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寡黙な男の名台詞・第三の横綱鶴竜、新時代へ(11月29日)
「2年前に止まった時間が、やっと動き出しました。この気持ちを忘れずに成長していきたいと思います」大相撲一年納めの九州場所は第71代横綱・鶴竜の3回目の優勝で幕を下ろした。
優勝インタビューで触れた2年前とは平成26年九州場所のこと。この時は初日から無傷の十連勝と横綱になって初の賜杯に大きく近づいていた。しかし、11日目で初黒星を喫すると白鵬に逆転を許し優勝をさらわれた。優勝決定戦に持ち込むこともできず、「これで横綱と言えるのか」と自問するほど屈辱に感じていたという。...
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「2年前に止まった時間が、やっと動き出しました。この気持ちを忘れずに成長していきたいと思います」大相撲一年納めの九州場所は第71代横綱・鶴竜の3回目の優勝で幕を下ろした。
優勝インタビューで触れた2年前とは平成26年九州場所のこと。この時は初日から無傷の十連勝と横綱になって初の賜杯に大きく近づいていた。しかし、11日目で初黒星を喫すると白鵬に逆転を許し優勝をさらわれた。優勝決定戦に持ち込むこともできず、「これで横綱と言えるのか」と自問するほど屈辱に感じていたという。
その後も肩の怪我による休場もあり、横綱昇進から1年経っても優勝がなく、風当たりが厳しい日々が続いた。念願の2回目の優勝は昨年の秋場所。白鵬・日馬富士が相次いで途中休場という一人横綱の中での「絶対に負けられない」中での達成だった。だからこそ鶴竜は、三横綱が皆勤の場所での優勝にこだわっていたのだ。
今場所は豪栄道の綱取りや、白鵬の通算1000勝に話題が集まる中、鶴竜への注目は高いものではなかった。“第三の横綱“としてのポジションが定着してしまい、忸怩たる思いを重ねていた鶴竜。今場所は単独トップに立っていながら11日目に稀勢の里に土をつけられ、脳裏には2年前の悪夢が甦ったことだろう。だが、今場所の鶴竜は一味違っていた。その後も落ち着いた相撲で難敵を下し、14日目に豪栄道を破って千秋楽を待たずに優勝を決めたのだった。
寡黙ながらこの横綱の流暢な美しい日本語は外国人力士随一。常に理路整然としており重みがある。横綱伝達式の時に述べた口上は「一生懸命」。奇を衒わずシンプルな言葉を選んだ。その朴訥とした信条に、地道な努力で培った力強さが兼ね備わってきた。来年こそ鶴竜が主役に躍り出る。そんな予感を思わせる九州場所だった。
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完璧なスケーティングへ…一歩ずつ着実な前進(11月28日)
「もうちょっと」指先で小さな隙間を作った羽生結弦の口元はそう呟いているように見えた。フィギュアスケートGPシリーズ第6戦。昨年は史上初めての300点越えを達成したNHK杯・男子シングル。羽生は今季最高得点の301.47を記録し、大会二連覇を達成した。
結果だけを見れば2位に30点以上の差をつけての圧勝だ。それでもフリーの演技後に悔しげな表情を浮かべるジェスチャーをとったのは、4度の4回転のうち、コンビネーションにつなげる連続ジャンプでの転倒だろう。...
