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“フジヤマのトビウオたち”のリオ熱戦譜(8月16日)
連日熱戦が繰り広げられてきたリオ五輪の日程も折り返しを過ぎ、早くも終盤を迎えようとしている。金メダル2つを含む7つのメダルを獲得した競泳陣・トビウオジャパンも帰国の途に就いた。大会前にはリオのプールの水温が通常の国際大会より低いことが判明。日本が好結果を出した大会は比較的水温が高いことが多いため影響が心配されたが、当初の目標であった複数の金メダルも手にして堂々の凱旋である。
日本競泳チームでは男子400m個人メドレーに続き、金藤理絵が200m平泳ぎを獲得した。...
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連日熱戦が繰り広げられてきたリオ五輪の日程も折り返しを過ぎ、早くも終盤を迎えようとしている。金メダル2つを含む7つのメダルを獲得した競泳陣・トビウオジャパンも帰国の途に就いた。大会前にはリオのプールの水温が通常の国際大会より低いことが判明。日本が好結果を出した大会は比較的水温が高いことが多いため影響が心配されたが、当初の目標であった複数の金メダルも手にして堂々の凱旋である。
日本競泳チームでは男子400m個人メドレーに続き、金藤理絵が200m平泳ぎを獲得した。従業員60人の東京下町の競泳帽などの製造メーカーに勤める金藤。ロンドン五輪代表落選時には現役引退を考えたことが幾度もあったという。温かく後押ししてくれた同僚たちの手作りの壮行会では「良い色のメダルを持ち帰ります」と涙で誓っていた。ブログでも仲間のサポートへ感謝の言葉を綴っていた日本競泳初の女性キャプテンは、最高の形で恩返しを果たした。
栄冠に輝いた選手の一方で、目標に届かず苦い思いをした者もいる。ロンドン五輪で3つのメダルに輝き、今回も金メダル候補の一角を占めた入江陵介は3種目に出場。しかし、400mメドレーリレーの5位入賞が最高で、表彰台に上ることはできなかった。帰国前に入江は自身のtwitterで「悔しい成績しか残すことができず申し訳ないです」という言葉と、感謝の気持ちを綴った。2020東京五輪時には30歳となる入江。力の衰えも一部で囁かれた。だが、今回の競泳日本の最年長はリレーで銅メダルを獲得した松田丈志の32歳。限界を論ずるのはまだまだ早いだろう。男子200m平泳ぎでオリンピックレコードを更新した19歳の新鋭・渡辺一平や、日本新記録を連発した池江璃花子らと共に、東京でも再びあの力強い泳ぎを見せて貰いたい。
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“柔道ルネッサンス”・日本が目指す柔の道(8月15日)
柔道がオリンピック正式競技に加えられた1964年の東京五輪は男子の全4階級で戦われた。日本はその内3階級で優勝。だが、唯一金メダルを獲得できなかったのが無差別級で、神永昭夫がオランダのアントン・ヘーシンクに決勝で敗れたことは日本人に大きな衝撃を与えた。
今回のリオデジャネイロ五輪で、日本の男女代表は過去最多のメダル獲得を達成(全14階級合計12個)。男子は7階級全てでのメダル奪取を成し遂げた。これは東京以来52年ぶり2度目の快挙。...
