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平成最後の大関、貴景勝・その名に秘めた思い(3月28日)
貴景勝の四股名が戦国武将・上杉景勝にちなんでいることは良く知られているが、実は本名の佐藤貴信も同じように武将の名前が盛り込まれたものだという。天下統一を目指した織田信長と、当時横綱だった貴乃花から一字ずつ取られたその名前には「天下を取ってもらいたい」という強い願いが込められている。
そうした経緯を考えれば、大関昇進の伝達式で述べた口上も実に彼らしいものだと言えるだろう。「“武士道精神”を重んじ、感謝の気持ちと思いやりを忘れず相撲道に精進して参ります」堂々とそう述べた言葉には、彼が心に刻んでいる強い信念が込められている。...
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貴景勝の四股名が戦国武将・上杉景勝にちなんでいることは良く知られているが、実は本名の佐藤貴信も同じように武将の名前が盛り込まれたものだという。天下統一を目指した織田信長と、当時横綱だった貴乃花から一字ずつ取られたその名前には「天下を取ってもらいたい」という強い願いが込められている。
そうした経緯を考えれば、大関昇進の伝達式で述べた口上も実に彼らしいものだと言えるだろう。「“武士道精神”を重んじ、感謝の気持ちと思いやりを忘れず相撲道に精進して参ります」堂々とそう述べた言葉には、彼が心に刻んでいる強い信念が込められている。「“負けて腐らず”という言葉を常日頃から意識していますけど、“武士道”の中から習得した言葉でもありますし、“義理人情”ですとか“受けた恩は必ず返す”という男らしい人間でありたいという思いもあり、この言葉を使いました」スポーツ紙によればこれは母校・埼玉栄高校相撲部の山田道紀監督の教えからきているという。
毎回話題になる口上の挨拶。最近では減りつつあるものの、平成以降「不惜身命」「一意専心」「堅忍不抜」など古典から選ばれた四字熟語が通例となっていた。その走りともいえるのが貴景勝の元師匠・貴乃花が大関昇進時に使った「不撓不屈」という言葉だ。その貴乃花(昇進時は貴ノ花に改名)の大関昇進は平成5年のこと。所要30場所での昇進だったが、貴景勝はそれを上回る初土俵から27場所でのスピード出世となった。「もう一つ上があるので」22歳の新大関は、力強く心境を語った。その名に秘められた「天下取り」を目指し、平成最後の大関が新時代の土俵に臨む。
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早田ひな、代表争いに名乗り/水谷隼、目の不調を告白(3月27日)
東京五輪に向け各競技で熾烈な代表争いが繰り広げられている。卓球の女子シングルス代表枠は3名。現状ではエース石川佳純に伊藤美誠、平野美宇の18歳コンビが頭一つリードしているが、ここに急成長を見せるもう一人の18歳・早田ひなが名乗りを上げてきた。
今月閉幕したTリーグでは怒涛の13連勝。所属する日本生命レッドエルフを初代王者へと導く原動力となり、自身もMVPに輝いた。これまでは同い年の伊藤とのペアでダブルスでの活躍が目立っていたが、今年に入りポルトガルOPで元世界ランク1位の中国・劉詩ブンを3回戦で破る大金星。...
