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フィギュア宮原知子、坂本花織の悔いなき闘い(2月23日)
「この五輪までたくさんの応援をしていただいて…本当にありがとうございましたと伝えたいです」(宮原知子)。「遠くから応援してくださって力になったので、本当に感謝しかありません」(坂本花織)。日本の二人の眼に涙はない。そこにはやり切った満足感だけがあった。
平昌の江陵アイスアリーナで行われたフィギュアスケート・女子シングルは、日本のエース・宮原知子がSPに続きフリーでも自己最高点をマーク。ジャンプ全てをノーミスで決めて4位。...
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「この五輪までたくさんの応援をしていただいて…本当にありがとうございましたと伝えたいです」(宮原知子)。「遠くから応援してくださって力になったので、本当に感謝しかありません」(坂本花織)。日本の二人の眼に涙はない。そこにはやり切った満足感だけがあった。
平昌の江陵アイスアリーナで行われたフィギュアスケート・女子シングルは、日本のエース・宮原知子がSPに続きフリーでも自己最高点をマーク。ジャンプ全てをノーミスで決めて4位。今シーズンは3回転ジャンプの回転不足で得点が伸ばせずに苦しんだが、平昌入りしてから課題を克服。流れのあるステップもスピンもすべてレベル4の最高評価を得た。怪我からの復帰のシーズンで立派に役目を果たしてくれた宮原。メダルには届かなかったが胸を張ってほしい。
同じくSPで2点近く自己ベストを更新した坂本花織は6位入賞を果たした。明るく思い切りの良いスケーティングが持ち味の坂本も、リンクに入る際の表情はSPの時よりも少し硬かったように見えた。初五輪でフリー最終組という大舞台は想像以上に緊張したことだろう。「10代で一回経験したら、次はもっと自信を持って臨めると思う」試合後、いつもの笑顔が戻ったその瞳は、次なる目標を見据えているようだ。
メドベージェワとザギトワのロシア勢同士による頂上決戦はザギトワが20年ぶり15歳での金メダル獲得。世界選手権2連覇中の女王・メドベージェワは1.31点差で頂点を逃した。ともに世界最高得点を更新し続けた二人のハイレベルな争いは見るものに深い感動を与えてくれた。各国の若い世代が、臆することなく伸びやかに躍動した素晴らしい氷上の決戦だった。
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4人でつないだ“2400m”パシュート悲願の金(2月22日)
メダリストを揃えたドリームチームのオランダか?完成されたチームプレーの日本か?スピードスケート女子団体パシュート決勝戦。スタート前、決戦に臨む高木美帆、高木菜那、佐藤綾乃と、準決勝で戦った菊池彩花がしっかりと抱き合った。レースは即座に隊列を整えた日本が序盤から先行するが、3周目にオランダが逆転。じりじりとリードを広げていく。
前回のソチ五輪では菊池と高木菜那が準決勝でオランダに挑んだが、12秒の大差をつけられ敗れ、メダルを逃している。...
