北朝鮮の国営メディアによると新型の地対艦巡航ミサイルの初めての発射実験が行われ海上の標的の船を探知して命中し成功したという。
朝鮮労働党機関紙「労働新聞」には写真が掲載され、4つの発射管を搭載した移動式の発射台から次々と発射されるミサイルや標的の船に命中して炎があがっている様子が捉えられている。北朝鮮はきのう東部のウォンサン付近から短距離ミサイル数発を日本海に向けて発射しており、今回の発表はこのミサイルを指しているとみられる。
韓国軍の合同参謀本部によると北朝鮮は今朝、東部の元山から“短距離の地対艦巡航ミサイルと見られる数発を発射し約200キロ離れた場所に落下した”とのこと。
韓国軍は米軍と詳しい情報の収集と分析を急ぐとともに“追加の発射の可能性もある”として警戒と監視を強化している。
弾道ミサイルが日本の領土や領海に落下したり日本の上空を通過したりする可能性がある場合、日本政府はJアラート(全国瞬時警報システム)などを通じて緊急情報を出すことにしているが、こうした情報は出されていない。
米国国防総省は日本海に展開していた海軍の原子力空母2隻(カールビンソン、ロナルドレーガン)について、合同の軍事演習が終了したとして日本海を離れたことを明らかにした。一方、北朝鮮による警戒は今後も続ける方針。
カールビンソンはカリフォルニア州サンディエゴに向け帰還を開始したとしている。
米軍は先週、空母ニミッツを西太平洋地域へ朝鮮半島や南シナ海などの警戒にあてる方針だ。
ニミッツも来月には日本、インドとの合同軍事演習に参加のためインド洋へ向かい、その後、ペルシャ湾に向かう予定。...
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米国国防総省は日本海に展開していた海軍の原子力空母2隻(カールビンソン、ロナルドレーガン)について、合同の軍事演習が終了したとして日本海を離れたことを明らかにした。一方、北朝鮮による警戒は今後も続ける方針。
カールビンソンはカリフォルニア州サンディエゴに向け帰還を開始したとしている。
米軍は先週、空母ニミッツを西太平洋地域へ朝鮮半島や南シナ海などの警戒にあてる方針だ。
ニミッツも来月には日本、インドとの合同軍事演習に参加のためインド洋へ向かい、その後、ペルシャ湾に向かう予定。
しかし国防総省は朝鮮半島情勢などに変化が生じれば空母の派遣先を変更し柔軟に対応すると強調した。
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朝鮮半島情勢
(軍事的圧力強める米国の足元みる北朝鮮)
3週連続で弾道ミサイルを発射した北朝鮮に対し、米国は5月30日、北朝鮮が開発を急ぐICBMの迎撃実験に初めて成功、さらに6月1日に米国と同盟国は軍事的圧力を強化し、米国原子力空母・カールビンソン、ロナルドレーガンと海上自衛隊・あしがら、ひゅうが、F15戦闘機が異例の共同訓練を行った。今後、カールビンソンはミニッツと交代する予定だが北朝鮮周辺に展開させる米国のフォーメーションに変化はないとみられる。...
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朝鮮半島情勢
(軍事的圧力強める米国の足元みる北朝鮮)
3週連続で弾道ミサイルを発射した北朝鮮に対し、米国は5月30日、北朝鮮が開発を急ぐICBMの迎撃実験に初めて成功、さらに6月1日に米国と同盟国は軍事的圧力を強化し、米国原子力空母・カールビンソン、ロナルドレーガンと海上自衛隊・あしがら、ひゅうが、F15戦闘機が異例の共同訓練を行った。今後、カールビンソンはミニッツと交代する予定だが北朝鮮周辺に展開させる米国のフォーメーションに変化はないとみられる。北朝鮮は「在日米軍基地以外の日本の場所も標的にする」と威嚇してきた。実際のところ北朝鮮は米国の空母派遣はブラフとみており、日本や韓国の意向を全く無視して単独で米国が攻撃してくることはないと高を括っている。
(制裁強める国連と米国だが、すぐに北朝鮮を追い込むのは難しい)