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東京五輪に向け各競技で熾烈な代表争いが繰り広げられている。卓球の女子シングルス代表枠は3名。現状ではエース石川佳純に伊藤美誠、平野美宇の18歳コンビが頭一つリードしているが、ここに急成長を見せるもう一人の18歳・早田ひなが名乗りを上げてきた。
今月閉幕したTリーグでは怒涛の13連勝。所属する日本生命レッドエルフを初代王者へと導く原動力となり、自身もMVPに輝いた。これまでは同い年の伊藤とのペアでダブルスでの活躍が目立っていたが、今年に入りポルトガルOPで元世界ランク1位の中国・劉詩ブンを3回戦で破る大金星。その勢いのまま決勝では橋本帆乃香との日本人対決を制して初優勝を飾った。そして、今月20日から行われていたオマーンOPでは平野美宇に勝利して決勝に進出。世界ランク8位の台湾の鄭に4-1で完勝し、国際大会2連勝を決めた。
サウスポーの早田の特徴は何と言っても長身(166㎝)から繰り出す強烈なフォア。Tリーグでも相手選手を圧倒するスマッシュを決めて来た。これまで何度も故障に苦しんできた大器がその真価を発揮し始めたようだ。今月高校を卒業する伊藤・平野ら黄金世代の戦いは更なる高いステージへと進むことになるだろう。
一方、卓球界からは心配なニュースも飛び込んできた。男子エースの水谷隼が視力に深刻な不調を抱えて来ていることを自身のTwitter上で告白。日常生活に支障はないものの、プレー中には「球がほとんど見えなかった」ということもあったようだ。また、視力の低下に加えて、試合会場のLED照明が発する強い光をかなり眩しく感じているという。卓球への注目度の上昇と共に、Tリーグなどの会場では派手なライトアップが施されることも多くなった。スポンサー企業の電子広告も卓球台を囲むように点滅を繰り返している。選手のプレーに支障の出ないような配慮もこれからは必要となるだろう。水谷選手の目の状態が回復するように祈りたい。
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ジャンプW杯最終戦・小林陵侑と高梨沙羅、2人の22歳(3月26日)
ノルディックスキーのジャンプW杯は24日、男女ともに2019年シーズン最終戦を終えた。男子はすでに年間王者を決めている小林陵侑が13勝目を決め有終の美を飾った。
スロベニアで行われたW杯第28戦。この大会はヒルサイズ185m以上の最も長い距離を跳ぶフライングヒルだ。小林は一本目でいきなりヒルサイズを大きく超える252mの超ビッグジャンプで観客の度肝を抜く。これは小林が同競技場でマークした記録を上回る日本最長新記録となった。...
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ノルディックスキーのジャンプW杯は24日、男女ともに2019年シーズン最終戦を終えた。男子はすでに年間王者を決めている小林陵侑が13勝目を決め有終の美を飾った。
スロベニアで行われたW杯第28戦。この大会はヒルサイズ185m以上の最も長い距離を跳ぶフライングヒルだ。小林は一本目でいきなりヒルサイズを大きく超える252mの超ビッグジャンプで観客の度肝を抜く。これは小林が同競技場でマークした記録を上回る日本最長新記録となった。2本目でもK点越えで圧勝。試合後「本当に信じられない。最高のジャンプ台です」と笑顔で応えた。表彰式では年間王者の証クリスタルトロフィーを日本人として初めてその手に収めた。
昨年11月の第2戦・フィンランド大会でのW杯初勝利から一気に世界の頂点に躍り出た小林。第8戦のドイツでのジャンプ週間でドイツのアイゼンビヒラーらトップ選手らとの激闘を制し、年明けのイタリア大会までW杯6連勝を続けた。シーズン13勝は歴代2位となる大記録である。22歳という若さでの偉業達成に海外からは称賛の声が止まない。最高のシーズンを終えた小林は「最初から最後までレベルの高いところで戦えて良かった」と振り返った。
一方の女子もW杯最終戦ロシア大会を終えた。前日同競技場での23戦では高梨沙羅が3位に入り、6大会ぶりに表彰台に登った。高梨は今季15戦のスロベニア大会で今季絶好調の女王ルンビを抑えて優勝。個人総合では4位に入る健闘を見せた。第2戦ではスーツが規定違反とされてしまう悲運にも見舞われたが、復活を印象付けるシーズンとなった。
小林と高梨はともに1996年(平成8年)生まれの同い年。これからの日本ジャンプ陣を長くけん引していく存在になることだろう。来期以降の更なる飛躍を期待したい。
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平成最後の大相撲・白鵬の復活と新世代の台頭(3月25日)
大相撲三月場所は横綱・白鵬の3場所ぶりの優勝で幕を閉じた。平成最後の一番となった千秋楽結びの一番で鶴竜との横綱対決を制し、全勝で歴代最多を更新する42度目の賜杯を手にした。優勝インタビューでは自身の入門も大阪だったことに触れ、平成の土俵を振り返った。その中でも特別の思い出として「約9年前に天皇陛下からお手紙を頂いたこと」を挙げた。
終わってみれば今場所も異次元の強さ。無敵の大横綱が帰ってきたようにみえるが、膝と肘の故障もあり何番かかなり際どい一番も見受けられた。...