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「もうちょっと」指先で小さな隙間を作った羽生結弦の口元はそう呟いているように見えた。フィギュアスケートGPシリーズ第6戦。昨年は史上初めての300点越えを達成したNHK杯・男子シングル。羽生は今季最高得点の301.47を記録し、大会二連覇を達成した。
結果だけを見れば2位に30点以上の差をつけての圧勝だ。それでもフリーの演技後に悔しげな表情を浮かべるジェスチャーをとったのは、4度の4回転のうち、コンビネーションにつなげる連続ジャンプでの転倒だろう。だが、今回の最大の収穫は、今シーズン最大の課題である「4回転ループ」。2位に終わった初戦のカナダ大会ではSP、フリーともに失敗してしまった。その後の演技にも影響したのか、フリーの4回の4回転ジャンプのうち成功したのは2回だけだった。今大会のSPでも着氷が乱れてしまったこの世界初の大技。それをフリーの冒頭でしっかり決めてみせた。やや体勢が流れかけたが「なんとか耐えられた」と、うまく修正できたのが勝因だった。「今日、非常に緊張していて。昨日のリベンジをしたいという気持ちもあって…」と試合後には安堵の言葉も。2位の初出場、ネイサン・チェンは羽生を上回る7回もの4回転を盛り込んだプログラムを用意してきていた。3種類の4回転を持つ羽生にとっても、その重圧は相当のものだった筈だ。これで6年連続のグランプリファイナル進出が決定した。
現在GPファイナル3連覇中のディフェンディングチャンピオン・羽生を待ち受けるのは、もう一人の300点越え王者、ハビエル・フェルナンデス、カナダ大会で羽生を破ったパトリック・チャン。日本勢では宇野昌磨も虎視眈々と表彰台を狙っている。最終決戦は現地時間12月8日のフランス・マルセイユの地で開幕する。
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実り多き2016シーズン終了・錦織圭の進化(11月26日)
男子テニスの今季ツアーを終えて帰国した錦織圭。19日まで最終戦のツアーファイナルで世界トップランカーたちと鎬を削ったばかりだが、このオフも多忙を極めている。24日は都内保育園で行われたテニス教室にサプライズで登場。園児たちと風船を使ったラリーで交流し、テニスの楽しさを伝えた。来春からスポンサーのウイルソンと共同で、ネット・ラケット・ボールのセットを勝利数に応じて全国の幼稚園や保育園に寄贈する活動を始めることも明らかにした。...
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男子テニスの今季ツアーを終えて帰国した錦織圭。19日まで最終戦のツアーファイナルで世界トップランカーたちと鎬を削ったばかりだが、このオフも多忙を極めている。24日は都内保育園で行われたテニス教室にサプライズで登場。園児たちと風船を使ったラリーで交流し、テニスの楽しさを伝えた。来春からスポンサーのウイルソンと共同で、ネット・ラケット・ボールのセットを勝利数に応じて全国の幼稚園や保育園に寄贈する活動を始めることも明らかにした。
さらに来年から使用する新作ラケットを発表。振動や衝撃を少なくする素材で作られており、身体への負担を減らし、疲労を軽減するという優れものだ。今季は幾度か左脇腹を痛め、試合を棄権するアクシデントに見舞われた。「待ち遠しかった」という頼もしい武器を手に、来シーズンを戦うことになる。錦織はその後もイベントをハシゴ。マイケル・チャンコーチとともに、高級腕時計・タグホイヤーの自身がモデルとなったイベントへ出席。あまり見せないスーツ姿で登場した錦織は、新作の腕時計をプレゼントされ披露して見せた。今週はチャリティーエキシビションマッチにも出場する予定だが、どうか国内でゆっくり激闘の疲れを癒して欲しい。
今シーズンの4大大会の成績は全米OPのベスト4を筆頭に全て4回戦以上まで進出。強行日程にもかかわらず、自ら志願して臨んだリオ五輪では、日本人96年ぶりのメダル獲得を成し遂げた。自己最多の58勝を挙げ、本人も「今までで一番手応えを感じている」充実の一年だったといえる。現在世界ランク5位。1位のマレーにはすでに何度か勝利している。ツアーファイナルで初の決勝進出を阻まれたジョコビッチの牙城を崩すのも、もうそれほど先のことではないだろう。エアケイの進化は終わらない。
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激闘CS準決勝!激情を克服したストライカー(11月25日)
今年でひとまず最後となる2シーズン制のJ1チャンピオンシップ。準決勝は川崎フロンターレ(年間2位)と鹿島アントラーズ(年間3位)が激突した。2位通過のアドバンテージで、引き分けの場合には、フロンターレが決勝進出となる規定だ。試合は後半開始早々、ここしかないという狭いスペースに飛び込んだアントラーズFWの金崎夢生が、ヘッドで先制ゴールを叩き込む。そこからフロンターレが猛攻をしかけるが、怪我を押しての出場の中村憲剛も、来シーズンFC東京に移籍が決まっている大久保嘉人の執念のシュートも、鹿島ゴールを揺らすことができない。...
