したアヘンを、清に輸出し代わりに清の茶葉や絹、陶器などと交換して巨額の利益を得ていた。英国側には売り物として銀や需要がない綿織物しかなかったため、依存性のある麻薬アヘンを中国に売りつけることは方法として手荒ではあるが、金儲けには手っ取り早い方法だった。当然のことながら清の国内にはアへン中毒患者が激増することとなり、アヘンの蔓延に危機感をつのらせた清王朝は1839年、アヘンの全面禁輸を決断した。英国商人の保有するアヘンをかたっぱしから没収し、焼却したため、これに反発した英国との間で遂にアヘン戦争が勃発した。結局、この戦争で英国が勝ち、南京条約によって辺境にあるのどかな1漁村に過ぎなかった香港は1842年、英国に割譲されることとなった。
(なぜ清は英国に負けたのか)
なぜ経済大国であった清が英国に負けたのかは議論が分かれるところだが、産業革命による蒸気機関の発明という要素がかなり大きな要素として挙げられる。「ネメシス」号をはじめとした東インド会社の汽走砲艦が、水深の浅い内陸水路に容易に侵入し、清軍のジャンク船を次々と沈めていったことはよく知られている。また産業革命によって蓄えた財力で大砲など強力な武器を調達できたことも大きい。もうひとつ清に関して言わせてもらうと清側に大国であるが故の心の隙があったことが挙げられる。豊かであるが故に民衆の関心が享楽的なものに向かい、たちまちアヘンに取り込まれてしまった。そこも敗因のひとつと数えることができる。
(英国に助けを求める動きが起きている)
現在、中国は飛ぶ鳥を落とす勢いで覇権国家への階段を再びかけのぼろうとしており、英国からの呪縛からも解き放れつつある。そんな時、皮肉なことに、香港の人々の間からは、「われわれは中国人ではなく香港に住む英国人だ」との声が上がり始めている。これはなぜなのだろうか。香港では1997年の中国への返還前から香港に住んでいた人には英国の海外市民パスポートが発行されており、今でも約300万人の人々が英国のパスポートを持っている。手荒な方法で中国から香港を取り込んだ英国に助けを求める動きが起きているというのはなんとも皮肉な話である。よく考えれば香港は英国が統治したことによって人口は10倍以上に膨れ上がり、国際貿易金融都市としても飛躍的に発展したことからも、香港市民には英国による統治がむしろ良い記憶として心の中に残っていると考えられる。民衆との心の溝を埋めようともしない共産党政権によるガバナンスよりも英国植民地統治の方が香港市民にとってはよほどましだったのかもしれない。
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中国建国70周年を睨む(9月14日)
(米中貿易戦争・中国建国70周年を睨む)
世界経済に暗雲をもたらしている米中貿易戦争。ここにきてトランプ大統領は10月1日に建国70周年を迎える中国のメンツを立てるため、10月1日に予定していた関税拡大を15日に先送りにした。中国商務省はこれを歓迎し、米国産農産品の輸入手続きを再開したと表明した。さらに中国との間でお互いが譲歩できそうな議題に対象を絞った「暫定合意」も検討する考えを示すなど、中国に対する歩み寄りの姿勢を示した。一方で産業補助金や知的財産侵害など中国の構造問題にもメスを入れ包括的な妥結を最優先させる姿勢を示しており、楽観視できない部分も依然多く残されている。
(気がかりな香港、台湾の動向)
香港デモの行方と2020年1月に総統選挙が行われる台湾の動向が小休止に向かいつつある米中関係を再び悪化させる可能性がある。香港当局は逃亡犯条例改正案を取り下げたが、香港デモ隊は自らが掲げる5つの要求のどれ1つとっても譲れないとしており、香港のデモが収まる気配は見えない。中国側が譲れないのは香港デモ隊が要求の中に掲げている民主的選挙の実施であり、これを許せば香港、台湾に独立を許すことにも繋がりかねない。このような状況の中、香港の抗議派は10月1日にも大規模抗議を予定しており、その直前の9月29日には台湾で1万人規模の「香港支援デモ」が行われるといい、これに対し中国は容赦なく抑え込みにかかると予想される。デモが膨れあがった場合には武装警察も投入し一気に一国一制度にまで持っていく可能性もある。香港基本法第5条には英国との間の約束である50年間は資本主義、つまり一国二制度でなくてはならないという取り決めがあるものの、実は香港基本法第159条には中国政府が恣意的に改正できるとも記されており、法的にも中国の恣意的判断で一国一制度に持っていくことが可能なのである。香港、台湾の動向から目を離すことはできない。
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