【あの一言】
F35・墜落から2ヶ月・大量購入計画の行方は
解説委員・増田剛 日米貿易交渉で米国は、自動車への追加関税をちらつかせながら農産物の関税引き下げを求めている。トランプ大統領は来日中、貿易交渉の8月決着に言及し、参議院選挙後の早期妥結を求める姿勢を鮮明にした。ただ、日本は農産物の関税をTPP水準までにしか引き下げる考えはない。そこで期待しているのがF35。F35の大量購入は同盟強化の象徴として内外にアピールできるだけでなく、対米黒字を減らし貿易不均衡を緩和する効果もある。日本にとっては農産物での妥協を抑えるカードになっている感すらある。ただ、こうした両国の思惑、特に日本のF35購入が、対日赤字削減につながるかのように公言するトランプ大統領の姿勢には安全保障を貿易に絡めてよいのかという批判も聞かれる。外交と通商を巡るパワーゲームの中で強い政治性を帯びるに至ったF35の購入計画。その姿は、安全保障と貿易のはざまで揺れる今の日米関係そのものを象徴しているようにも映る。
2019/06/07 NHK総合[時論公論]
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