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柔道がオリンピック正式競技に加えられた1964年の東京五輪は男子の全4階級で戦われた。日本はその内3階級で優勝。だが、唯一金メダルを獲得できなかったのが無差別級で、神永昭夫がオランダのアントン・ヘーシンクに決勝で敗れたことは日本人に大きな衝撃を与えた。
今回のリオデジャネイロ五輪で、日本の男女代表は過去最多のメダル獲得を達成(全14階級合計12個)。男子は7階級全てでのメダル奪取を成し遂げた。これは東京以来52年ぶり2度目の快挙。7階級になってからは史上初めてのことだ。全階級の試合終了後、男子監督の井上康生監督は「ロンドンでは悔し涙を流したが今回は最高の選手、最高のスタッフと最高の舞台で戦えた幸せを感じた涙だと思う。心からみんなに感謝したい」と男泣きにくれ、前回金メダル0の惨敗からの復活を高らかに告げた。
ポイントでリードしても最後まで一本を取る柔道に徹したのは73キロ級の大野将平。優勝の瞬間も派手なガッツポーズも見せず、美しい「礼」で試合を締めくくった。「オリンピックをきっかけに柔道人気を爆発させたいと思っていた」というベイカー茉秋は、90キロ級で日本に初の金メダルをもたらした。惜しくもあと一歩で頂点に手が届かなかったほかの代表選手たちも、男女ともよくぞ立派に戦い抜いてくれたと思う。
原沢久喜は最重量100キロ超級で常勝王者のリネールに惜敗した。しかし、そこには52年前の東京で神永がヘーシンクに敗れた際のような深刻な悲壮感はない。率直な感情を爆発させるリオの観客たちは、ポイント先行で逃げ切りを成功させたリネールに対して容赦ないブーイングを浴びせていた。それは「一本を目指す柔道」「正しい礼法」を目指す日本柔道が共感を得たことに他ならない。柔の道の再生は成ったのだ。
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トビウオジャパン・好敵手の物語は東京へ続く(8月13日)
メダルラッシュに沸く日本競泳陣。先陣を切ったのは男子400m個人メドレーだった。萩野公介と瀬戸大也。同い年の好敵手が初めて対決したのは小学校3年生。当時、すでに同世代で敵なしだった萩野に対し、この時の瀬戸は全く歯が立たなかった。瀬戸曰く萩野は「雲の上の存在だった」という。その図式が変わったのは5年後。中学の全国大会で瀬戸が初めてこの天才スイマーを破った。以来2人のライバル関係は世界の舞台で展開されることとなる。...
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メダルラッシュに沸く日本競泳陣。先陣を切ったのは男子400m個人メドレーだった。萩野公介と瀬戸大也。同い年の好敵手が初めて対決したのは小学校3年生。当時、すでに同世代で敵なしだった萩野に対し、この時の瀬戸は全く歯が立たなかった。瀬戸曰く萩野は「雲の上の存在だった」という。その図式が変わったのは5年後。中学の全国大会で瀬戸が初めてこの天才スイマーを破った。以来2人のライバル関係は世界の舞台で展開されることとなる。
2012年、ロンドン五輪に初出場した萩野が高校生としては56年ぶりの銅メダルを獲得したのに対し、代表選考に漏れた瀬戸は雪辱を誓った。それが翌2013年、2015年の世界選手権連覇という形で実を結ぶ。そして迎えた今回のリオ五輪。「世界最強のライバルなので良いレースを2人でしたい」と語る瀬戸。萩野も「一緒に戦えることを幸せに感じて最高のオリンピックにしたい」と応えた。個人メドレーの中でも五輪で一番歴史の古い400m。激しく体力を消耗する最も過酷なレースでもある。
予選は瀬戸が全体2位、萩野が予選3組1位で決勝進出。決勝では萩野が圧巻の泳ぎを見せて勝負を制した。瀬戸も3位でゴールし、日本競泳界60年ぶりの同時メダル受賞の達成。まさに抜きつ抜かれつの好勝負の2人。レース後、平井コーチへの感謝の言葉を口にする萩野に瀬戸は「今回は公介が4年間ロンドン五輪から頑張ってきた成果だと思う。次の東京で、次こそは1、2フィニッシュできるように頑張りたい」と意気込んだ。12日の200メートル個人メドレーでは萩野が銀メダルを獲得し、再び表彰台に立った。2020に向けて瀬戸はまたその背中を追い続けるだろう。トビウオたちのライバルストーリーはまだまだ続いていく。
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高校野球女子マネージャーにも“輝く栄冠”を(8月12日)
第98回全国高校野球選手権大会は11日、2回戦に突入した。強豪校や注目校が地区予選で姿を消す波乱が相次いだ今年の夏の甲子園。リオデジャネイロオリンピック開幕とも重なって、例年に比べやや関心が集まりにくい部分もあるが、日本代表選手の戦いに負けない熱戦が連日繰り広げられている。
そんななか開幕前の2日、練習中のある出来事が大きな波紋を呼んだ。ユニホームを着てグラウンドでノック補助をしていた大分の女子マネージャーが、大会関係者から制止されて退出させられる一幕があったのだ。...