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メダリストを揃えたドリームチームのオランダか?完成されたチームプレーの日本か?スピードスケート女子団体パシュート決勝戦。スタート前、決戦に臨む高木美帆、高木菜那、佐藤綾乃と、準決勝で戦った菊池彩花がしっかりと抱き合った。レースは即座に隊列を整えた日本が序盤から先行するが、3周目にオランダが逆転。じりじりとリードを広げていく。
前回のソチ五輪では菊池と高木菜那が準決勝でオランダに挑んだが、12秒の大差をつけられ敗れ、メダルを逃している。リンク内で両手を組み祈る菊池。日本とオランダの差は最大0.5秒にまで広がろうとしていた。
だが、ここから日本の逆襲が始まる。残り2周からエースの高木美帆が先頭に立ち、再びオランダを逆転。最後まで加速を緩めずオリンピックレコードでフィニッシュ。見事前回優勝のオランダチームに雪辱を果たした。バンクーバーでは0.02秒差で逃した悲願のパシュート金メダル。そして今大会、日本の11個目のメダル獲得は、過去最多だった長野の10個を20年ぶりに上回った。高木美帆は金メダル、銀メダル、銅メダルの3種類を揃えたことになる。
「こんな幸せなことはない」カナダとの準決勝でチームを引っ張った菊池はチーム最年長。2年前には腱断裂の重傷を負いながら、復活を果たしての快挙達成である。最年少の佐藤綾乃は2年前のジュニア世界王者。今回が初の五輪だったが、昨年12月のW杯で右足親指を骨折。彼女もまた怪我を乗り越えての栄冠だ。高木姉妹と菊池、佐藤4人でつないだ華麗なスケーティングは追い求め続けた“和“の結実であった。
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ラージヒルで渡部暁斗を襲ったいくつもの不運(2月21日)
平昌五輪13日目。ノルディック複合・個人ラージヒル(LH)に日本のエース・渡部暁斗が挑んだ。ワールドカップ通算勝利9勝は“キング・オブ・スキー”の異名を誇った荻原健司の19回に次ぎ、日本人歴代2位の渡部。今大会個人ノーマルヒル(NH)でソチ大会に続く2度目の銀メダルを獲得し、LHで悲願の優勝を狙った。
今季W杯では5勝。うち4勝は前半のジャンプを1位通過し、後半のクロスカントリーで2位に15秒以上の差をつけてのスタートだった。...
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平昌五輪13日目。ノルディック複合・個人ラージヒル(LH)に日本のエース・渡部暁斗が挑んだ。ワールドカップ通算勝利9勝は“キング・オブ・スキー”の異名を誇った荻原健司の19回に次ぎ、日本人歴代2位の渡部。今大会個人ノーマルヒル(NH)でソチ大会に続く2度目の銀メダルを獲得し、LHで悲願の優勝を狙った。
今季W杯では5勝。うち4勝は前半のジャンプを1位通過し、後半のクロスカントリーで2位に15秒以上の差をつけてのスタートだった。迎えたLH。「今大会で最高だった」という142mの大ジャンプで48選手中のトップに躍り出る。中継したNHKの放送では解説の荻原健司の「20秒差をつければ金の確率は90%以上」との言葉を引用し、金への期待を盛り上げた。
しかし、これはやや視聴者に誤解を招くところがあったと感じる。確かに王者フレンツェルとの差は24秒あったが、ジャンプで2位につけたリーベルとの差はわずか1秒だったからだ。レース開始前のインタビューで渡部も「かなり厳しい闘いになる」と覚悟を決めていた。その言葉通り、クロスカントリーは苦しい展開となる。NHでも相手の後ろにぴったり付く老獪な戦法で4位となったリーベルに先行を余儀なくされた渡部は、真正面から厳しい平昌の風に晒されてしまう。更に不運だったのは4位フレンツェルが5・6位の同じドイツ勢と集団になって猛追をかけて猛追をかけてきたことだ。ドイツ勢は先頭を交代しながら先頭集団を飲み込みそのまま1・2・3フィニッシュ。表彰台を独占し渡部は5位に終わった。ほかにもスキー板の接触などもあり渡部には不幸が重なる悔しい結果となった。残る団体戦での雪辱に期待したい。
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50年目の福祉大相撲・栃ノ心、新たな目標へ(2月20日)
恒例のNHK福祉大相撲と日本大相撲トーナメントが今年も開催された。一連の不祥事で揺れる相撲協会だが、今年も両イベント共に国技館は満員のファンで活況を呈していた。
今年で第42回を数える幕内トーナメント戦には稀勢の里、鶴竜の両横綱は休場。横綱でただ一人出場した白鵬は三回戦で初場所優勝の栃ノ心と対戦。栃ノ心は本場所の対戦では白鵬に25戦全敗中。しかし、力のこもった四つ相撲の末に栃ノ心が白鵬を寄り切った。...
