【健康のおはなし】
第六十七回 認知症のおはなし
レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症(50%)に次いで多いタイプの認知症(20%)で物忘れや日時や場所など状況認識ができない認知機能障害をいう。幻覚や幻聴、ぼーっとすることが増えたり、筋肉がこわばり歩けなくなる運動障害、徘徊などがあらわれる。残念なことに発症の詳しいメカニズムはわかっておらず、薬で筋肉のこわばりを和らげるなどの対処療法しかない。重くなると寝たきりになり、排泄物の世話が必要になってくる。
こうした中、社交ダンスでレビー小体型認知症の末期症状から劇的に症状が改善し、社交ダンスを踊れるまでに回復した女性が出てきた。この女性は昔社交ダンスをしていたという。今、社交ダンスが認知機能の維持、向上や認知症に及ぼす影響がかなりあるとする研究結果が次々と発表されていて、医学会でも大きな注目を集めている。有酸素運動しながら、踊りながらステップを考えている。つまり2つのことを同時にやっているという行為が認知機能の予防・回復に効果がある可能性があるのだという。異性に心がときめくというのも脳にとって良い刺激となるのだろう。 身内に認知症の方がいらっしゃる方は社交ダンスにぜひ注目していて欲しい。...
全部読む
第六十六回 第3の善玉菌・酪酸菌
腸内細菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌に大別される。善玉菌といえばビフィズス菌、乳酸菌の2つが有名だが、近年腸内細菌の解析技術が発展し遺伝子を使って解析したところ酪酸菌が発見された。
第3の善玉菌と呼ぶべき酪酸菌は腸の粘膜を正常化し、免疫機能を正常化させるという。さらにがん細胞を抑制する大きな機能を持っていて、腸内で酪酸菌を多く持つと病気になりにくくなる。免疫機能をいつも高めてくれている大事な菌だ。 酪酸菌は腸の中で食物繊維をエサとして超粘膜を保護し、がん細胞を抑制する酪酸を生成することができる。 酪酸菌は誰でもが体内に持っており野菜をとればとるほどその菌が活性化するのだという。 テレビ東京「主治医が見つかる診療所」8/8放送分を参照。 第六十五回 わさびの力
「6メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート」ががん予防に良い。この成分は本わさびの根茎部分にしか含まれていない。
私たちの体には発ガン物質を肝臓などで分解する働きがあるが、人の体に6メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートを投与したところ、発ガン物質を分解する酵素の働きが投与前に比べ投与後は2倍以上にアップすることが明らかになった。 なぜこの成分ががんに良いのか愛知学院大学・健康栄養学科教授・大澤俊彦氏に聞いた。 大澤氏は「わさびに含まれている6メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートは解毒力、解毒酵素を活性化してがんのリスク、がんを予防する作用が期待できる」としている。 1日、本わさびを3グラムから5グラム程度。小さじ1杯分ぐらい摂取するのが目安だという。ただ、食べ過ぎると逆に胃酸が出過ぎてしまい、胃が荒れてしまうことがあるので注意が必要。 また、市販されているチューブわさびだとでんぷんとかいろいろな材料が入っているのでがん予防の効果はなかなか難しいのだという。 NHK「あさイチ」7/6放送分を参照。 第六十四回 貧血豆知識
貧血とは血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが基準値を下回り体内に酸素が十分に行き渡らない状態のことで、酸素不足になると心臓や肺が無理をして息切れや動悸が起きる。
ヘモグロビンは鉄を原料に体内で作られるが食生活の偏りですぐに不足してしまいがち。鉄欠乏性貧血にはつめが割れたりへこんだり、氷を食べたくなるという症状が出てくる。 貧血外来を開設しているナビタスクリニック新宿・久住英二によると「立ちくらみや頭痛があると『貧血かも…』と訴える人が多いが、血液検査では異常がないことも多い」という。久住らが2006年に健康な女性約1万3000人の健診データを調べたところ、50歳未満の22.3%の女性が貧血だった。 一方、高齢者の貧血は貧血症状より他の疾患の症状が前面に出てくるケースが多いという。例えば、狭心症がある人が貧血になると胸部の痛みが前面に出る。また、高齢者が貧血になると夜間にわめくなどのせん妄を起こしやすいという。 50歳以上の人が貧血の場合には、まずがんを疑う。特に大腸がんや胃ガンはポリープから気付かない間に出血し、貧血状態になるという。 北原ライフサポートクリニック・下島和弥医師によると、ホウレンソウに含まれる鉄分は吸収されにくく、取り立てて貧血に効く食べ物とはいえないそう。...
全部読む
第六十三回 抗がん剤の予備知識
今回は乳がんの抗がん剤の予備知識を紹介する。
抗がん剤治療は手術前にがんを小さくするために投与するケースと手術後に再発を防ぐために投与するケースがある。だが、そもそも抗がん剤って液体なのか錠剤なのか、どんな色をしているのか?など知らないことが多すぎる。 抗がん剤は液体のものから、錠剤のものまである。なかには真っ赤な抗がん剤もありこれは生理食塩水に溶かして点滴として使うという。日本医薬情報センターに聞くと治療に使われている抗がん剤の種類は主なもので35種類に及ぶという。 多くの抗がん剤の元となっているのはニチニチソウからとれるヒノレルビンやイチイからとれるドセタキルなど植物から抽出した成分が多いが、最新の抗がん剤の原料は海の生き物クロイソカイメン。 抗がん剤の多くは注射や点滴で投与される。点滴を打つ時間は長い場合3時間以上かかることもある。抗がん剤の種類を次々と変えていく。効き方や性質の違う2種類から3種類を組み合わせて投与するのが一般的だという。そのため1度の点滴で体に入れる量は多いときで1.5Lにのぼるケースもある。 料金は点滴後の吐き気止めの薬も含めて1回あたり約2万円。...
全部読む
「健康のおはなし」内の検索 |