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大相撲三月場所は横綱・白鵬の3場所ぶりの優勝で幕を閉じた。平成最後の一番となった千秋楽結びの一番で鶴竜との横綱対決を制し、全勝で歴代最多を更新する42度目の賜杯を手にした。優勝インタビューでは自身の入門も大阪だったことに触れ、平成の土俵を振り返った。その中でも特別の思い出として「約9年前に天皇陛下からお手紙を頂いたこと」を挙げた。
終わってみれば今場所も異次元の強さ。無敵の大横綱が帰ってきたようにみえるが、膝と肘の故障もあり何番かかなり際どい一番も見受けられた。それでも絶体絶命の体勢から白星をもぎ取るのは天晴というよりほかない。新元号となる来場所以降もまだまだ第一人者としての地位は揺らぎそうもない。
大関昇進がかかった貴景勝は昇進当確ラインの二けた勝利を目指して千秋楽の土俵に上がった。相手は角番で七勝七敗の栃ノ心という共に大関の地位をかける大一番になった。勝負は電車道で貴景勝が勝利し、三場所通算34勝として昇進を確実にした。土俵下では感極まった表情も見せた貴景勝。外国人力士の増加もあり、一気に力士の大型化が進んだ平成の時代。175cm169kgという体格は、昇進すれば平成以降大関となった力士の中では最も小柄な大関となる。一方の栃ノ心は無念の陥落。ひざの状態は一時期よりは回復の兆しが見られるようだが、来場所に十番勝って何とかもう一度大関に復帰してほしいところだ。
十両に目を転じると、13勝2敗で二場所連続の十両優勝を飾った志摩ノ海の強さが際立った。十両筆頭で臨んだ春場所。初日こそ黒星スタートだったものの、二日目から得意の突き押し相撲で怒涛の十連勝。元三役力士との対戦でも相手に相撲を取らせず圧倒した。もうこの位置で取る様な力士ではなかったということだろう。晴れて新入幕を果たす五月場所での活躍が期待される。
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フィギュア世界選手権・4か月ぶり復帰の羽生は銀(3月23日)
5年ぶり日本開催の世界フィギュアスケート選手権。男子シングルはトップ2人が300点超えという驚異のハイレベルな争いとなった。
右足首のケガから4か月ぶりの復帰戦となった羽生結弦は、SPの冒頭で4回転サルコーが2回転となる痛恨のミス。重要な得点源を失い大きく出遅れてしまう。それでも「経験値はたくさんある」と強気に臨んだ絶対王者は、フリーで今季初の200点台を叩き出す意地を見せ、十分に逆転優勝を狙える位置にまで上り詰める。...
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5年ぶり日本開催の世界フィギュアスケート選手権。男子シングルはトップ2人が300点超えという驚異のハイレベルな争いとなった。
右足首のケガから4か月ぶりの復帰戦となった羽生結弦は、SPの冒頭で4回転サルコーが2回転となる痛恨のミス。重要な得点源を失い大きく出遅れてしまう。それでも「経験値はたくさんある」と強気に臨んだ絶対王者は、フリーで今季初の200点台を叩き出す意地を見せ、十分に逆転優勝を狙える位置にまで上り詰める。だが、SPで羽生に12.53点差をつけているネイサン・チェンには少しの動揺も無かった。全ての4回転を成功させ、フリーの演技でも羽生を上回る216.02点をマーク。平昌五輪の時とは見違えるような鋼の精神力で、全選手を大きく引き離して優勝。10代での連覇という偉業を成し遂げた。
前日行われた女子フリーも高次元の闘いが繰り広げられた。頂点に立ったのは平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワ。今シーズン回転不足で苦しんでいたジャンプもしっかりと決めていき、カルメンの旋律に乗せて情熱的にリンクを舞った。選手権3連覇のメドベージェワも復活のスケーティングを見せ、2大会ぶりの表彰台に返り咲いた。一方、日本勢は紀平梨花の4位が最高位。今季ずっと鬼門だったSPで冒頭の3アクセルが回転不足。逆転を狙ったフリーでも2本目の3Aで転倒してしまい、シニアデビュー以来確保し続けていた表彰台を逃してしまった。
日ロの対決に割って入ったのがカザフスタンのトゥルシンバエワだ。冒頭1本目のジャンプで4回転サルコーを成功。シニアの世界選手権で史上初めて4回転を決めた女子選手となり、カザフスタンに世界選手権初メダルをもたらした。すでにジュニアの世界では複数回の4回転を決めるロシアの選手も出現している。来季はいよいよ女子も本格的な4回転(クワドラプル)時代に突入することが予想される。
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