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第98回全国高校野球選手権大会は11日、2回戦に突入した。強豪校や注目校が地区予選で姿を消す波乱が相次いだ今年の夏の甲子園。リオデジャネイロオリンピック開幕とも重なって、例年に比べやや関心が集まりにくい部分もあるが、日本代表選手の戦いに負けない熱戦が連日繰り広げられている。
そんななか開幕前の2日、練習中のある出来事が大きな波紋を呼んだ。ユニホームを着てグラウンドでノック補助をしていた大分の女子マネージャーが、大会関係者から制止されて退出させられる一幕があったのだ。一応、「試合の練習補助員とボールボーイは男子部員に限る」とのお達しは出されていたというが、同じ部の仲間として普段から練習に参加させてきた女子マネージャーを、甲子園のグラウンドに立たせてやりたかったという気持ちは察するに余りある。
高校野球で女子マネージャーのベンチ入りは、平成8年(1996)から記録員という形で認められるようになった。だが、高野連側では「硬球に当たる危険性」を理由に女子部員がグラウンドに出ることは、まだ禁じたままだ。
現在では、女子の硬式野球部も多くの高校に誕生しており、先週8月3日まで兵庫県丹波市で行われていた「全国高等学校女子硬式野球選手権大会」は今年で既に20回目を迎えている。女子だから硬球は危ないという論拠は如何にも時代錯誤な感は否めない。ちなみに今年9月には女子野球のW杯が韓国で開催されるが、日本代表マドンナジャパンは大会4連覇中。世界最強・最大の女子硬式野球王国は日本なのである。
高野連と共に大会を主催する朝日新聞が今年制作したPR動画が、アップテンポの「栄冠は君に輝く」に合わせ女子生徒がグラウンドで軽快にダンスする内容なことは何とも皮肉であった。
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空中のキャンバスに描き出された美しき跳躍(8月11日)
内村航平が目指す体操とは「体操を知らない人が見ても“美しさが伝わる体操”」である。たとえ技の名前や難易度について知識がなくとも、その躍動感や華麗さに心を動かされる演技。技のキレに徹底的に磨きをかけ、究極の完成形を追求し続けてきた。3大会ぶりの金メダルが期待されたリオ五輪団体戦は、その集大成ともいえる演技を披露する舞台となった。だが、予選では日本に予想外の展開が待ち受けていた。
あん馬では落下、跳馬でも着地ミスが相次ぎ、重苦しい雰囲気の日本。...
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内村航平が目指す体操とは「体操を知らない人が見ても“美しさが伝わる体操”」である。たとえ技の名前や難易度について知識がなくとも、その躍動感や華麗さに心を動かされる演技。技のキレに徹底的に磨きをかけ、究極の完成形を追求し続けてきた。3大会ぶりの金メダルが期待されたリオ五輪団体戦は、その集大成ともいえる演技を披露する舞台となった。だが、予選では日本に予想外の展開が待ち受けていた。
あん馬では落下、跳馬でも着地ミスが相次ぎ、重苦しい雰囲気の日本。内村は得意の鉄棒で挽回にかかったが、これが大舞台の魔力か。離れ技「屈身コバチ」でバーを握り損ねてまさかの落下。自身の種目別・鉄棒の決勝進出まで逃してしまう。「ブラジルの声援が凄かった」跳馬でミスをしてしまった山室光史が語るように、ブラジルと同組になったことで地元の大声援に圧倒された部分もあったのは確かだろう。だが金メダルに黄色信号が灯る中、「過信があったのかなと思う」と内村は冷静に自己分析していた。
4位スタートとなったことで、決勝では日本勢は苦手のあん馬からのスタート。トップバッターの内村がほぼ完ぺきな演技で乗り切ると、その後は各選手が持ち味を存分に発揮。吊り輪で山室が堅実な演技。平行棒では田中佑典が大技を成功させ、ぐんぐんと順位を上げていく。3種目を終えた時点で遂に1位に躍り出ると、鉄棒で加藤凌平と内村が完璧な演技。ラストの床では白井健三が自らの名前を冠したスゴ技「シライ/グエン」で16点台を叩き出す。大トリを務めたのはやはりこの人、内村。華麗な技の連続に今回は、地元ブラジルの観客もかたずをのんで見守っていた。金メダルに輝いた日本代表がリオに描いた跳躍の数々。その美しさはきっと世界中の人々の心に伝わったことだろう。
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