一方、国連安保理では核・ミサイル開発に関わる14の個人と4つの団体の渡航禁止や資産を凍結する北朝鮮に対する新たな制裁決議案(中国やロシアも賛成)を全会一致で可決した。個人については諜報活動や原子力に関わる国家機関の幹部、ミサイル関連部品の取り引きを扱う銀行の代表など、団体については核開発や石炭・金属の輸出に関係する複数の企業がそれぞれ含まれている。米国も6月2日、ロシアの石油会社やベアリング製造企業などへの制裁をリストに追加した。これは国連安保理決議を補う形で北朝鮮の核・ミサイル製造に協力する企業を米国が単独制裁をかけていくものだが、外国の企業も含まれるところがポイントだが、まだまだ抜け道が多く、こうした制裁だけで北朝鮮を追い込むのは難しいのではないかと元国連安保理・北朝鮮制裁委員会・専門家パネル委員の古川勝久氏は指摘している。中国とロシアが強く主張する北朝鮮との対話で北朝鮮問題が解決に向かうとは到底思えない。今、北朝鮮を中心にして大国間の綱引きが行われていると言っても良いだろう。
(トランプ政権は今後どう動くのか?・8日のコミーFBI元長官の議会証言に注目)
トランプ政権内部の権力闘争がトランプの政策運営、外交政策に反映されている。シリア軍基地を空爆した辺りでは、国際派であるトランプの側近クシュナーの力が国内優先派のバノンを上回っていたが、ロシアゲートでクシュナーがFBIの捜査対象に入り失速したのを機にバノンサイドが力を復活させたとみられる。クシュナーが反対していたパリ協定を離脱したことがその象徴的出来事ともいえるが、この協定に関して実はトランプの離脱の真意はオバマ前大統領がのせられてしまった、中国とEUぺースの条約の中身を再交渉によって米国ペースに変えることにあり、中国がこの条約で優遇されているのではないかという不満がトランプの根底にある。一方8日に上院情報特別委員会でロシアゲートの行方を大きく左右すると言われるコミーFBI元長官の議会証言が行われるが、この日はFBIの下院監視委員会へのロシアゲートの資料提出期限でもある。これらの結果がどう転ぶかによってトランプの政策が変わってくる。疑惑から目をそらすために北朝鮮周辺や南シナ海での示威行動などを行うということも考えられる。
(米国は?北朝鮮は?今後の動きは?)
米国は中国に対して北朝鮮に圧力をかけさせているというやり方については継続しているが、北朝鮮が核実験をやった場合は話は違ってくる。北朝鮮としても米国のレッドラインが核実験を行った時と認識しているので、自制はすると考えられる。一方、4週連続のミサイル発射はあるのかどうかについて推測すれば、今回、国連非難決議が出された為、ミサイル発射はこれまでの動き(前回のミサイル発射はEEZ・排他的経済水域と公海のぎりぎりの部分に落としてきた)を考えると6月4日前後に日本の一部を射程に収めるスカッドER短距離弾道ミサイルをEEZのど真ん中か、日本領海ぎりぎりを狙って落としてくる可能性もある。今後も北朝鮮動向、そしてトランプ政権の動きから目を離せない。
※参考:ここ最近、北朝鮮が発射したミサイル
2016.8/24潜水艦発射弾道ミサイル「SLBM」1発・2017.2/12新型弾道ミサイル「北極星2」1発・3/6スカッドER改良型4発・3/22弾道ミサイル1発(失敗)・4/5「北極星2」とみられる弾道ミサイル1発(失敗)・4/16中距離弾道ミサイル1発(失敗)・4/29「火星12」とみられる弾道ミサイル1発(失敗)・5/14新型中長距離弾道ミサイル「火星12」1発・5/21「北極星2」1発・5/28新型対空迎撃システムの試験発射・5/29スカッド系短距離弾道ミサイル1発。
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米海軍の原子力空母「ニミッツ」は2隻の駆逐艦を伴い米国・ワシントン州の海軍基地を出港した。カリフォルニア州の沖合でFA18戦闘攻撃機など艦載機を搭載したあと別の駆逐艦や巡洋艦と合流して西太平洋地域に向かう予定で、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮や海洋進出を強める中国をけん制する狙いがあるとみられている。
艦隊の司令官・ウィリアムバーン准将は「北朝鮮の最大の脅威は予想不可能なこと。米国軍は朝鮮半島やその周辺に展開し抑止力になっている。」と話す。米国軍は空母2隻を日本海に展開させ軍事演習を行っているが、空母「カールビンソン」は今月にも米国本国に帰還する見通しで、「ニミッツ」はその代わりとして西太平洋地域に派遣される。「ニミッツ」は当面西太平洋地域で活動し来月にもインド洋で自衛隊やインド軍と合同軍事演習を実施する予定である。
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