【東京五輪日記】
7月29日「隅田川の花火」(第30回)
7月29日、土曜日、その日は「隅田川の花火」が行われる日だった。
午後3時半ごろ、浅草見付辺りの神田川には、川がほとんど埋まるほどの屋形船が浮かんでいた。
屋形船の乗り場には、老若男女が集まり、これからの祭典を楽しみにしている様子であった。
更に、柳橋の方に歩いて行くと、待ち合わせをしている人々が、手に手にスマホを持ち時間や場所の確認をしている姿が目立った。
緑色に塗られたその橋から眺めると、浅草橋方面から、屋形船が少しずつ動き出しているようにも見えた。
一方、神田川が合流する隅田川には、まだ警備をする船が数艘浮かんでいるだけで、屋形船の姿は一隻もなかった。
例年であると、あと2時間もすると、この辺りは屋形船でびっしりと川が埋まってしまうことになる。
両国橋の方に歩き、橋を渡り始めると、警備のためと思われる柵がびっしりとしつらえてあることに気づいた。
川にはまだ一艘の屋形船も浮かんでいなかった。
戻って浅草橋駅の方に柳橋を歩いてみた。
大きな寿司屋が目立つぐらいで閑散とした感じだった。
ただ、警備の車が、時折走っているのが目についた。
駅の周辺は、相当ごった返していた。
江戸通りには、まだ見物客を規制する柵がなく、これから大掛かりな規制が牽かれてゆくのだと感じた。
「まだこれからなのか」と思った。
浴衣姿の人々が行き交う、光景の中、頬に雨のしずくがあたった。
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