6月3日、その日の空は、真っ青で、白い雲が時折流れていた。 14時ごろ、その公園に着くと、早速入場料を払い中に入った。 松の間から、池が見え、代々の水戸徳川家が磨いてきた庭園の様子が、周辺の近代的建築物に囲まれて浮かんでいた。 置物のように見えた、白鳥が急に動き出したのには、少し驚いたが、大都会の中に、今も静謐を保った日本庭園の優美さに、別世界に誘われた気がした。 仮設の橋を渡ると、菖蒲の花々が見えてきた。 規模は小さいが、稲田を伴って、水を湛えた菖蒲園が広がっていた。 それほど種類は無いが、白や紫の花々が彼処に咲いていた。 この庭園には、中国や京都の風光を模写した見どころがあちらこちらにあり、加えて水戸偕楽園所縁の梅の木もあった。 少し奥に入ると、木々が茂り、大柄の石が坂道を埋めていた。 間から入る木漏れ日が、この公園の静けさを呼んでいるように感じた。 行きかう人々は、日本人だけではなく、中国人や欧米人も沢山いた。 皆、日本庭園の雰囲気を楽しんでいるものと思われた。 ふと気が付くと、隣にあると思われる「東京ドーム」から時折、大きな歓声が聞こえた。 そうか、野球の試合をやっているのかと思った。 なんと言ってもこの公園の中心は、この大きな池だろうと感じた。 処によっては、蓮の葉が、広く群生していた。 1時間ぐらいであろうか、額に汗が滲む頃、出口にやってきた。