【あの一言】
NY株価急落・米国経済独り勝ちの終えんか
解説委員・神子田章博 今回の株価の急落は米国独り勝ち論が幻想であることを突きつけた。米国の関税引き上げによって中国からの輸出が減れば、中国国内の生産も落ちる。すると、中国が新興国などから調達する石油や鉄鉱石などの原材料の輸入も減る。そうなれば、今度は中国への輸出で潤っていた新興国の景気が悪化し、資金の流出が進むなど経済の混乱を招きかねない。その結果、市場のリスクは高まり、ニューヨーク市場でもリスクを避けるための株式売却で株価が下落するという事態にもつながっていく。各国の経済が互いに密接に結び付く今、世界経済の主要なプレーヤーを痛めつけておいて、独り米国のみが繁栄を続けることは可能なのか。米国だけがよければ良いという身勝手な対応は、やがて手痛いしっぺ返しを食らうことになる。今回のニューヨーク市場の株価の急落は、そうしたメッセージを投げかけている。
2018/10/12 NHK総合[時論公論]
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