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恒例のNHK福祉大相撲と日本大相撲トーナメントが今年も開催された。一連の不祥事で揺れる相撲協会だが、今年も両イベント共に国技館は満員のファンで活況を呈していた。
今年で第42回を数える幕内トーナメント戦には稀勢の里、鶴竜の両横綱は休場。横綱でただ一人出場した白鵬は三回戦で初場所優勝の栃ノ心と対戦。栃ノ心は本場所の対戦では白鵬に25戦全敗中。しかし、力のこもった四つ相撲の末に栃ノ心が白鵬を寄り切った。白鵬は大相撲トーナメントでも過去4度の史上最多タイの優勝回数を誇るが記録更新はならなかった。決勝戦は栃ノ心と大関・高安が激突。ともに初の決勝戦進出だったが、ここでも勢いに乗る栃ノ心に軍配が上がり、見事初場所に続く優勝となった。
福祉大相撲では栃ノ心のトークショーが行われ、昨年11月に誕生したばかりの第1子と、ニノ夫人のメッセージが映像とともに紹介され、笑顔をほころばせていた。インタビュアーの藤井アナウンサーに目標を尋ねられ、「大関になれるように頑張ります」と館内の声援に応えた栃ノ心。26日には新番付も発表となり、春場所に臨むこととなる。
福祉大相撲は1968年から開催され、今年が50年の節目の年。巡業の純利益は福祉サービスカー「福祉相撲号」として各地の福祉施設に寄付されている。半世紀にわたる累計で寄付車両の台数は300台を超えたと発表された。2014年に公益財団法人に移行した日本相撲協会。改革は待ったなしだが、こういったチャリティーイベントは今後も拡充していってほしい。
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小平奈緒、ジンクスを打ち払う“歴史的“金!(2月19日)
ゴールの瞬間、大歓声のカンヌンオーバルで小平は握りしめた両拳を大きく広げた。オリンピックレコードの36秒94。平地では世界新記録となるタイムで、ワールドカップ15戦無敗の女王が歴史に名を刻んだ瞬間だった。
平昌五輪・女子スピードスケート500メートルで小平奈緒が日本人女子選手として初めての金メダルを獲得した。「周りが何も見えないくらい嬉しかったです」小平自身としてはバンクーバー大会での団体パシュート、今大会の1000mに続く3つ目のメダルで、遂に頂点に手が届いた形だ。...
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ゴールの瞬間、大歓声のカンヌンオーバルで小平は握りしめた両拳を大きく広げた。オリンピックレコードの36秒94。平地では世界新記録となるタイムで、ワールドカップ15戦無敗の女王が歴史に名を刻んだ瞬間だった。
平昌五輪・女子スピードスケート500メートルで小平奈緒が日本人女子選手として初めての金メダルを獲得した。「周りが何も見えないくらい嬉しかったです」小平自身としてはバンクーバー大会での団体パシュート、今大会の1000mに続く3つ目のメダルで、遂に頂点に手が届いた形だ。最終周回までリードしながら僅か0.02秒差でドイツに逆転を許した8年前のバンクーバー。そして今季世界記録を樹立している1000mでは、オランダの伏兵テル・モルスが五輪新で優勝。栄冠は紙一重のところで手からすり抜けていった。その勝負の残酷なまでの厳しさを誰よりも知る小平だからこそ、今回の金メダル獲得時にも、五輪3連覇を逃したライバルの李相花に駆け寄り、抱擁して健闘を讃え合えたのだろう。日本と韓国の選手が金・銀を獲得し、肩を抱き合ってウイニングランを果たすという感動的な光景が実現した。
優勝インタビューでは、日本選手団の主将に任命された時にあるジンクスを指摘されたことに触れた。“主将は活躍できない”というありがたくない迷信。彼女の肩にかかった途轍もないプレッシャーは余人に計り知ることの出来るものではなかろう。「コーチとの二人三脚」と問われ、「二人三脚ではなく、皆が支えてくれたのでありがとうと言いたいです」とはっきりと即答したのも彼女らしい芯の強さだった。不敗の女王は、重圧にも完全に打ち勝ったのである。
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