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今年でひとまず最後となる2シーズン制のJ1チャンピオンシップ。準決勝は川崎フロンターレ(年間2位)と鹿島アントラーズ(年間3位)が激突した。2位通過のアドバンテージで、引き分けの場合には、フロンターレが決勝進出となる規定だ。試合は後半開始早々、ここしかないという狭いスペースに飛び込んだアントラーズFWの金崎夢生が、ヘッドで先制ゴールを叩き込む。そこからフロンターレが猛攻をしかけるが、怪我を押しての出場の中村憲剛も、来シーズンFC東京に移籍が決まっている大久保嘉人の執念のシュートも、鹿島ゴールを揺らすことができない。ビッグマッチでの驚異的な強さを誇るアントラーズは、攻め込まれながらも巧みな試合運びでフロンターレの決定機を凌いでいく。結局1-0のまま逃げ切り、アントラーズが浦和レッズとの決勝に臨むこととなった。
今季のアントラーズは1stステージで優勝したものの、2ndステージは柴崎岳の負傷欠場等もあり成績が低迷。エースストライカーの金崎も調子が上がらず、2ndステージでは2得点にとどまった。それを象徴するような試合が第9節の湘南戦。途中交代を告げられた金崎は、不満から石井監督に詰め寄り暴言を吐いてしまう。その後監督とチームに謝罪を行ったものの、この行為がきっかけで日本代表から外される事態にまで発展。激昂の代償は非常に高くついた。
決勝進出を決めたあと、金崎は「石井さんの下で一つにまとまった」と語り、「このメンバーでもう2試合できるという嬉しさが今はあります」と満面の笑顔で答えた。そこにはもうあの暴走した激情は微塵も感じられない。試合を見つめていたハリルホジッチ監督へも最高のPRとなった筈だ。ホーム&アウェイで戦われる決勝。金崎はどのような姿を見せてくれるだろうか。
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応援してくれた全ての人へ・地元への深い感謝(11月24日)
「勤労感謝の日」の23日、プロ野球各球団恒例のファン感謝祭が全国各地のホーム球場で開催された。この日はパ・リーグの全球団と、セ・リーグではカープ、ジャンアンツ、スワローズの合計9球団が、日ごろの感謝をこめてファンと交流を深めた。名称はファンフェスティバルや感謝DAYなど様々。入場料についても完全無料の球団から、事前申し込み、抽選形式、有料のチケット購入など対応が分かれており、各球団の特色が感じられて興味深い。...
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「勤労感謝の日」の23日、プロ野球各球団恒例のファン感謝祭が全国各地のホーム球場で開催された。この日はパ・リーグの全球団と、セ・リーグではカープ、ジャンアンツ、スワローズの合計9球団が、日ごろの感謝をこめてファンと交流を深めた。名称はファンフェスティバルや感謝DAYなど様々。入場料についても完全無料の球団から、事前申し込み、抽選形式、有料のチケット購入など対応が分かれており、各球団の特色が感じられて興味深い。セ・リーグ残りの球団も今週末開催。タイガースは12月に第2弾のイベントを企画しているところだ。
いずれの会場でも、選手のトークショーやサイン会をはじめ、運動会や選手とのキャッチボール体験、グラウンドやベンチの開放など、ファンにとってはたまらない内容が盛りだくさん。忘れられない最高の思い出になった人も多いことだろう。イーグルスは球団史上初めて感謝祭の場で新入団選手14人のお披露目を実施。また、ライオンズの岸など移籍が決定した選手にとってはファンとの最後のお別れの場となった。
一方で、セ・パ優勝チームは今月地元で優勝パレードも実施。これも最高のファンへの感謝の舞台と言える。札幌のファイターズのパレードは14万人ものファンが詰めかけた。10年前“新庄劇場”で大フィーバーを巻き起こし日本一に輝いた06年より4万人も多い観衆だ。更に熱狂的な歓迎を受けたのは41年ぶりのカープのパレード。主催者発表で31万3千人のファンが広島の街を埋め尽くす様子は圧巻だった。
21日にカープ球団は総額5億円を広島市に寄付することも発表した。スポーツ広場の整備に4億円、そして1億円は原爆ドームの維持に充てられるという。支えてくれた地域・人たちへの感謝。プロ野球の存在意義は正にここにある。
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